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2005年5月23日月曜日

☆Spanky & Our Gang:『The Complete Mercury Recordings』 (Hip-O-Select/B0003620-02)

アメリカのリイシュー・レーベル、ヒップ・オー・セレクトよりもの凄いボックス・セットがリリースされた。これはスパンキー&アワ・ギャングのマーキュリー時代 (1966-1971年。実質は1967年から1969年までの3年間に活動している。75年にエピックから1枚アルバムが出ているが無視していい存在) の全音源を集めた究極のコレクターズ・アイテムが本作である。
 ジェリー・ロス、ボブ・ドロウ、スチュワート・シャーフがプロデューサーとなり作り上げたスパンキー&アワ・ギャングのサウンドは、フォーク、ジャズ、ブルース、カントリー、ジャグ・バンドなどを織り混ぜていて、そのノスタリジックな香りのする独特のアメリカン・ミュージックは唯一無二のものだった。
 オリジナル・アルバム3枚と、別テイクが多く含まれている『Spanky's Greatest Hits』は日本では CD 化されていたが、過去のライブを1971年になってリリースした『Live』は初 CD 化。あのスタジオ録音の緻密さはないが、そこで聴くことができる高度なコーラス・ワークはさすがの一語に尽きる。
 しかし、このボックスの売りはまずはなんといってもこの3曲だ。
まず、1966年のデビュー・シングルで、両面共アルバム未収録の「And Your Bird Can Sing」と「Sealed With A Kiss」である。そう、どちらもあの有名曲のカバーである。
まず、ビートルズのカバーである「And Your Bird Can Sing」は、忠実なカバーだが、ダブル・リードのエレキ・ギターの音色が軽すぎて消化不良を起こしてしまうだろう。そしてこの曲の売りとも言える最後のペダルで入ってくるハーモニーが、普通にハモッているだけなので、ちっとも面白くない。
そして「Sealed With A Kiss」はリズムがアップでシャッフル・ビート気味、少しも哀愁がなく、別の曲みたい。どちらもスパンキー&アワ・ギャングらしさは微塵もなく、出来が悪いが、プロデュースはジェリー・ロス、アレンジはジョー・レンゼッティだった。
しかしもう1曲、同時期に同じスタッフで録音された未発表曲の「Crying」は、軽快なメロディと爽やかなハーモニーによる佳曲で、「らしさ」は乏しいが、完成度は高く出来はいい。いい方が未発表とはね。
あとシングル曲 21 曲は全て当時のモノ・ミックスでまとめられ、さらに未発表のステレオ・シングル・ミックスが5曲入っていた。宣伝用に録音されたアップ・テンポの1分2秒の「Give A Damn」の別テイクも貴重だ。
限定版なので絶対に購入しよう。
この CD 4枚組のボックスは、Hip-O-Selectからインターネットで直接買うと送料込みで1万円を僅かに切る。日本ではショップで2万で売っているので半分以下、これはインターネットで買うしかない。
http://www.hip-oselect.com/
(佐野)





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