2013年11月29日金曜日

☆ザ・タイガース:『ザ・タイガース フォーエヴァーDVD BOX-ライヴ&モア』(ユニバーサル/UPBY6006/10)DVD

先日、ザ・タイガースのコレクティング・リストを沢田研二のソロと共に掲載したが、映像としてはこれ以上ない、究極のDVDボックスがリリースされた。
 本ボックスはDVD5枚で、ディスク4は1982年の同窓会コンサートなので、これは再結成ものとして除外する。(ディスク3の後半も同様。後述)購入した動機はディスク5の67年、68年の全盛期のテレビ映像が見られるから。ただこの一点に尽きる。ともかくファンにとっては夢のようなディスクで、この1枚で大枚をはたく価値は十分。ではディスクを順に紹介しよう。

その前に、個人的なタイガースと沢田研二の事について、当時の事を振り返って書いておきたい。自分は1957年生まれなので、テレビに登場したばかりのタイガースを見たのは10歳、小学校4年になる。以前にも書いたが、自分がこんなにロック&ポップスにはまったのは、その10歳の時に、父親が買ってきていたベンチャーズの「キャラバン」のシングルを自分でかけて聴いてからだ。ロックンロールのビートと、ノーキー・エドワーズの超絶エレキ・ギターのカッコ良さに瞬時に心を奪われてしまった。そして小学校4年の月のこずかい、400円(小学生時代は100円ずつ上がった)は、ベンチャーズのシングル盤1枚に消えていくわけだが、テレビを見るとそのエレキ・ギターを持った人達が歌っているではないか。GSの登場である。いつも歌番組があると見たい!とテレビの前に陣取ってGSの登場を待った。ただしその頃一番好きだったのはスパイダースで、タイガースではなかった。その当時からマイナーメロディーよりも弾む様なビートのある曲の方が好きだったからだ。しかし681月の「君だけに愛を」を聴いて、タイガースの魅力にとらわれた。ほぼ同時期にスパイダースは「あの時君は若かった」を出していて、期せずして両グループの最高傑作が出そろい、GSは黄金時代を迎えた。ただしそれも一瞬。翌69年にはGSのヒットは途絶え、70年代冒頭には相次いで解散していくことになる。自分も小学校5年の終わりにはビートルズに出会い、ビートルズのレコードばかり買うようになり、中学に入った1970年にはピンク・フロイドやレッド・ツェッペリンのアルバムを買っているのだから、ロック・レボリューションのこの時代の変化は激しかった。70年代に入り日本の音楽でまだ聴いていたのはGAROCSN&Yの影響下で生まれた彼らは洗練されていてアコースティック・ギターとそのハーモニーに心を奪われる。しかし「学生街の喫茶店」の大ヒットで、彼らはオリジナルが書けるのに、プロライターの歌謡曲路線の曲を連発したため、興味を失ってしまう。筒美京平全盛期だったので南沙織を筆頭に女の子の曲はポップで心引かれるメロディがあって追いかけたが、基本的に男性ヴォーカルが好きな自分としては、女性歌手はつなぎでしかない。そこに救世主のように現れたのがソロになった沢田研二である。沢田研二のシングル・アルバムを買い、その中でもビートがあってキャッチーで最も出来が良かった「危険なふたり」には夢中になった。そしてこの曲は年末の歌謡大賞で、五木ひろし(演歌は旧世代の代表、敵だと思っていた)の「ふるさと」を蹴落として、大賞を取ったのである。これには狂喜した。思わず、自宅の家の前に手書きで「祝・沢田研二歌謡大賞」なんて貼り出してしまったほど。自分はその頃は嬉しさが頂点に達すると、貼り紙を出すことがあり、他に貼り出したのは「祝・貴ノ花優勝」である。(プロ野球は巨人ファンだったが1973年までV9で貼り出す必要もなく強かった。その後の日本一は8年後の1981年だが、その頃はそんなみっともない事をする年ではなくなっていた

沢田研二はこの1973年、続いて「胸いっぱいの悲しみ」「魅せられた夜」を出し、アルバムは最高傑作『Julie ある青春』をリリース、曲はいいし、そして男の自分が見ても惚れ惚れするほどカッコいい。パーフェクトだった。しかし音楽はうつろい易く、肝心な洋楽で好きだったプログレ系が揃って失速、イギリスから「ベイ・シティ・ローラーズがビートルズを超えた!」というニュースが入ってから、こんな連中が流行るようじゃもうロックもおしまいと早々に判断してしまって、しばらく音楽を聴くのをやめて、マンガに興味が移る。とまあ、個人的体験を書き連ねてしまったが、音楽へ戻ってきて、ザ・タイガースや沢田研二のこの当時の音源や映像が出ると必ず購入してしまう。懐かしさもあるが、今聴いても見ても確かにいいものはいいのだ。
 ではディスク1から。これは1970822日のライブで、アルバム『ザ・タイガース・サウンズ・イン・コロシアム』としてリリースされたが、そこからの抜粋である。加橋かつみが脱退して岸部シローが加入した時代のものだ。シローはほぼ演奏ができないが、岸部(修造)、森本、瞳の演奏力の3人の演奏力は飛躍的にアップしていて堂々たるロックンロールを聴かせてくれる。モノクロ映像で、CCRナンバーが多くチョイスされ、特に「I Put A Spell On You」は沢田のヴォーカルも狂おしいほどの熱唱で見事。GFRや洋楽の英語カバーが多いが、騒いでいる女の子達のどれほどがオリジナルまで知っているかなと思ってしまう。ザ・タイガース黄金のヒット曲集は加橋時代のものとして、子守唄をはさんで短くメドレーにした「オリジナルメドレー」のみ。あとはシロー時代の曲なので重い。ポップな肌触りの「素晴らしい旅行」のような曲もあるが、爽快感は得られない。沢田は白のタンクトップで、軽快な姿だが、終焉が近づいているグループのわびしさが伝わってくる。
 ディスク2は1971124日の武道館での解散コンサートからの抜粋で、アルバム『ザ・タイガース・ファイナル』としてリリースされたもの。カラーだが、そういう背景もあってディスク1よりさらにわびしさが漂う。ストーンズの「タイム・イズ・オン・マイ・サイド」から始まるが、シローがちゃんと演奏していて、ちょっと驚かされた。そのあとメンバーがそれぞれソロを取るが「ドッグ・オブ・ザ・ベイ」「イエロー・リバー」「ヘンリー8世君」「ラレーニア」とまあ、何の脈絡もない選曲だ。屈託のなさそうな笑顔で「ヘンリー8世君」を歌っていた瞳が、この後の打ち上げのあとに、外に家財道具一式積んだトラックに待たせていた地元の友人たちと共に京都の実家へ去っていったとは、誰が思っただろう。その後、瞳は復学し、高校教師になり、中国語の大家として知られるほどの見事な転身を遂げるのだが、つい最近まで38年間、ザ・タイガースへの接触を完璧に絶っていたのだから、この時の思いやいかにという感を受ける。ファイナルということで、みな白いスーツに着替え、加橋時代の黄金のナンバーを次々フルサイズで披露するが、楽しく見ることはできない。
 ディスク3の前半は、加橋時代に作られた「レッツ・ゴー・タイガース 真夏の夜とタイガース」を収録。カラーだが、肝心な後楽園球場のコンサートがロングショットのみで、「マイ・ジェネレーション」「銀河のロマンス」「花の首飾り」のライブ音源が流れているが演奏シーンとは一切シンクロせず、切歯扼腕してしまう。ザ・フーのカバーとは大胆な選曲だったが、この頃の岸部のベースはジョン・エントウィッスルのレベルには達していなかった。後半は再集結ものなのでパス。ディスク4も「同窓会コンサート」なのでパス。
 そして肝心なディスク5だ。録画状態が悪くトラッキングが合わない映像が並ぶが、これこそ自分が探し求めていた映像ばかり。フジテレビの超貴重映像だ。67年に収録された「僕のマリー」が2つと「シー・サイド・バウンド」。若きジュリー(ここからは沢田ではなくジュリーの方がいい)の美しいこと!キムタクとか目じゃないわ。他のメンバーもまだ初々しく、爽やかで、タイガースが別格のルックスも持っていたことが分かる。「シー・サイド・バウンド」の振り付けを見て、同じ動きの映像は何度も見ているのに、このテレビ映像で一気に当時にタイム・スリップする。確かに見た。これを見ていた。ディジャヴなのか。その後、「モンキーズのテーマ」の名前を変えた「タイガースのテーマ」と「エブリバディ・ニーズ・サムバディ・トゥ・ラヴ」とレアなテレビ映像となるがこれは今見るとGS風の振り付けが古さを感じさせる。68年のテレビ映像の「モナリザの微笑み」も一気に当時にタイム・スリップ。子供を横に置いて歌う映像だが、自分の頭の中では階段のセットでこの曲を歌っていたことを思い出していた。ジュリーは階段の上りながら踊り場で歌っていたはずだ。自分の頭の中にかすかに残っている当時の記憶。コミカルな画面をつないでそのあとに歌無しの「シー・サイド・バウンド」をスタジアム内で収録したプロモ風フィルム。そして「スター千一夜」のタイトルバックが出て「シーシーシー」。メンバーがみんな黒ずくめで、そう、ビートルズの「Help!」のオープニングのあのコスチュームだ。どこかの山で撮影という設定である。そして「光ある世界」「廃墟の鳩」と続き、ここでは楽器を持っていない。「光るある世界」でジュリーの横顔が長く映るが、眉目秀麗でギリシャ彫刻のよう。男が見ても惚れ惚れするなあ。また67年デビュー当時に戻って「日劇ウェスタンカーニバル」から「シー・サイド・バウンド」「エブリバディ・ニーズ・サムバディ・トゥ・ラヴ」「アイム・オーライト」からの3曲だ。後半の2曲はもちろんローリング・ストーンズの十八番で、彼らとしてもライブの定番。ジュリーの動きはミックを意識しているが、ここでも揃いのステップを入れてしまうところが残念なGSスタイル、そういうステップを一切入れないストーンズやビートルズ、フー、キンクスなどは今見てもカッコいいのだが当時はこれがカッコよく見えたんだろう。その後、いきなりカラーで完璧な映像が出てくる。唯一のTBSテレビの映像で68年の「歌のグランプリ」から「花の首飾り」だ。こんな素晴らしい映像ならジュリーのヴォーカルの曲も見たかったのが残念ながら1曲のみ。そして一気に時代は飛び、シロー時代の70年の「あの娘のレター」と「素晴らしい旅行」。それまでの熱狂的な感じはなく、テレビの歌番組の公開ライブなので、演奏に備え付けのバンド(ステージの下に待機している昔の歌番組の定番)からのホーン・セクションとかが被ってくるのでそこがちょっと残念。ここでテレビ映像は終わり、明治製菓が提供してくれたお馴染みの「明治チョコレート」のフルサイズから始まり、「チョコ・バー」(大好きだった!)のCMの様々なヴァージョンが見られる。当時見ていたはずなの記憶のないものばかりで貴重だ。その後は「スポニチ芸能ニュース」がずらっと続く。モノクロだが画質もいいし、演奏しているシーンもインポーズされる。ただこの手の芸能ニュースは演奏シーンに実際の歌が入ることがないので、言ってみればイメージ映像でしかなく、個人的にはこの手の映像には興味がない。それにしても前半のトラッキングずれまくりのテレビ映像は誰かの個人所有のものなんだろうがよく残しておいてくれたもの、感謝!ただひとつだけ残念なのはテレビで何回か見て録画もした「君だけに愛を」のカラー。蝶ネクタイで、女の子のダンサー達の間で歌うザ・タイガースの懐かし映像といえばこれ、という有名な映像がなぜ入らなかったのか。一番好きな曲なのでなおさらだ。なお、ザ・タイガースの3本の映画では完璧な画質で演奏シーンもたくさん楽しめる。このボックスを購入して万が一持っていない人がいたら、『東宝GSエイジコレクション-東宝GS映画BOX』(東宝)を迷わず購入しよう。3本の映画はもちろん、特典ディスクに演奏シーンだけを集めたものも付いている。価格もほぼ本ボックスと同じ。まあ、このボックスを購入するコアなファンで持っていない人などいないだろうけど老婆心まで。
(佐野邦彦)
商品の詳細
 
 



☆Who:『Tommy(Super Deluxe Edition)』(ユニバーサル/UICY75994)


フーの箱入りボックス・セット「Super Deluxe Edition」の第3弾、いよいよ本命『Tommy』の登場となった。4枚組だが2枚は『Tommy』(最新リミックスCD5.1サラウンドBlu-ray)なので、目玉は残る2枚となる。ディスク2The Demos & Out-Takes』とディスク4The Live Bootleg Album』、前者にはフーとしての未発表曲に初めて「Young Man Blues」の『The House That Track Built』のヴァージョンが収録、後者は『Tommy
』のライブとしては最も初期の音源と聞けば、入手しないわけにはいかないだろう。
世紀の名作『Tommy』の素晴らしさは、これ以上書く必要もなかろう。世の中に天才と呼ばれる人がいて、その人が誰もが到達しえない永遠の名作を作った。それが『Tommy』である。ディスク2には、その天才、ピート・タウンゼンドが作った『Tommy』の原型となるデモが23曲収められた。ピートのデモの完成度の高さは誰もが知るところ、やはりアレンジまで、ドラムの聴かせ所まで、きっちりと出来上がっていた。フーのレコーディングはこのピートのデモをみんなで聴いて、各々のパートに取り掛かる。詳細な設計図が出来上がっていて、ロック界でも一二を争うテクニシャン達が完成させるのだから、他の追随を許さないクオリティのアルバムが仕上がる。23曲中今まで5曲のデモを披露していたが、こうして一気に『Tommy』の原型に出会って、そのデモがどれだけ完成度が高いのか分かってはいたのだが、改めてピートの偉大さに身震いするばかりだ。メロディはもちろんハーモニー、アレンジ、ビート(ドラムパターン含む)、あの『Tommy』が既に出来ていたのだから。初期のライブでは、ざっくりとコード弾きしていた「I'm Free」も、デモではアルバムと同じ遅れたビートのアレンジで作られている。やりながらアイデアを出してまとめていくのではなく、ピートの頭の中では既にファイナル・ヴァージョンが鳴っていたわけだ。「Smash The Mirror」の終わりもガラスが割られていて余韻にドラ、まったく同じなのだから恐れ入る。この中で見たことがないタイトルは2曲。10秒しかない「Success」は使われていないアウトテイク。「Dream One」は「Amazing Journey」の後半のアイデアとして使われている。24曲目の「Trying To Get Through」はフーとして演奏したアウトテイクでこれよりも荒削りなテイクが『TommyDeluxe Edition)』に収められていた。そして『Tommy』で使うことが検討されていたスタジオ・ヴァージョンの「Young Man Blues」は、ようやく1969年のTrackレコードのオムニバス『The House That Track Built』のみ収録されていたものと同じヴァージョンだった。このスタジオ・ヴァージョンははじめ歌い方も違うまったくの別テイクが1998年版『Odds And Sods』で登場し、『TommyDeluxe Edition)』ではテイクは同じながらエコーが少なく乾いたミックスのものが収録され、さらに日本のみ2011年にリリースされた『Odds And Sads+12』では同じテイク、されどロジャーのヴォーカルがシングルと、3回も別のものばかり収められていたので、ようやく真打登場といったところ。ディスク4の『The Live Bootleg Album』は、19691015日にカナダのオタワのシビックセンターからの収録で、『Tommy』のライブの全容を捉えたものとしては最も初期のライブである。今まで『Tommy』のライブの全体を収録したアルバムは、順に1970214日のリーズ大学、15日のハル・シティ・ホール、829日のワイト島フェスティバルなので、『Tommy』がリリースされた1969年のライブはこれが初(「ウッドストック」など曲単位の収録を除く)である。ライブの初演は5月なので、その5か月後のライブが本ディスクだ。全体を通して聴くと最も荒削りで、「I'm Free」は、あの3コードを違うビートでストロークしている。最後の「See Me Feel Me/Listening To You」は歌が終わった後に5分近いアドリブが続き、洗練とは程遠い。しかしフーの場合、メンバーの演奏力が極めて高いため、荒削り=稚拙にはならず、逆に暴力的なエネルギーとなり、魅力を増す場合が多いのだ。ロックンロールの魅力が満ち溢れたものになる。このディスク4の『Tommy』のライブはそういった意味でとても魅力的だ。このディスク2枚のために、大枚をはたく価値は十分にある。(佐野邦彦)
Tommy


2013年11月16日土曜日

◎THE BEATLES COLLECTING GUIDE登場

ビートルズの全音源のコレクティング・ガイド、これはたくさんの本が出ているのでそれを読んでもらえればいいのだが、その中には、ほとんど音源の違いが分からないものまで含まれている。ここで、私が、自分の耳ではっきりここが違うと、いい切れる音源を、まとめてみた。こんなに音源チェックができるのも3万曲以上入れておいたiPod Classic用のPCの外付HDのおかげ。足らないものはamazonで片っ端から注文をかけた。この原稿は3か月と20日ぶりに東京の大学病院に転院したばかりで、そこで書いているのだが、このビートルズのコレクティング・ガイドなど、ここのところ膨大な数のコレクティング・ガイドを作ったのは、その110日を過ごした群馬の大学病院だった。昨年の9月以来、6回の入院・5回の手術で東京の国立病院・神奈川のリハビリ病院・千葉の大学病院を転院してきたが、群馬は待遇面で、非常に安価で個室に入られたため自由に時間が使えた。だからリハビリの他の余った時間の全てを原稿書きに注ぐことができた。もし読者の皆さんで入院を余儀なくされることになってしまった方がいたら(そんなことはないに限るが)、ここはお勧めである。この病院の治療とリハビリがあって、寝たきりの生活から脱却でき、車椅子ではあるが、自宅で生活ができる準備ができた。12月中には待望の自宅へ帰れる。やっと新しいステップが踏み出せる。 さて、コレクティング・ガイドの話に戻るが、もちろんイギリス盤のステレオとモノ、アメリカ・キャピトル盤でしか聴けないステレオとモノ、編集盤等でしかきけない音源、シングルやEPのみの音源から、EMI以前の音源まで、フェイドアウトの僅かな長さまでこだわり(ファンにとっては少しでも長く聴けることは重要)、THE BEATLES COLLECTING GUIDEとしてまとめてみた。次ページに全て掲載したので、是非クリックしてご覧いただきたい。コンパクトにまとめてあるので、参考にどうぞ。(佐野邦彦)



(2016年9月現在)


 
THE BEATLES COLLECTING GUIDE

※全音源を入手するため基本のイギリス盤だが、ステレオは1998年のEMIのリイシュー、モノは同年の『The Beatles In Mono』(EMICD9枚組)を基本とした。シングルのみ、EPのみ、チャリティー盤のみの音源を集めた『Past Masters Vol.12(ステレオ)Mono Masters Vol.12(モノ)も含む。主要なステレオとモノの違いは下記にまとめている。



1963 Please Please Me』(EMI

Please Please Me」シングルはモノ。ステレオでは3番でポールとジョージが「I know you ...」と歌っているところをジョンは「Why know I...」と間違えて歌ってしまい笑って歌っている。

Love Me Do」…アンディ・ホワイトがドラムのヴァージョン。(タンバリン入りがポイント。リンゴがドラムを叩いたシングル・ヴァージョンは『Mono Masters Vol.1』『Past Masters Vol.1』などに収録)

1963With The Beatles』(EMI

All My Loving」…ハイハット入りは『From Riverpool The Beatles』参照。

Hold Me Tight」…ステレオはエンディングのハーモニーに高音のハーモニーが入る。ただしモノに入っている手拍子は消えている。

I Wanna Be Your Man」…ステレオは2コーラス長く、3回目の「I wanna be you man」の「ホッホッ」がよく聴こえ4回目まで突入している

Money」…ステレオは2つのミックスを左右において組み合わせているのでサウンドに厚みがあり迫力がある。イントロにモノではよく聴こえないギターが入っていた。またピアノのエコーが深い。モノは生音に近くリムのビートが聴こえる。

1964A Hard Day’s Night』(EMI

A Hard Day’s Night」…最後のリフがステレオ6回、モノ4回でフェイドアウト。

I Should Have Known Better」…イントロのハーモニカがステレオでは4小節でいったん途切れるがモノは途切れない。

If I Fell」…モノでは冒頭のジョンの歌がシングル・トラックだが、ステレオではダブル・トラック。またステレオでは2回目のサビの「was in vain」でポールの声が裏返る。

And I Love Her」…歌が通常のダブル・トラック。シングル・トラックは『Something New』参照。

Tell Me Why」…ステレオのジョンの歌はダブル・トラックだが、モノはシングル・トラック。

Any Time At All」…別ヴァージョンは『Something New』参照。

I’ll Cry Instead」…ロング・ヴァージョンは『Something New』参照。

Things We Said Today」…モノはエンディングのギターのストロークが1回多い。

When I Get Home」…別ヴァージョンは『Something New』参照。

1964Beatles For Sale』(EMI

I’m A Loser」…モノのエンディングのギターが3秒長いのでアドリブの先が聴ける。

Mr.Moonlight」…ステレオのハーモニーは1コーラス長いので、3回目の「Mr. moonlight」が上昇していくところがはっきり聴こえ、バックのオルガンも聴こえる

Kansas City/Hey Hey Hey Hey」…ステレオはモノより11秒長く、モノでは「so long...」でフェイドアウトしてしまうところ、次の「bye bye...」まで聴こえる。

Words Of Love」…モノの最後のコーラスのリフレインはステレオより2回多い。

I Don’t Want To Spoil The Party」…モノの間奏ではステレオの時の間奏の時の掛け声が聴こえないというが、もともとほとんど聴こえていない。また、モノではミックスでよく聴こえないイントロのリードギターが、ステレオでは「はっきりと聴こえる。

What’s You’re Doing」…モノのエンディングは半フレーズ僅かに長い。

Every Little Thing」…ステレオのエンディング少し長く3回目の「every little thing」まで入っているので「little」でポールが高く歌うところがかすかに聴こえる

1965Help』(EMI

Help」…モノがシングル・ヴァージョンだが、ステレオは歌詞の一部や歌い方も違い、リード・ヴォーカルがまったく別のもの。最も分かりやすいのは一番の「changed my mind」、ステレオではつめたように「チェモマイン」と歌うが、モノでは普通に「チェンママイン」と歌っている。

The Night Before」…モノはポールのリード・ヴォーカルにエコーがかかっていない。

Ticket To Ride」…のモノはフェイドアウトが短く「my baby don't care」がステレオの6回に比べ5回に入ったところで消える。

Yesterday」…モノは最初のサビの「something wrong new I long for yesterday」に突然、エコーがかかる。

Dizzy Miss Lizzy」…2009年のステレオ化の際に強いエコーがかけられた。『The Beatles In Mono』の『Help』のオマケに付いた「1965 Stereo Mix」版は元のエコー。モノのオマケに入っている1965年時(つまりアナログ)のステレオの「Dizzy Miss Lizzy」はジョンのリード・ヴォーカルにエコーがかかっていない。モノにもエコーは入らず、このエコーはCD化の時にプラスされたことが分かる。

1965Rubber Soul』(EMI

Drive My Car」…モノだとカウベルの音がほとんど聴こえない。モノは1回リフレインが多く聴こえる。

Norwegian Wood」…モノはサビの「she asked me to stay and she told me to sit anywhere」の後にジョンの咳払いが聞こえる。ステレオにはない。

You Won’t See Me」…モノはエンディングのコーラスが1回ちょっと多い。

The Word」…アメリカ盤ステレオの『Rubber Soul』は歌のミックスが違う。後述参照。

What’s Goes On」…モノはエンディングのジョージのギターが入っていない。

I’m Looking Through You」…モノは7秒長くステレオでは聴けないポールのアドリブ・ヴォーカルが聴ける。なお、アメリカ盤ステレオの『Rubber Soul』ではイントロを2回間違えるが、後述参照。

Michelle」…モノのフェイドアウトは数秒短い。

Run For Your Life」…モノの方が長く2回「No No No」のコーラスが多く聴ける。

1966Revolver』(EMI

Taxman」…モノラルはカウベルが2番の途中の...appear too small」の後からとステレオに比べ早く入っている。そしてあまり聴こえない。

I’m Only Sleeping」…なんとこの曲は逆回転ギターの入る個所が違うものが4種類ある。その内の2種類はアメリカ発売のみの『Yesterday And Today』だが、分けると見づらくなるのでここでまとめて記入する。ポイントは3か所でA:running everywhere at such a speed till they find there's no need」とB:taking my time,lying there and staring at the ceiling」でイギリス盤のステレオのAは「till they」以外は入っていてBは無し、モノは「till they find」以外入ってBは「lying」の後から入る。『Yesterday And Today』のモノは、Aは入らずBは「taking my」の後から入り、『Yesterday And Today』のステレオは、Aは「till」以外入り、Bは入っていない。さらにこのUSステレオ盤のみ間奏のSEが一拍遅れて入る。

Love You To」…モノは10秒近く長く完奏する。ただしシタールの演奏部。

Yellow Submarine」…モノはオープニングのギターが入るタイミングがステレオより早く、さらに4番の復唱のコーラスは「life of ease」からとこれも早い。

Got To Get You Into My Life」…モノは10秒長くエンディング近く長く、最後のアドリブ・ヴォーカルの歌い方が違う。「every single day of my life」とつなげて歌っているのでまったく違う録音だ。

Tomorrow Never Knows」…ステレオとモノではループテープの入れる場所など大分異なる。さらにイギリス盤『RevolverLPのファースト・プレスMatrixXEX606-1はさらにテープループの入れ方が違い、フェイドアウトが3秒程度長いので、最後のアドリブのピアノの聴いたことのないメロディを聴くことができる。こちらは未CD化。

1967SGT.Peppers Lonely Hearts Club Band』(EMI

With A Little Help From My Friends」の前のつなぎの部分で、観客の盛り上がる場所が違っていた。

Lucy In The Sky With Diamonds」…モノはジョンのヴォーカルにやや強くフェイザーがかけられている。ピッチはステレオに比べて遅いがエンディングのコーラスは1回少ない。最後のコーラスの「アー」というところがエフェクトで「アーワウワウワウ」と聴こえる。

Getting Better」…モノは「me used to be angry man」からのピアノが聴こえない。

Fixing A Hole」…モノはエンディングが僅かに長く、ステレオでは聴けないポールのアドリブ・ヴォーカルが一瞬聴ける。

She’s Leaving Home」…モノは回転数が早いためキーが高く長さも短い。

Being For The Benefit Of Mr.Kite」…ステレオとモノでは間奏とエンディングのSEの位置が違うが、元々ずっと鳴り続けるSEなので違いは分かりづらい。

Good Morning Good Morning」…モノのエンディングは使われている動物の鳴き声の順番は同じだが、リフレインの回数が少なく時間は数秒短い。

SGT.Peppers Lonely Hearts Club BandReprise)」…モノは何と言ってもステレオにはないエンディングのポールのシャウトするアドリブ・ヴォーカルが聴きもの。歓声の位置なども違う。

1967Magical Mystery Tour』(EMI

Magical Mystery Tour」…モノでは、間奏でテンポが元に戻る部分のアーのコーラス部分に被るトランペットが途中で聴こえなくなる。

Flying」…モノでは122秒のアーのコーラスが聴こえない。さらにアメリカ盤ステレオの「Flying」はさらに2秒程度演奏が続くが未CD化。

Blue Jay Way」…モノにはステレオの不気味な逆回転コーラスが入っていない。

I Am The Walrus」…モノはイントロのリフが4回でステレオは6回。ただし、米国盤シングルの「yellow matter custard」の前の1小節の間奏はどちらでも聴くことはできない。

Hello Goodbye」…モノはステレオに比べて2秒ちょっと短いので最後のチャッチャッが聴こえない。

Penny Lane」…間奏前の「it’s a clean machine」の後のトランペットはモノには入っていない。またプロモのみでエンディングにトランペットが入る。後述の『From Liverpool The Beatles』参照。

Baby You’re A Rich Man」…モノはエンディングのコーラスが1回長くOhなどのアドリブも聴ける。

All You Need Is Love」…モノのシングル・ヴァージョンはステレオより長く、最後の「Greensleeves」の演奏まで入っている。

1968The Beatles』(EMI

Back In The USSR」…モノはヴォーカルがオンで非常にカッコいい。間奏のジェット機のSEの位置などが違うし、ステレオに入っている間奏の掛け声を「カモン」以外全面カットしていてタイトな感じだ。

Ob-La-Di Ob-La-Da」…モノはイントロの手拍子が入っていないし、ポールのリード・ヴォーカルがシングル・トラック。

While My Guitar Gentry Weeps」…ステレオではエンディングのエリック・クラプトンのギターに「オーオー」とか「イエーイエー」のコーラスが被り聴こえにくくなっている。モノはエンディングも数秒長くクラプトンのギターがはっきり楽しめる。

Blackbird」…モノは間奏の鳥の鳴き声のSEの位置が違い、曲が終わってもしばらくさえずっている。

Piggies」…モノは豚の鳴き声SEがステレオに比べ少ない

Don’t Pass Me By」…モノは回転数が早い上に、エンディング部分のバイオリンのメロディがステレオとまったく違う。

Why Don’t We Do It In The Road」…モノにはイントロの手拍子がない。

I Will」…モノは、歌の一番の部分にポールのマウス・ベースが入っていない。(最後の「I will」から入る)

Yer Blues」…モノはエンディングが14秒長く、演奏が続けて聴ける。

Sexy Sadie」…イントロのタンバリンがステレオは2回でモノは1回。

Helter Skelter」…モノはポールのヴォーカルやバックコーラスがオンなので、「チャッチャッチャッチャー」というコーラスがはっきり聴こえ、ステレオほど喧しくない。エンディングはまったく違い、ステレオはフェイドアウトの後、またフェイドイン→フェイドアウトでリンゴのセリフで終わるが、モノは突然フェイドアウト→ドラムのロール→フェイドイン→フェイドアウトで50秒近く短い。ステレオではリンゴのI’ve got a blisters on my fingers!の叫びが入りまた演奏が続きエンディングはまったく別物

Honey Pie」…モノでは間奏のギターが2フレーズ多く入っている。

Good Night」…モノは歌が最初からフル・ヴォリュームで出てきてエコーも多めでステレオより出来がいい。

1969Yellow Submarine』(EMI)※モノLP盤があったがステレオをただモノにしただけなので意味がない。だからモノ・ボックスにも入っていない。

1969Abbey Road(EMI)※ステレオのみ

1970Let It Be(EMI)※ステレオのみ

1998Past Masters Vol.12』&『Mono Masters Vol.12』(EMI)※アルバム未収録のシングル、EP、チャリティー盤のみの曲のステレオとモノをそれぞれ集めたもの。

From Me To You」…モノはイントロの歌とギターにハーモニカが被るが、ステレオは歌とギターのみ。

Thank You Girl」…ステレオは、サビの「way that you do」と「good to be true」の2ヶ所の繰り返しでハーモニカが追加され、エンディングにも追加された。

I Call Your Name」…ステレオはテイク5、モノはテイク7を使っていて、イントロのギターのメロディが違う。またカウベルもモノはイントロから入るがステレオは歌が始まってしばらくしてから入る。

Slow Down」…ステレオのイントロのジョージのギターが、モノでは聴こえない。またモノには歌が歌い終わったあとのステレオの247秒のアウ!というシャウトがない。

I Feel Fine」…モノの方が4秒ほど長く最後にホッホッという掛け声が聴こえる。

I’m Down」…モノは4秒長いのでポールの「ダウンダウンダウンダウン」のアドリブ・ヴォーカルの後の「ウーアイムダウン ウー」というアドリブ部まで聴くことができる。

Day Tripper」…モノはほんの少し長いので次のリフレインの頭まで入っている。

Paperback Writer」…モノはエンディング前の「paperback writer」のコーラスに深いエコーがかかり変。エンディングも8秒長くコーラスのリフレインが1回半多い。

Hey Jude」…モノはステレオより7秒長く、リンゴのバスドラが早くなるところまで入っている。ちなみにシングル用ステレオ・ヴァージョンはさらに2秒長いが『Past Masters』には入っていない。

The Inner Light」…モノは歌を重ねてダブル・トラック風の処理をしている。ステレオだとシングルなので生っぽく聴こえる。

The Ballad Of John And Yoko」…きちんとドラムが終わるテイクに戻された。ステレオのみ存在。

※『Mono Masters』ではモノラルが作られたことがない「Only A Northern Song」「All Together Now」「Hey Bulldog」「It's All Too Much」の4曲のモノラル・ミックスが収録された。この中で「Hey Bulldog」はステレオより2秒長く、最後のジョンとポールの「ヘーイブールドック」のハモリが1回多く楽しめる。

 

※なお、1998年の全面リマスターの前は、「Hey Bulldog」「Birthday」「Everybody’s Got Something To Hide Except Me And My Monkey」などの曲は、オリジナルのLPと同じでヴォーカルのミックスが小さく、魅力が削がれていた。リマスター後のミックスが大正解である。

 

1977The Beatles At The Hollywood Bowl』(Capitol)※1964823日と1965830日のライブ(1曲と1曲の後半は1965829日)。2016年のCD化(Universal)の際に『Real Love』に収録されていた「Baby’s In Black」と未発表の「I Want To Hold Your Hand」「You Can’t Do That」「Everybody’s Trying To Be My Baby」の4曲を追加した。

1995The Beatles Anthology 1(Apple/EMI)※別テイク、未発表曲&初期音源集

1996The Beatles Anthology 2(Apple/EMI)※別テイク、未発表曲集

1996The Beatles Anthology 3(Apple/EMI)※別テイク、未発表曲集

1999Yellow Submarine Songtrack』(EMI)※映画で使われた曲だけを集めてリミックスしたもの。大幅なリミックスで印象がまったく異なる曲もある。「Only A Northern Song」のリアル・ステレオは初登場。

2001Live At The BBC』(Apple/Parlophone)※BBC主演時のスタジオ・ライブ56曲収録。

2003Let It BeNaked(Apple/EMI)※フィル・スペクターがプロデュースした『Let It Be』ではなく、オリジナルのマスターだけから再編集したもの。まったくアレンジが違っていたり、サウンドは別の曲の様に聴こえる。ボーナスでこのセッションの会話やデモを集めた「Fly On The Wall」も付けられた、ただし完奏している曲は1曲もなく、あくまでもスタジオ・チャット。

2013On Air Live At The BBC Volume 2』(UMC)※BBC主演時のスタジオ・ライブの続編。38曲に「I Feel Fine」(Studio Outtake)もプラス。

2013The Beatles Bootleg Recordings 1963(iTunes Download Only)※著作隣接権50年切れの対策上急遽1963年の未発表音源59曲をダウンロードのみで販売した。「Bad To Me」「I’m In Love」のデモ、スタジオ・アウトテイク15曲(曲目は9曲)、BBC出演時のスタジオ・ライブ&ライブ42曲(曲目は24曲)収録。BBCは曲目として初登場はない。

2014Work In Progress Out Takes 1963(Rock Melon)※著作隣接権切れでリリースしたCD1963年のアウトテイクを827テイク収録。内6曲は『The Beatles Bootleg Recordings 1963』とダブるが、全て違うスタジオ・アウトテイク。

 

☆アメリカ盤のみ

2014The U.S. Albums(Box Set)(Universal MusicCD13枚組)

○『Something New』(モノのみ)

I’ll Cry Instead」…ワンコーラス分多い編集なので、イギリス盤のものより20秒長い。アメリカ盤の『A Hard Day’s Night(Original Motion Picture Sound Track)』にも収録。(モノラルだが、モノラル盤だけでなくステレオ盤にも同じものが収録されていた)

And I Love Her」…ポールのリード・ヴォーカルがand I love her以外シングル・トラックで、映画を見ているかのよう。魅力的だ。アメリカ盤モノの『A Hard Day’s Night(Original Motion Picture Sound Track)』にも収録。

When I Get Home」…サビの「till I walk」のwalkを延ばして歌っていて、イギリス盤と違う。

Anytime At All」…間奏の130秒から46秒までのピアノが遅く入ってくる。

○『Beatles ‘65』(モノ)

I Feel Fine」…深いエコーをかけられている。

She’s A Woman」…深いエコーをかけられている。

○『Rubber Soul』(ステレオのみ)

The Word」…ジョンのヴォーカルが全てダブル・トラックでイギリス盤と違う。

I’m Looking Through You」…イントロのギターを2回間違えるがそのまま入っている。

○『Rubber Soul』(モノのみ)

Michelle」…アメリカ盤『Rubber Soul』モノのこのヴァージョンが、一番フェイドアウトが長い。といってもステレオより2秒弱程度だが。一番短いのはイギリス版『Rubber Soul』のモノ。

1966Yesterday And Today』(モノのみ)

Doctor Robert」…アメリカ盤モノは曲のエンディングのコードまではっきり聴こえる。

I’m Only Sleeping」…逆回転ギターSEの入る個所が違う。前述のイギリス盤『Revolver』の「I’m Only Sleeping」参照。

○『Yesterday And Today』(ステレオのみ)

We Can Work It Out」…ハーモニウムが真ん中から出るなどミキシングが違う。

Day Tripper」…冒頭のギターリフが左から出るミキシング。

※残念ながら「I’m Only Sleeping」のステレオは、イギリス盤ステレオと同じヴァージョンだった。

○『The Beatles’ Story』※ドキュメンタリー。The Beatles Look At Lifeに入っている「Twist And Shout」の64年のハリウッド・ボウルのライブがこの盤のみ。ただし40秒でフェイドアウトしてしまう。

2004The Capitol Albums Volume 1(Box Set)』(Capitol

○『The Beatles’ Second Album』(ステレオのみ)

全体にエコーがかけられている当時のミックス。なお、「You Can’t Do That」「I’ll Get You」「She Loves You」は疑似ステレオのまま。

○『Beatles ‘65』(ステレオ)

I Feel Fine」と「She’s A Woman」は当時と同じ疑似ステレオ。モノラル以上深いエコーをかけられている。

1966Yesterday And Today』(3rd EditionApple盤以降のステレオ)未CD化。

I’m Only Sleeping」…逆回転ギターSEの入る個所が違う。前述のイギリス盤『Revolver』の「I’m Only Sleeping」参照。なお、このヴァージョンは『From Liverpool The Beatles Box』にも収録。

 

☆その他の編集盤

1970From Then To You』(UK)『The Beatles’ Christmas Album(US)※ビートルズはファン・クラブ会員に1963年から1969年まで毎年配ったクリスマス・レコードを集めたもの。会話が中心でちゃんと演奏した曲は『Free As A Bird』のEPに収録された「Christmas Time(Is Here Again)」くらいしかない。日本では1986年にディスクポート西武から『Christmas Fun With The Beatles』でリリースされた。未CD化。

1973The Beatles 1967-1970(Capitol)※「A Day In The Life」のイントロに前の歓声が被らない。ジョンの1990年の『ImagineOriginal Soundtrack)』(Capitol)にも収録されている。

1980From Liverpool The Beatles Box』(EMI)未CD化。LP8枚組。

All My Loving」…冒頭に5拍のハイハットのカウント入り。オランダ盤初期の『The Beatles’ Greatest』や西ドイツ盤『With The Beatles』に収録されていた。

And I Love Her」…エンディングのリフレインが2回多く6回。西ドイツ盤『Something New』に収録されていた。

I Feel Fine」…イントロ前に微かにスタジオ・チャット入り。『The Beatles 1962-1966』に収録されていた。

Penny Lane」…エンディングにトランペットが入る。元はプロモのモノ・シングルのみ収録されていたものだが、本盤では、この当時、初登場のステレオにこのトランペット・エンディングをつなぎ合わせた。『Rarities Vol.2』に収録されていた。

I Am The Walrus」…イントロのリフが6回のイギリス盤ステレオに、アメリカ盤モノ・シングルのみに収録されていた135秒の「I’m crying」と「yellow matter custard」の間に1拍ストリングスのビートが入る部分を組み合わせたお徳用。『Rarities Vol.2』に収録されていた。

I’m Only Sleeping」…逆回転ギターSEの入る個所が違うUSステレオ・ヴァージョン。前述のイギリス盤『Revolver』の「I’m Only Sleeping」参照。なお、このヴァージョンは前述の『Yesterday And Today』(ステレオ)より。

1981The Beatles EP Collection(EMI)1992年に『The Beatles Compact Disc EP Collection』としてCD化された。EP15枚組。

She’s A Woman」…冒頭に「one two three four」とポールのカウントが入っている。

 

☆必要なシングル・EP

1967 「I Am The WalrusUS Mono Single)」(Capitol)※アメリカ盤「Hello Goodbye」のモノ・シングルB面のこの曲は、135秒の「I’m crying」と「yellow matter custard」の間に1拍ストリングスのビートが入る。『From Liverpool The Beatles Box』や『Rarities Vol.2』にこの部分が聴ける編集版が入っているのでそれで十分と思うが。未CD化。

1995 『Free As A Bird(EP)』(Apple/EMI)…別テイクの「I Saw Her Standing There」「This Boy」、ファン・クラブのクリスマス・レコード用の曲「Christmas Time(Is Here Again)」収録。

1996 『Real Love(EP)』(Apple/EMI)…別テイクの「Yellow Submarine」「Here There And Everywhere」収録。

 

EMI契約以前の音源

1985The Beatles' Live! at The Star Club in Hamburg, Germany, 1962』(テイチク)

196212月のドイツ・ハンブルグでのライブは家庭用テープレコーダーで録音された音質の悪いものだったが、歴史的音源ということで1977年にPickwickからリリースされ、様々な編集盤が溢れていた。その中で決定版がこのテイチクのアルバムで、残されている全ての音源30曲を全て収録した。なんといっても重要なのはドラマーがリンゴであること。荒っぽいが魅力的だ。「Be-Bop-A-Lula」と「Hallelujah I Love Her So」の演奏はビートルズだが歌はStar Clubの関係者。(なおアルバム内の「Hully Gully」はビートルズの音源ではない。)

1986The Silver Beatles』(テイチク)

ビートルズが196211日にデッカのオーディションを受け、不合格だった時の音源。ドラマーはピート・ベスト。レノン=マッカートニーの書いた3曲は外されたが、『The Beatles Anthology 1』で「Like Dreamers Do」「Hello Little Girl」が入り、他カバーの3曲は同アルバムで聴けるが、「Crying Waiting Hoping」「September In The Rain」「Besame Mucho」「To Know Her Is To Love Her」「Take Good Care Of My Baby」「Memphis Tennessee」「Sure To Fall」「Money」「Till There Was You」の9曲はオフィシャルではこのCDのみで聴ける。なお、2013年にRock Melonというレーベルからリリースされた『I Saw Her Standing There』というCDは、トニー・シェリダン関係やデッカ・オーディション関係から抜粋された謎の選曲のCDだが、レノン=マッカートニーが書いた残された1曲「Love Of The Loved」が収録されていた。BBCでカットされていたDream Baby」「A Picture Of You」「Besame Mucho」も入っている。(なおデッカ・オーディションの最初のリリースは1982年で、トリオからアナログでリリースされた。)

2001Beatles Bop-Hamburg Days』(Bear Family)※19616月と19624月にビートルズがドイツでトニー・シェリダンのバック演奏をした曲を集めたもの。ドラマーはピート・ベスト。1964年にPolydorからリリースされて以来、膨大な編集盤がリリースされているが、Bear Familyだけあってありとあらゆるヴァージョンを38曲集めた。ただしそその内ビートルズがバックをした曲は9曲と言われており、ジョンがリード・ヴォーカルを取った「Ain’t She Sweet」とジョンとジョージが書いたインスト「Cry For A Shadow」に、有名なトニー・シェリダンの代表曲でバックを担当した「My Bonnie」の3曲があれはいいのでその3曲が入った『The Beatles Anthology 1』で普通のファンは十分。(その他のバッキング担当は「The Saint」「Why」「Nobody’s Child」「If You Love Me Baby」「Sweet Georgia Brown」とされていて「Swanee River」のテープは焼失したので現存していない)

(作成:佐野邦彦)