2003年8月25日月曜日

Radio VANDA 第 41 回選曲リスト(2003/09/04)



Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


第一特集Michael Lloyd

1. We've Gotta Stick Together ('77) ... Michael Lloyd 曲はMichael Price=DanWalsh=Steve Barri
2. You Really Got Me ('66) ... West Coast Pop Art Experimental Band
3. October Country ('68) ... Smoke
4. Umbrella ('68) ... Smoke
5. Cowboys And Indians ('68) ... Smoke
6. Good To Be Around ('68) ... October Country
7. Summertime Feeling ('72) ... Michael Lloyd 
曲はJohn Macleod=Redway
8. Five Hundred Mile ('72) ... Heaven Bound with Tony Scotti
9. I Kept On Loving You ('72) ... Heaven Bound with Tony Scotti
10. We'll Make Music ('72) ... Heaven Bound 
曲はDonovan=Medora=Di Giovanni。アルバム未収録のベストナンバー。
11. Don't Play With The One Who Loves You ('75) ... Cotton.Lloyd & Christian
12. I Go To Pieces ('75) ... Cotton.Lloyd & Christian
13. I Can Sing,I Can Dance ('75) ... Cotton.Lloyd & Christian
14. Very Special Love ('81) ... Michael Lloyd
fromGift



第二特集冨田勲Part.4

15. 三菱電機テーマソング ('63) ... ダークダックス
16.
スズキスーパーミニの唄ファッションバイク ('?) ... ザ・ヴァイオレッツ
17.
青い地球は誰のもの ('76) ... 東京少年少女合唱団

 

 








2003年8月24日日曜日

☆Lettermen:『Soft Rock Collection』(東芝EMI/67220)

 レターメンは全米トップ100の32枚ものアルバムを送り込んだ、イージー・リスニング・ヴォーカル・グループの代表選手なのだが、 CD はオムニバス盤が2枚ほどリリースされたままだった。
この CD は、ソフト・ロック系のポップ・ヒットの代表的カバーを集めてあり、従来のウェットな選曲とはちょっと違う内容になっている。
個人的にチョイスした曲でパスした曲を、紹介してみよう。
レターメンの魅力を引き出すのはプロデューサー、アレンジャーの力に因る所が大きいが、その中でもアル・デ・ロリー、モート・ガーソンのコンビはベストのひとつと言ってもいいだろう。
ソフト・ロックの代表曲と言うべきテディ・ランダッツォ作の "Hurt So Bad" 、ジム・ウェッブ作の "Wichita Lineman" は、ソフトなサウンドとジェントルなハーモニーで、十分な仕上がりを見せる。
ポール・アンカの代表曲 "Put Your Head On My Shoulder" も AOR として聴かせる出来。
またハーモニーを使わずソロでリード・ヴォーカルを取らせたグレン・キャンベルの "Gentle On My Mind" も爽やかだ。
ペリー・ボトキン・ジュニア、ジミー・ハスケル、ディック・ハザードのトリオでは、映画音楽のようなゴージャスなストリングスが聴きもののシーカーズの "Georgy Girl" が注目だ。
そして "More" は、ラテン・パーカションを用いた大胆なアレンジで、アンディ・ウィリアムスらとは違う魅力を引き出していた。
その他ではデビッド・ゲイツ作/ニノ&エイプリルが歌った "You'll Be Needing Me" のカバーが素晴らしい。転調を繰り返すこのソフト・ロックの代表曲を、軽快なアレンジでオリジナルに一歩も劣らない仕上がりになった。
レターメンと言えばユニゾンで歌い出し、中間からハーモニーを用いるのが得意のパターンなのだが、初期の録音では冒頭からハーモニーで包まれるものが多く、デビュー・ヒットの "The Way You Look Tonight" や、フィル・スペクター作でパリス・シスターズが歌った "Be My Girl" 、エルヴィス・プレスリーの "Blue Moon" のカバーは非常に新鮮に聴こえて心地よい。
中期でもクラシックスIVの "Traces" がこのパターンだった。
得意のユニゾン・スタートではダン・ジャンセン作の "Sherry Don't Go" が、中間部以降のハーモニーで一気に聴かせてくれる。
そしてスプリームスの B 面曲をカバーしスマッシュヒットさせた "Everything Is Good About You" は、その爽やかさ、軽快さでベストの出来となったが、こういう曲を取り上げた所が、レターメンの真骨頂だった。(佐野)
 

2003年8月14日木曜日

☆Who:『Live At The Royal Albert Hall』(SPV/093-74882-3CD)


20001127日にロイヤル・アルバート・ホールで行われたワールド・ツアーのトリを飾るライブを全曲収録した CD で、 DVD 版は2001年にリリースされ、2002年のWeb VANDAで既に紹介している。
ただこの CD は3枚組で、 DVD ではカットされた "Mary Anne With The Shaky Hand" Eddie Vedderがヴォーカルを取る "Getting In Tune" も収録された。
どちらも十分な出来どころか、かえって他の曲よりいいくらいで、 DVD から落ちた理由は謎。
嬉しいのは3枚目のディスクで、同ホールで行われた200228日のライブがその内容。 "Smoke On The Water" のようなギター・リフでアレンジした "I'm Free" 、アコースティックを巧みに使った "I Don't Even Know Myself" 、軽いアレンジで、エディ・コクランを意識したような演奏と歌い方をする "Summertime Blues" 、いつものフーらしいヘヴィな "Young Man Blues" の4曲が収録され、ジョン・エントウィッスル最後の勇姿が楽しめる。
ザック・スターキーのドラムがきちんとフィットしているから、この時のフーのライブは実にスリリングでカッコいい。
(佐野)

Live at the Royal Albert Hall



2003年8月9日土曜日

流線形:『シティ・ミュージック』(ALCM2004)


 流線形。数回のライヴとTOKYO BOSSA NOVAの最新コンピに収録された1曲が話題を呼んだ彼らのこの待望のデビューアルバム。そのタイトルは「シティ・ミュージック」。 聴く前から山下達郎、デオダート、CTI、リオンウェア、ブライアン・エリオット・・・、沢山のレコードの忘れられないフレーズが頭をよぎる。そんな元ネタ探しも楽しいけれど、振り返って素直に好きな音楽を見つけられた者の喜びはそれを上回る楽しさがあるはず。 
 流線形はそんな当たり前の提案を極めてハイクオリティーに、それでいてごく普通にボクらの前に広げて見せてくれた。

 冒頭の「3号線」はコンパクトにまとまった8小節の鈴木茂meetsジェームス・ジェマーソン風イントロが見事。キラキラした言葉が冴える2曲目「恋のサイダー」。この2曲でアルバムの魅力がおぼろげながら見えてくる。 
 続いてアルバム前半の一つの頂点とも言える「東京コースター」は、TOKYO BOSSA NOVA収録曲から大幅にアレンジを変えての登場。絵画的なTOKYO BOSSA NOVAのヴァージョンも、躍動感溢れるアルバム・バージョンも流線形が持つ溢れんばかりのアイディアの一角なのだろう。CTIを思わせる雰囲気作りが心地よい。ある種の心地よさをサウンド面から追求していった70年代中期~80年代初頭の空気を今のグルーヴから構築していくスタイルを描ききった前半の3曲はいつまでも耳に残る。 
 続く後半は楽器の音色が耳をひく。中でも「エアポート'80」で使われるシモンズのエレドラ(!!)は、このアルバムの魅力を一層引き立てているし、流線形のレゾンデートルを明確にしている。堂々たるシティ・ミュージック。 アルバムの中で流線形は仮想東京の夜に向かって、エンディングまで一気に駆け抜けていく。  

 最後に気になった点を2つ。この見事なアレンジに包まれた楽曲群を聴いていると、時として耳は強烈な歌唱力を求めてしまう。その意味ではインストゥルメントと対等或いは負けないくらいに引っ張っていく歌が欲しかった。
 もう一つはポップスという漠然たるものへの不安だ。それはアカデミズムなのか、ある種の躍動なのか、おそらくはその両方を抱え持つのだろう。シュガーベイブのリイシューCDの帯に書かれていた言葉を思い出す。
 「え?そんなの25年前にシュガーベイブがやってるよ!」 その言葉を随分前のことのような、ちょっと前の事の様な両方の気分で思い出す。
 確かにボクらのレコードの聴き方はついこの間まで、正にこんな感じ だった様な気がする。しかしこのアルバムを聴いていると心地よく楽しんでいる自分が、一方で不安感を覚えているという妙な気分になる瞬間がある。 そしてあの頃の聴き方とは明らかに変化している事に気付く。とても不思議な気分だ。 

2003年8月1日金曜日

Lamp:『そよ風アパートメント201』 (MOTEL BLUE/MBR-003) Lampインタビュー



 今年2003年4月に『そよ風アパートメント201』でデビューした男女3人組のグループ、Lamp(ランプ)。その瑞々しいサウンドに触れる度に「輝く季節」を感じてしまう。 そんな彼らにグループ結成の経緯やアルバム作りの話を聞いてみた。 

ウチタカヒデ(以下 U)先ず、Lamp結成の経緯について話してもらえますか?

染谷太陽(以下 S):永井(ヴォーカル&ベース)とは高校からずっと知り合いで、一つ年下だったんですよ。フォーク・ソング同好会で知り合って、ビートルズが好きってとこから意気投合して、一緒にやるようになりました。
それと、2000年の2月頃からボサノヴァを聴き始めたのも大きかったですね。自分が求めていたものが、凄くあるジャンルだったんですよね。


U:ちなみにその時よく聴いていたアーティストというのは?

S:ジョアン・ジルベルトです。友達に借りたんですよ。アストラッド・ジルベルトのベストの中に入っいてた、ジョアンの声「イパネマの娘」のライブか何かで。

U:トム・ジョビンの曲だね。ボサノヴァにのめり込む正当的なパターンだよね。

S:そうですね。あれを聴いて、この表現方法はすごく自分に合っているなってそのコード進行の凝り方と、メロディーへの絡ませ方が凄い。だから僕はボサノヴァのリズムっていうより、ハーモニーの方に引かれたのかなって。
そんな時、高校時代の親友の家に遊びに行った時に「誰か知っている人で、こういう音楽好きな人いない?」って聞いてみたら、香保里さん(ヴォーカルetc)を紹介してくれて。
そしたら、アコーディオンとフルートも出来るっていうんで、まあそれでいけるんじゃないかなって。大学入ってから、そういうソフトな音楽を聴くようになって。
元々高校の時からビートルズとかサイモン&ガーファンクルとかポップスが好きっていうのはあったんですけど。ソフトロックでも友達が基本的なものから貸してくれて、先ずビーチボーイズやロジャニコとか。それでどんどん目覚めていって。

U:そうすると、現在のLampが目指す音楽というのは、ボサノヴァ・ベースなんだけど、ソフトロックのハーモニーも生かしたというものなのね。

S:はい。最近やっとまとまりをもってきましたね。

U:次にメンバーの中の役割っていうのは、それぞれの特性を活かしててるのかな?
例えば、ハーモニーは誰々がとか?

S:そうですね。今回のアルバムもハーモニーは大体、永井がつけた部分が多いし。香保里さんも結構やるんですけど。

U:基本的に、永井くんが作る曲は永井くんがリードで、染谷君が作る曲は榊原さんがリードって感じですか?

S:バランスがとれないと思うんですよね。僕が作る曲を永井が歌っちゃったら香保里さんが歌う曲がなくなるし。永井が作る曲を香保里さんが歌うっていうのを今考えていますけどね

U:成る程ね。じゃ、基本的に染谷君が作る曲は、もう榊原さんが歌うっていう前提なんだよね。そういう作家的なソングライティングとも言えるし。

S:まあ、さっきの話しにも関連しますけど、割と女性的な視線というか。難しい制約が多いですよね。永井の曲とか聴いて、なんか永井がこういうものを作ったから、同じ様な曲を作ってもしょうがないから、次のアルバムではバラエティにするために違うタイプの曲を作らなきゃなっていうのもありますし。

U:つまり、染谷君はバランサー的な役割をしている訳ね。
デビュー・アルバムについてですが、レコーディングはいつから始めて、何ヶ月位掛けたのかな?

S: 9月の半ばから10月の終わりですから、2ヶ月半位ですね。
リリースはもっと早くする予定だったんですけど、色々と延びたんですよね、いろいろな事情があって。


U:次に曲毎の着想と、モチーフを話して頂きたいのですけど。
先ずは、「町は雨降り」。これを聴いた時にニュー・ソウルっぽい匂いもするし、特にヴァース2からサビに転調するラインなんかは。

S:僕自身、転調するとこって考えて理論的に転調する場合と、偶然転調しちゃった場合があって、そっちは何だろ、例えば、イヴァン・リンスっぽい転調とかを意識的に使った時もあるし、サビ前なんかはメロディーが先に着て転調したって感じなんですよ。
だから、メロディーを歌ってみて合うコードを探して、それで転調してったって感じで。


U: そこの転調するコードのハモリ方がニュー・ソウルっぽいんだよね。だから、ブラジルのスティービー・ワンダーと言われるイヴァン・リンスなのかな。コード進行に独自性があって、何回聴いても飽きないよね。そこが、Lampの特徴になっているのかな。

S:目指している所の一つではあるんですよ何というか、僕の場合は1曲をモチーフにすることはなくて、最近好きな5、6曲を詰め込んでいく感じというか。イヴァンも特にコピーしたとかは無いんですけど、ああこういう転調してみたいな、とか。

U:刷り込まれている訳ね?自分の好きな音楽が。で、自分が曲作った時にも出てくる。染谷君の中でも気に入っている曲なんじゃ?

S:そうですね。ってか、普通に作って普通だなって思って。ライヴでやったら周りの人が「それ、いい。」っていうから、その反応が良かったっていう部分もあるんですけど。

U:後、歌詞の方にも触れたいんですけど。何ていうか凄く老成化しているよね文学的というか。

S:影響を受けているといえば、つげ義春とかの漫画の方なんですけど。漫画の雰囲気とかを言葉だけで出せたらって。まあ、そこまで考えてるかどうかはあれなんですけど。

U:次は「今夜の二人」。もうこれは、シュガー・ベイブ、伊藤銀次の流れだと思ったんだけど、やっぱりこれは意識したの?

永井裕介(以下 N):これは元々ロック寄りのハードな感じのバンドでやろうと思っていてもうちょっと歪んだ感じでやっていたんですよ。
そのバンドが終わって、染谷先輩の家でギター一本でフォークみたいな感じでやっいて、それをLampでやろうってことになって、染谷先輩が大体のアレンジをやって。直接シュガー・ベイブを意識したって事は全然ないですけど。


U:要するに結果的になったって事?自然に知らず知らずの内に刷り込まれているから
好きな音楽に近くなっていくって感じだ。

S:そうです。結果的に好きな音はいっちゃうかなっていう。

N:そうですね。自分達がやるとどうしても自分達の好きな感じにしかならないですからね。

S:逆に好きな感じじゃないとやりたくないからね。

N:で、未だ、S&Gからの影響は上手く出せてない。


S:でも、まあ、直接は出せてないけど間接的には何かしらやっぱり、ポール・サイモンからの詩の影響っていうのはあるね。
例えば「For Emily, Whenever I May Find Her 」の詩とか大好きなんですよ。でも、出ないんですよね。聴いてみても。


U:でも、それが潜在的な部分で表れているかも知れないからね。
では、ヴォーカリストとして榊原さんにですが、今回のアルバムの中で一番苦労した曲というのは、やはり「街は雨降り」かな?

榊原香保里(以下 K):そうですね。これは、そうですね。

S:でも、レコーディングの時はパッと歌えなかったかな?

K:私ってレコーディングの時はパッと歌えちゃう方なんで、余り時間は掛からないですね。
最初は駄目なんですけど、2、3回目位には。そうじゃないと、段々嫌になってきちゃって疲れちゃう。


U:成る程。ところで、今回はどういうスタジオで録ったの?

K:エンジニアの人の家だったんです。戸とか襖とかあって。

N:多分想像出来ないと思うんですけど、普通の日本家屋なんですよ。人里離れている訳でもないんですけど、周りに家が余りないんですよ、迷惑なんですけど(笑)畳の上でドラムセット用意して。

S&K:(笑)


U:凄い環境だね(笑)。何かもう70年代のウッドストック・サウンドとか「ホソノ・
ハウス」の世界じゃない。今日は本当に貴重な話をどうもありがとうございました。

リリース時の販促フライヤー
筆者も推薦コメントを寄稿している。

Lamp:『そよ風アパートメント201』
ギターの染谷太陽、ヴォーカル、ベースの永井裕介、ヴォーカル、フルート、アコーディオンの榊原香保里からなるグループの1stミニ・アルバム。
染谷、永井とタイプの異なるソングライターが綴る曲には、独特な詩世界による情緒とメロウ・サウンドが溶け合う「輝く季節」を感じさせる。平均年齢23歳の彼らには今後も期待したい。

(インタビュー&テキスト:ウチタカヒデ