2000年1月20日木曜日

☆Carol King:『Brill Building Legend』(Brill Tone/222)




 昨年、バリー・マンの3枚組ボックス『Inside The Brill Buildings』がリリースされ、多くのポップ・ファンを喜ばせてくれたBrill Toneより、今度はキャロル・キングの2枚組CD、副題ではComplete Recordings 1958-1964がリリースされた。全57曲、内31曲が未発表と、相変わらず充実した、ファンにはたまらない内容だ。まずキャロル・キングが1958年から66年までに発表した8枚のシングル16曲、63年のDimensionのLPに収録された3曲でオフィシャル音源はコンプリート。さらに17曲の未発表デモが収録された。その中には「He Takes Good Care Of Your Baby」の2ヴァージョンのデモや、ボビー・ヴィー、アネット、ジニー・アーネル、ドリフターズなどに歌われた曲が含まれていた。驚かされたたのは「Even If I Wanted To」、61年に録音されたこの曲の作者はバリー・マン=シンシア・ウェイル、夢の組み合わせだ。そしてソロ以外では、キャロル・キングが参加したHoney Beesの4曲、Palisadesの1曲、Tina Robinの2曲が既発表曲、未発表はゲリー・ゴフィンが歌う3曲とTina Robinの3曲、Bonnie Kneeの3曲、そしてリード・シンガーが不明の3曲だった。大半が60年代初頭の曲なので、曲想はオールディーズだが、キャロルの曲には心引かれるメロディ・ラインがある。「It Might As Well Rain Until Tomorrow」なんて今になってもまったく錆びついていない。キャロル・キングの独特のヴォーカルも、ユーミンみたいに味があり、自分の曲にはピタリと合うのだ。最後にボーナス・トラックなのか、前のボックスに含まれなかったバリー・マンの未発表デモ「You're The Only One」「Hey Little Play Girl」「Private Party」の3曲が含まれていた。この内自作の「You're The Only One」は巧みな転調を効かせる傑作、バリー・マン・ファンも買い漏らせないぞ。それにしてもキャロル・キングの中にバリー・マンのデモなんて、これはやはりブートだね。しかしこの内容と、詳細なブックレット、ほとんどのレコード会社ではここまでのものは作れないだろう。(佐野)

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