2017年8月13日日曜日

BEACH BOYS 『Spirit of America / Boogie Woodie』 (Capitol Custom)


筆者の20年来の友人がビーチ・ボーイズのレア・アイテム・コレクターをしており、最近63年のプロモ・7インチ盤『Spirit of America / Boogie Woodie』をピクチャースリーブ込みで入手した。
同盤は弊誌編集の『The Beach Boys Complete Revised Edition』(2012年12月 VANDA編/シンコーミュージック刊)の14頁と164頁で盤レーベルのみ掲載されていたが、ピクチャースリーブは未掲載であった。
ここでは解説を交え紹介しよう。


1963年11月アメリカ史上において当時のケネディ大統領暗殺という重大な出来事があった暗殺一週間前に、ロサンジェルスのSouth Bay地区にレコードチェーンの支店がオープンした。
Music City創業者はGlenn Wallichs 、Capitol Recordの創業者の一人である。
Music Cityは、当時の小規模な家族経営的なレコードストアの概念を覆し、現代のレコードストアのフォーマットの元となった。(※1)
South Bay Music Cityの店舗から東に車でひとっ走りしたらManhattan beach(※2)に出る。また当該店舗から北上すればHawthorn地区にたどり着く。ここはWilson兄弟の実家がある地区である。

このようにBeach Boysにとっては慣れ親しんだ環境で開店したMusic Cityは、開店イベントとして地元のラジオ局KFWB(※3)のDJがMCを務め、当日この盤が来店者に無料で配られていた。
これらの背景から、Capitolがらみで地元の人気者であるBeach Boysにちなむ何かを開店に合わせて企画したのだろう。
そしてCapitol Customレーベル(※4)から、開店時の来店客へノベルティとして制作されることとなったと思われる。
一年後同種のリリースがBeatlesでもMusic City KFW Beatlesで行われている。
本盤は以上のことからリリースが数日間しかない、という点で自ずとレア度が高まることとなる。
盤自体が少ないものの時折見かけることはあるが、さらにレア度が高い理由は、リリース時ピクチャースリーブ(※5)付きであり、現在中古市場に出回っているのは盤のみが多い。
今回幸運にしてピクチャースリーブ付きを入手したので公開させていただく。
Music Cityはその後Tower Recordなどのライバルの台頭やディスカウントストアに押されて、80年代に廃業し、跡地はショッピングモールとなっている。


※1:アーティス別にインデックス陳列、レコード棚、試聴までできた上、新品にはシュリンクラップしていた。
※2:Surfin’ USAで、All over Manhattanと謳われている部分である。
※3:KFWBはWarner Brothersの創業者のWarner兄弟の1人が設立した、ロックンロールを早くから放送し、60年代中期KRLAに取って代わられるまで人気放送局だった。こじつけだがK-Warner Four Brothersと呼ぶ人もいるそうだ。
※4:Capitol Custom Services Departmentのもと東西のスタジオでマスタリングなどが専門-1953年から1973まで存在した。
※5:I Was There KFWB Day とあるだけで写真なし。

(text by -Masked Flopper- / 編集:ウチタカヒデ)

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