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2024年3月16日土曜日

わたくしのオフコース-3-/吉田哲人

WebVANDAをご覧の皆さん。おはこんばんちは!吉田哲人です。

 おかげさまで、WebVANDA読者の皆様にはお馴染みのことと思います2024年4月20日のRECORD STORE DAYに、RECORD STORE DAY JAPAN 2024アイテムとして、わたくしのファースト・アルバム『The Summing Up』が、去年11月発売のCDから一部内容を変更したvinyl editionとして発売されます。

※吉田哲人・リリースインタビューはこちら

 やったー!!!
 まだお見せできないのが残念ですが、やっぱりアナログ盤でも持っていたい仕上がりになっておりますので、是非、ご購入のほどを。 4月27日にはレコード・リリース記念イベントが渋谷La.mamaさんにて開催(開演11:30~)されます。
何卒よろしくお願い致します。



さて今回は… 
『ワインの匂い』 です。 


 1975年に発売されたアルバムで、僕は同年生まれです。

 ある日の中古レコード店で、それまで存在を知らなかった白い帯の『ワインの匂い』を見かけ試聴したところ1曲目の「雨の降る日に」から、 

「あれ?こんなに低音がずしっとくるアルバムだったっけ?」 

 と思い、マトリクスを確認したところ両面共に「1S」とあり、おそらく初期プレスであろうと推察し購入。家で聞いたところ試聴の印象どおり生き生きとした低音部が再生され、 

「このアルバムは本来こういう音だったのか。」

  と感動したのです。
 しかしA5「ワインの匂い」の後半部分で針トビが発生し目視したところ、いわゆる周回キズが入っており酷くがっかりはしたものの、よく見かける緑色の帯(マトリクスは「2S」、そしてそれ以降)との音の印象の違いに気付けたのでとりあえず良しとする、ただ絶対もう一枚手に入れようと誓うのでした。 

 その後、様々なレコード店で帯なし『ワインの匂い』を見かけるたびに検盤させてもらっていたのですが、一向に「1S」が目の前に現れる事はなく、流石その後に大ヒットを飛ばすオフコース、レコードの量も半端ない上、カタログ番号の変更が無いのでジャケットからは判別できず、これは白帯付きじゃないと「1S」盤の入手はほぼ無理だと悟りました。 

 しばらく経った後に白帯付きを二度ほど見かけ、お店で試聴と検盤したところ、やはり「ワインの匂い」に周回キズが入っており、それらの盤の購入は控えたものの、その時に、

「そもそも何で白帯を滅多に見かけないんだろう。そして、なぜ同じような箇所に周回キズがあるのだろう。」 

 と疑問に感じ、それがきっかけで他のアルバムも含め、色々買って調べる様になり、そして現在のこの連載にまで至る、という流れになります。

 さて、白帯『ワインの匂い』が初回盤と想定、ブレイク前なので生産枚数が少ないのは前提として、何故、これ以前のアルバムと比較しても白帯『ワインの匂い』はなかなかに入手困難なのか。

1.何らかの原因でそもそも発売されていない

2.発売されていたとしても、低音が豊かであるとその分、針とびのリスクも高まり、簡易プレイヤーでは針とびが発生、クレームからの出荷停止。

3.スタンパーに周回キズがついており、それが原因で出荷停止。 

の3点と当初推測し、いずれかが原因で緑帯に変更、アナウンスなく再発したと仮定していました。

 「1.」は自分が産まれていないのでリアルタイムで店頭に並んでいるのを確認する事が出来なかった事からの仮定にすぎないのですが、「2.」は当時の一般的なオーディオ環境で、針圧の調整が効くプレイヤーの普及率は如何程のものだったのか把握しかねるのですが、概ね簡易的なプレイヤーやポータブルプレイヤーでの再生が多かったと予想。それらは低音による針トビ(主にレコード溝が原因)がありがちな話であり、また、ポータブルプレイヤーにはレコード針が鋭いものも存在し、周回キズのようなものを付けるリスクがあります。また「3.」は似たようなキズが多い事から、購入者の扱いというよりも、出荷時に既に付いていたと考える方が理解が早いため、それらの原因がスタンパーにある(からキズまでコピーされる)と考えるのが妥当と思われます。
 さらに「2.」「3.」双方をある程度正しいとすると、再プレスと思われる緑帯のマトリクスが「2S」に繰り上がり、カッティングの際に低音が減らされ、お馴染みの音になったという仮説が、アナログ盤を製作した経験をもつ身としては想像できるのです。

 しかしその後、それらの仮説を覆す白帯『ワインの匂い』手に入れてしまいます。そのレコードには購入日と思われるものが帯に書かれており(多少伏せますが76年1月*日と書き込み)、仮説「1.」はほぼ間違いであろうことを確認しました。また、「2.」や「3.」もちょっと怪しくなってしまいました。間違っているとするならば、僕はたまたま周回キズがある盤に3回も出会ってしまったことになります。その可能性もなくはないのですが、それにしても…と疑問を残しつつ、とはいえこれといった資料も無いですしキリがないので、この時点で一度棚上げにし、他のアルバムのマトリクスを調べてゆくことにしました。

 そしてまたしばらく経った後、また白帯『ワインの匂い』を見かけたので、検盤や試聴をしてみたところ、過去に遭遇した盤と同様の周回キズはあるものの、キズはうすく針トビも無い事から購入、家でマトリクスをよく確認したところ「1S 5(1Sと5の間にスペース有。例えば1S2の様なスペース無し表記とは異なる)」とあるのに気がつき、生産ロットによって周回キズの有無があるのではと思うに至りました。
 その後もう一枚、薄い周回キズの白帯『ワインの匂い』マトリクス「1S 8」を購入。さらに少し経ってから(購入は見送りましたが)針とびはしないものの周回キズが目視しやすいマトリクス「1S 9」も確認しました。 

 以上のことから取り敢えず現状、把握出来ていることをまとめると、回収されたかどうかは不明ではあるものの、周回キズ問題は仮説「3.」がそれなりに正解に近いのではないかと推測してますが、僕が所有している周回キズのない盤のマトリスクは「1S 6」なので、上記にあるようにスペース以降の番号から周回キズの有無の推察(例えば僕が未確認の「1S 7」の周回キズの有無など)は規則性がないために困難です。寧ろ「1S 6」に周回キズが無いのは何故なのでしょうか。「1S 6」の全てに周回キズは無いのでしょうか。 また某オークション・サイトの過去の出品物からの情報なので僕は未確認なのですが、いくつかの工場でプレスされていたらしいと記載されてましたが、工場の特定ができない限り周回キズの原因やロットの特定は困難ですし、それに加えて白帯の裏面にアリスのレコードカタログが記載されてしまっているものをよく見かけますが、緑帯と同じく修正されオフコースのレコードカタログが載っている白帯も存在しているとの事も併せて記載されてました。 別の謎が増えた! 
 そして、ひょっとすると僕が周回キズあり白帯『ワインの匂い』にやたらめったら出会ってしまう運命というだけで、一般的には無傷だという可能性が0ではないんですよね…。

 結局のところ、買えば買うほど、調べれば調べるほど、謎が謎を呼び、これといった結論に辿り着けなくなってしまいました。 長年少しづつ情報/レコード収集してきましたが、リアルタイム勢ではない僕が中古レコードだけを頼りにこれ以上の検証をすることは、何かしらの資料が出てこないかぎりは困難で、推測出来ることの限界まできたのではないかと感じております。 
 今回も明確な結論を出せずに申し訳ございません。
 ここまでは頑張ったのですがもうちょっと情報が整理されると良いなと思っているので、リアルタイムの方、関係者の方、周回キズのない「1S」の後ろの番号をご存知だったりお持ちの方、ひょっとすると緑帯にも「1S」が存在してるかもしれないので当時新品で買った緑帯にも「1S」が存在してるのをご存知の方からの情報をお待ちしております。

以上、吉田哲人でした。ではまた次回。
アナログ盤『The Summing Up』何卒よろしくお願い致しますね~。

P.S. 『ワインの匂い』のカセット版は、デフジャケで収録曲順がレコードと多少異なります。

眠れぬ夜/オフ・コース

★☆★
吉田哲人「The Summing Up」LPレコード発売記念ライブ
2024.4.27(SAT)
渋谷La.mama
OPEN 11:00 / START 11:30
予約2,800円 / 当日3,000円(+Drinkオーダー)

出演:
吉田哲人
イエスハッピー!

吉田哲人プロフィール
作編曲家。 代表作『チームしゃちほこ/いいくらし』『WHY@DOLL / 菫アイオライト 』『Sputrip / 光の惑星』『WAY WAVE / SUMMER BREEZE』 等。シンガーソングライターとしてアナログ盤シングル『ひとめぐり』『光の惑星』、短冊CD 『ムーンライト・Tokyo』と、ソロアルバムCD『The Summing Up』『The World Won’t Listen』を発売中。

(テキスト:吉田哲人/編集:ウチタカヒデ








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