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2020年9月21日月曜日

名手達のベストプレイ第9回~バーナード・パーディ



 “プリティー”の愛称で知られる一流ドラマーのバーナード・パーディ(Bernard Lee Purdie)は、1939年6月11日にメリーランド州セシル郡のエルクトンで15人兄弟の11人目の男子と生まれた。幼少の頃から空き缶など手作りのドラムを叩いて遊んでいたという。
 14歳になると人生初のドラム・セットを買ってもらい、本格的なレッスンを受け、地元のカントリー・バンドやカーニバル・バンド等様々なスタイルでプレイするようになった。この頃の経験が後の多様なジャンルのレコーディング・セッションで活かされる礎となっていく。
 ハイスクール卒業後の1960年にはニューヨークに移り、ミッキー&シルビアやバディ・ルーカス、ジェームス・ブラウンのレコーディングに参加するなど頭角を現し、1970年にはアトランティック・レコードでアレサ・フランクリンの一連のセッションでその名は知られる。特に名盤の誉れ高い『Live At Fillmore West』(1971年)でのプレイは評判になった。
 その他にもニーナ・シモン、ギル・スコット・ヘロン、マイルス・デイヴィス、ハービー・マン、ホール&オーツ、トッド・ラングレン、スティーリー・ダン、キャット・スティーブンス等々ソウル、ジャズ、ロックの垣根を越えて多くのアルバムに参加し、彼ならではのプレイでミュージシャンズ・ミュージシャンとしての地位を確立してくのだった。
 自身のリーダー作品では1968年のファーストアルバム『Soul Drums』から27枚ほどリリースしており、セッションに参加したアルバム総数は3000枚を超えるとされている。 
 さてここではそんなバーナード・パーディ氏を心より敬愛するミュージシャン達と、彼のベストプレイを挙げてその偉業を振り返ってみたい。今回は参加者10名中4名のジャンルの異なるドラマーが参加しており、各人が独自の視点で解説してくれた。サブスクリプションの試聴プレイリスト(3時間28分!)を聴きながら読んで欲しい。


 

【バーナード・パーディのベストプレイ5】
●曲目 / ミュージシャン名
 (収録アルバムまたはシングル / リリース年度)
◎選出曲についてのコメント ※管理人以外は投稿順により掲載。



Drums & Percussion 奏者/じゃむずKOBO 代表
/S.A.D.ドラムスクール 講師 


●Memphis Soul Stew / King Curtis(『Live At Fillmore West』/ 1971年) ◎紹介を受けてリズムインの爆発力に驚いてからのダチーチーチー! キックでリズムを作る格好良さを感じた1曲です。

●Day Dream/ Aretha Franklin(『Young,Gifted and Black 』/ 1972年)
◎ダイナミクスが幅広く録音されており、実際のプレイに近い印象を受けます。 潜るところは潜り突如現れたりしながら楽曲の主導権を握る様子は ドラムの役割、リズムの大切さを教えてくれます。

●DEACON BLUES / Steely Dan(『Aja』/ 1977年)
◎HOME AT LASTに注目が集まりがちですが、シンプルな8ビートでミュートの効いたスネアをこのポケットに入れ続ける凄さ。 そしてイントロでリズムパターンとしてやりがちなシンバルワークを4小節で一つの歌として歌ってしまう発想に惚れてしまいます。

●Superstition / Bernard Purdie(『Soul to Jazz』/ 1997年)
◎録音の音質が個人的に興味深く新鮮に感じられた作品です。 パーディ節が所々で顔を出しますが、表情が違って聴こえます。 ドラムの録音についてもヒントが色々と転がっています。

●Elevate / Bernard Purdie & Friends(『Cool Down』/ 2018年)
◎冒頭からノックアウト。 Oneの位置、シンコペーションからの拾い方が本当に魅力的でバンドインへ誘うフィルインの見事な一筆書き。 この14秒でドラムとしての本質を突きつけられます。


 
DEACON BLUES / Steely Dan



オフィシャルサイト:https://groove-unchant.jimdo.com/ 


●Lady Day And John Coltrane / Gil Scott-Heron 
 (『Pieces Of A Man』/ 1971年) 
◎この曲に関しては、タイトめにリズムキープしています。 全体の演奏にドラミングが溶け込んでいて抑制されたグルーヴなんですが、時折フィルなどでみせるスネアやバスドラにパーディここにあり!と存在感をみせています。 様々なアーティストがこの曲をカバーしていて、どれもかっこいいのですが改めてオリジナルを聴くと一番かっこいいですね。

●Seeds Of Life / Harlem River Drive
 (『Harlem River Drive』/ 1971年)
◎N.Y.ラテンのピアニスト Eddie Palmieri が率いた Harlem River Drive。 この曲はまさにレアグルーヴ。暴れまわるパーディのドラムにあおるブラスセクション、歌ものとしても聴きやすく、何度聴いてもテンションがあがります。 DJプレイでもかけまくりました。

●It's All Over But The Shoutin' / Joe Cocker
 (『Jamaica Say You Will』/ 1975年)
◎1曲の中でパーディ節炸裂しまくりのファンキーロック。 イントロのフィルでバーナード・パーディ節がほとばしり、一気に曲の世界観へ引き込みます ちなみにぼくはイントロドンできます(笑)。どこをとっても聴きどころ満載のドラムパターンに、聴けば聴くほどはまる1曲です。

●Home at Last / Steely Dan (『Aja』/ 1977年)
◎もうこの曲を選んだ理由は一つだけです。 これぞ「ハーフタイムシャッフル」というドラムの手法を代表する曲なのです。 どっしりしたボトムなのに軽やかに駆け抜けるグルーヴ感が最強で、ブラックミュージックのという枠組みを超えた、ロック、ポップスの新境地に至っています。
そこはスティーリー・ダンの意図的なアレンジと言えますがその後にこのハーフタイムシャッフルは誰もが知る80sヒット、TOTOの「ROSSANA」に受けつがれていくことによって孤高のドラミングとなりました。

●Just A Little Bit Of Your Soul feat. Bernard Purdie, Pancho Morales
 / Tokyo Ska Paradise Orchestra
 (12”『Happening / Just A Little Bit Of Your Soul』/ 1993年)
◎90年代に日本で空前のアシッドジャズ、レアグルーヴのムーヴメントが巻き起こりました。その際、パーディが参加したジャズファンクのアルバムもたくさんリイシューされその流れで来日公演などもあり、なんとバーナード・パーディとパンチョ・モラレスがスカパラのアルバムに参加しました。
この曲はChuck Jackson Orchestraのカバーでスカパラのデビューアルバムにも収録されているのですが特にこのアルバムのバージョンは青木達之、パーディの左右のチャンネルにわかれたツインドラムの迫力たるや、東西レアグルーヴの宝と認定します。 ここまで5曲選んできてバーナード・パーディとレアグルーヴは切っても切り離せぬというのも改めて実感しました。


 
Seeds Of Life / Harlem River Drive





●Respect / The Vagrants
 (7"『I Love, Love You (Yes I Do)』B面/ 1967年)
◎レスリー・ウエスト在籍。代表曲はトレイド・マーティンら作。NY同期のThe Fugs参加が縁か。データにあるA面以上のパーディ感。同じく同期のVU「僕は待ち人」や前年の「96粒の涙」(アレサ版有)との近似。総じてアトランティクR&Bの匂い。

●You Hit Me(Right Where It Hurt Me) / Alice Clark
  (7"『You Hit Me(Right Where It Hurt Me)』/ 1969年) 
◎より豊穣な楽曲、よりパーディ節全開の、代表曲「Never Did I Stop Loving You」収録の唯一のアルバム(72年)との共通クレジットは、パーディのみ。急速かつ美しい展開の屈指のノーザン。編曲者リチャード・ティーの良い仕事。

●Wholy Holy / Aretha Franklin ‎(『Amazing Grace』/ 1972年) 
◎追加演奏や歌の差替えあれど、2分45秒~のコール&レスポンスの極まる神々しさはオリジナル版のハイライト。40名ものコーラス隊を包む大きなタイム感、歌うバスドラ。若きパーディら出演の同名映画(2018年、日本公開未定)はソフト化済にて必見。

●Time And Space / Roy Ayers Ubiquity
 (『A Tear To A Smile』/ 1975年)
◎デニス・デイヴィスとクレジット併記だが、この粒立ちはパーディだろう。10歳下のデニスのノリやフィルの癖はパーディにも酷似。同時期のボウイの「Fame」参加から、『Low』の「あの」スネア音への道筋は、パーディが拓いたとも言えるのではないか。

●Oh Yeah Maybe Baby (The Heebie Jeebies) / Laura Nyro
  (『Walk The Dog & Light The Light』/ 1993年)
◎ゲイリー・カッツ制作。生前最終作冒頭、フィレス処女作のカバー。「スパニッシュ・ハーレム」「スタンド・バイ・ミー」と「ビー・マイ・ベイビー」を繋ぐ雛形曲。アレサ版「スパニッシュ~」参加直後、パーディはベン・E・キングの両曲をリーダー作でも。


 
Respect / The Vagrants 



サックス吹きでもありベーシストでもあります。


●You'll Never Get to Heaven / Aretha Franklin 
 (『With Everything I Feel in Me』/ 1974年)
◎前半はリムショット中心で楽曲を抑え、半ばから一気に盛り上げる。 バーナードの歌う様なドラムは歌手に勝るとも劣らないメロディを放っている。 音が音楽として躍動するというのはこういうことをいうのだと、それが耳に、心にはっきりと届く、 そんな好演ではないかと思う。

●Tell Me How You Feel / Michael Bolotin
 (『Michael Bolotin』/ 1975年)
◎小気味良いシャッフルテイストの爽快なセッション的ナンバー。 白人シンガーというと語弊があるかもしれないが、ストレートな8ビート感とシャッフルのスイング感を両方持ち合わせた良グルーヴな曲だと思う。 バーナードがそのグルーヴ演出に多大な貢献をしていることは言うまでもない。

●Fire and Brimstone / Hummingbird
 (『We Can't Go On Meeting Like This』/ 1976年)
◎タワーオブパワーを思わせる一曲。そういうとバンドメンバーに怒られてしまいそうだが、ここでもバーナードならではの軽快かつブラックなビートがその節を効かせている。

●Come In From The Rain / Cheryl Lynn(『Cheryl Lynn』/ 1978年)
◎レゲエ風ビートが心地よい楽曲はグルーヴにベースのチャック・レイニーも一役買っている。 終始2拍4拍をアタックするバスドラムがとても気持ちよく、多彩なビートを操るバーナードの一面を垣間見られた気がします。

●You Send Me / Hank Crawford(『Mr. Chips』/ 1986年)
◎典型的な6/8ビートのブルース調のバラード。 インスト主体のアルバムの中に一曲だけゲストボーカルを迎えてのこの楽曲は、レコーディングによる作り込みを楽しむよりも一期一会的なセッションをライブで楽しむ感じ。
バーナードのドラムは淡々としているが彼の笑顔が浮かんでくる一曲。


 
Fire and Brimstone / Hummingbird 





●Mercy Mercy / Don Covay (『See Saw』/ 1966年)  
◎時代っぽいローチューニングのドラムに、タイトなビートがかっこいいし、ドン・コヴェイやっぱりかっこいい。

●Together / Ray Barretto (『Together』/ 1969年)
◎コンガの巨匠に任せて、あまり叩かない様が渋い。

●Eastern Market / Yusef Lateef
 (『Yusef Lateef's Detroit Latitude 42° 30' Longitude 83°』 / 1969年) 
◎1曲でパーディの魅力がたくさん聴ける曲。

●The Revolution Will Not Be Televised / Gil Scott-Heron
  (『Pieces Of A Man』/ 1971年) 
◎ナイス16ビート。ロン・カーターのベースも効いている。いま聴くべき曲かもしれません。

●There Is No End / Eric Kaz (『Cul-De-Sac』/ 1974年) 
◎イントロのフィルインからリムショットも渋いのだが、サビ入りのキックの位置が絶妙で、独特なタメみたいなものができていて気持ちいい。


 
The Revolution Will Not Be Televised / Gil Scott-Heron 



オフィシャルブログ:http://philiarecords.com/


●Sure 'Nuff, Sure 'Nuff / Sonny Phillips (feat. Virgil Jones, Houston Person, Joe Jones, Bob Bushnell & Bernard Purdie)
 (『Sure 'Nuff』/ 1970年)
◎インスト曲です。C#ワンコードで進んでいく曲でサックスやオルガンがソロを取る合間に入るシンプルで力強いフィルがスピード感を加えています。曲の後半にドラムがメインになるところで、裏にアクセントを入れながら盛り上がっていく高揚感はバーナード・パーディならではだと思います。

●Sweetheart / Charles Kynard(『Afro-Disiac』/ 1970年)
◎こちらもインスト曲です。ハネ系の16ビートなんですが、ハネ具合が絶妙です。重くて硬いバスドラとしなるようなスネア、そして揺れながら細かく刻まれるハイハット、全てが組み合わさってこのグルーヴが生まれているのでしょうか。手数の多いテクニカル系ドラマーというわけではないですが、真似しようと思ってもできるプレイではありません。

●Where Is The Love / Roberta Flack & Donny Hathaway
  (『Roberta Flack & Donny Hathaway』/ 1972年)
◎ロバータフラックとダニーハザウェイのヴォーカルによるスイートな一曲のバックで、全編にわたってリムショットでリズムを刻みます。タムを交えながらのフィルイン、キレのあるハイハット、丁寧なライドシンバルのプレイが印象に残る大人な一曲です。

●Purdie Good / Bernard Purdie(『Purdie Good!』/ 1971年)
◎JBをはじめとするファンクや渋谷系の音楽をよく聞いていた高校~大学時代にバーナード・パーディという存在を知り、初めて買った彼のアルバムです。セッション系ミュージシャンが自分名義のアルバムを出すと、意外なほどに面白くないというのは“あるある”だと思うんですが、バーナード・パーディは面白い作品が多いように思います。気負いすぎず参加ミュージシャンに自由にプレイしてもらう度量があるからでしょうか。

●Lady Rain / Daryl Hall & John Oates
 (『Abandoned Luncheonette』/ 1977年)
◎こちらは歌ものでアコースティックギターもリズムを刻んでいるので、比較的正確なプレイをしている様子が伺えます。間奏部分でのハイハット・ソロのような部分を含め、ハイハットのプレイがたくさん楽しめる一曲です。この突然大きめのハイハットオープンを入れて曲に心地よいブレーキをかけるようなプレイは自分も大好きで、影響されている部分があるかもしれません。


 
Purdie Good / Bernard Purdie 



【西浦謙助(集団行動 / mezcolanza etc)】 
集団行動HP:https://www.syudan.com/ 
ツイッターアカウント@tikanakangana:https://twitter.com/tikanakangana


●Soul Drums / Bernard Purdie(『Soul Drums』/ 1967年)
◎BeckのDevils Haircutでもサンプリングされたこちら、シンプル&鬼のグルーヴでダンスなんぞまるで踊れない私ですらカラダが自然と動き出します。そのリズム、呪術的。

●Love The One You're With / Aretha Franklin
 (『Live At Fillmore West』/ 1971年)
◎原曲の爽やかなエモさをこってり特濃エモに調理した一品。アレンジがかっこよすぎます。楽曲に立体感を与える御大のドラミング、お馴染みダチーチもこれでもかというくらいかましてらっしゃいます。

●Changes / Bernard Purdie(『Shaft』/ 1973年)
◎またまたサンプリング関係ですが、The Chemical Brothersの名曲Block Rockin' Beatsでも使われているこちらをチョイスしました。後世の名曲に自分のドラムが使われるって、つまりは子や孫にまで自慢できるってことです。誇らしいとはこういうことです。

●The Caves Of Altamira / Steely Dan
 (『The Royal Scam』/ 1976年)
◎御大の絶妙のタメ感やらグルーヴを堪能するには別の曲の方が良いかもですが、単純にSteely Danの中でもこの曲が大好きなので選びました。 ほんと惚れ惚れするような完成度。サビのハットオープンのタイミングやら小節またぎのフィルやらもう全部完璧です。

●Let's Go Down To Lucy's / Leon Thomas
 (『Blues and the Soulful Truth』/ 1973年)
◎ドラムは言わずもがな、まずアルバムのジャケが最高です。LEON THOMASのキャラの濃さがジャケからもビシビシと伝わってきます。御大のグルーヴ全開のドラミングにLEONさんもノリノリでございます。ハットスネアキックの3点だけでずーっと聴いていたくなります。あなたになりたい。


 
Changes / Bernard Purdie 



【松木MAKKIN俊郎(Makkin & the new music stuff / 流線形 etc)】 
オフィシャルブログ:http://blog.livedoor.jp/soulbass77/ 


●Song For Aretha / Bernard Purdie(『Soul Is...』/1972年) 
◎全盛期を共にしたアレサ・フランクリンに捧げた1曲。まるでヒップホップのようなビートから、次第にウネリと激しさが増して行きつつ、しなやかで抑制の効いたスティックさばきと輝くような音色は変わらない。

●Rock Steady / Frank Owens(『Brown'n Serve』/1973年) 
◎パーディ自ら代表作に挙げる楽曲を、自身のプロデュース作でカバー。テンポを上げて、ダチーチーチーの切れ味も3割増し。ウィルバーバスコム(b)は最良のパートナーの一人だろう。

●Blue Nocturne / Cornell Dupree(『Teasin'』/1974年) 
◎ゴーストノート、ダチーチーチー、パーディーズシャッフル…いやいや、それ以前に、一定の圧を保ちながら定位置にひたすら振り下ろすスネアのバシン!という音色。これだけで聴く者すべてを黙らせる。

●Together (You And Me) / Reuben Wilson And The Cost Of Living 
 ‎(『Got To Get Your Own』/1975年) 
◎パーディ自身お気に入りだというアルバムから。さすがに名演揃いで1曲を選ぶのが難しいが、個人的に好きな曲を。シンプルを極めたゴードンエドワーズ(b)と共に繰り返す、たゆたうようなグルーヴ。

●Sunshine Of Your Love / Felix Pappalardi
 (『Don't Worry,Ma』/1979年) 
◎ロック界から敢えてこの1曲。クリームが原曲のカバー曲のプロデューサーを、なぜかパーディがプロデュースしてしまった。いつもの面子で、マイアミ録音。それ以上に何も語る必要が無い安定のサウンド。クリアでツヤのある録音が最高。


 
Sunshine Of Your Love / Felix Pappalardi



オフィシャルサイト:http://www.shinowaweb.com 


●Krishna / Gabor Szabo(『Jazz Raga』 / 1966年) 
◎ハンガリー出身で米国に渡ったジャズギタリストのガボール・ザボは、コンテンポラリーなポップスのカバーも多く、サイケっぽくアプローチしたものも多いです。1966年にバーズがRAGAロックと称したサウンドを披露したムーヴメントと軌を一にしてか、ガボール・ザボはインド音楽をぶっ込んだあまり類を見ないサウンドを展開。当曲は自身がシタールも弾く、一大サイケムーブメント前夜の、時代を先取りしたサウンド。今で言うモンド的な味わいもあります。ドコドコしたブーミーなフロアタムがアクセントとなる、小気味よい、まさにサイケドラムの先駆的プレイ。

●Cherish / Nina Simone(『Silk & Soul』/ 1967年) 
◎Nina Simon の アソシエイションの名カバー。ハイハットのみで曲が進んでいくのですけど、これがニーナ・シモンの低音倍音ボイスにほどよい緊張感を与え続け、そして途中一瞬だけスネアフィルが入る瞬間がたまらないという、ハイセンスな超名演。

●Carpe Diem / Fugs 
(『The Fugs』(1994年再発CDにボーナストラックとして収録) / 1967年録音)
◎ESPレーベルから再リリースされる前のマイナー・レーベルからのFugsのファーストに収録されていた ”Carpe Diem” は1967年に再録され、この際にパーディが叩いています。結果リリースされず、セカンドの1994年CD再発の際にボーナストラックとして収録。素朴ながらもなかなかパーディらしく、きっちりとしたビートを出している良い仕事、パーディのこんなこともやっていました編です。なお、言わずと知れたNYビートニク詩人によって結成されたFugsは、ダニー・コーチマーなどのセッション・ミュージシャンをメンバー加えツアーを行っているので、パーディがセッションに呼ばれるのも不思議ではない感じ。

●Let’s Stay Together / Margie Joseph (『Margie Joseph』/ 1973年) 
◎パーディは、ハイハット・ワークがいつも気持ち良いのですけど、このハイハット・ワークにおいては、スネアのフィルに入る寸前の一瞬に、何かエネルギーがグッと溜められる感じがするんです。この感じが本当に堪能できる一曲。このアルバムも大変フェイヴァリットな一枚です。

●Back Back / Archie Shepp (『Kwanza』/ 1974年) 
DJやるときは結構な頻度でかける一曲。難解にも感じられるアーチー・シェップの作品中では、批判を恐れずに言うならジャズファンク、レアグルーヴに寄った聴きやすいアルバム。アルバム冒頭のこの曲は、一度聴いたら忘れられない印象的なリフをモチーフに、それが妥協無く繰り返されてゆく曲なんですが、ドラムが緩急つけながら見事にアンサンブルを盛りあげ、支えているんですよね。これも名演として知られるべき一曲。


 
Krishna / Gabor Szabo




●Caravan / Bernard Purdie(『Soul Drums』/ 1968年)
◎記念すべきファーストアルバムからデューク・エリントン作スタンダードの猛烈なカバーを。パーディのドラムソロが長過ぎてサビまで辿り着かないという。この頃から既にラテン・フィールのタム回しを披露しているのが分かる。90年初頭テレ東の深夜音楽番組にゲスト出演した際もこのアルバムのテイストでのプレイを披露したのが懐かしい。

●She's Gone / Daryl Hall & John Oates
 (『Abandoned Luncheonette』/ 1973年)
◎名門アトランティック・レコードと縁深いパーディだが、後にスターとなるブルーアイド・ソウルの新鋭デュオのセカンドでも全面的に叩いている。イントロのハイハット・ワークから本編のミディアム・グルーヴのドラミングまで曲を演出してしまう彼ならではのプレイが聴ける。

●Love Will Bring Us Back Together / Roy Ayers
 (『Fever』/ 1979年) 
◎ジャズファンクのリバイバルでも注目されたヴィブラフォン奏者の79年のアルバムから。 パーディはエアーズのバンドUbiquityの準メンバーといった具合にこの時期のレコーディングでは常連だった。特にこの曲では彼のシグネチャー・プレイが多く堪能出来るダンス・チューンでグルーヴ・メーカーとして欠かせないドラマーだった。

●Babylon Sisters / Steely Dan(『Gaucho』/ 1980年)
◎復活前のスティーリー・ダン黄金期を締めくくった墓碑銘的代表曲。所謂パーディ・シャッフルと呼ばれる彼の代表的なプレイスタイルが全編で聴ける。ロブ・マウンジーのホーン・アレンジでピアニシモからフォルテシモに移行する絶妙な間に呼応するパーディのプレイはこの曲を大きく演出していて替えが効かない。なおポリリズムで効果的に鳴っているスネアロールはチーフ・エンジニアのロジャー・ニコルスが製作した初期サンプリング・ドラムマシンWendelによるものだ。

●37 Hours (In The U.S.A.) / Raw Stylus
 (『Pushing Against The Flow』/ 1995年)
◎90年代多くのスティーリー・ダン・フォロワーの中でも出来がいい英国の3人組による唯一のアルバムのリード・トラック。やはりゲイリー・カッツのプロデュース効果は絶大で彼のテリトリーからパーディも参加して、嘗て『The Royal Scam』(76年)で披露したファンキーなプレイを再現している。 フェイゲンがシンセ、エリオット・ランドールがギターで「Josie」(『aja』収録 / 77年)のリフを生サンプリングのごとくプレイするのも聴きどころだ。


 
37 Hours (In The U.S.A.) / Raw Stylus

  (企画 / 編集:ウチタカヒデ)

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