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2005年5月22日日曜日

『My Charm 』Vol.9(ブイツーソリューション/星雲社/ダイキサウンドmco-3)


 “小さなときめきを集めた小冊子”というこのCD付きブックは、作詞家の磯谷佳江が監修した自主出版のガール・ファッション&カルチャー誌で、フリーペパーから出発して体裁を変えながら今回の9号まで発行されている。
 10代~20代前半の所謂ガーリー系といわれるシーンを背景にした読者に向けた誌面は自主出版と思えない全カラー・ページを誇り、その完成度の高さには驚くばかりである。
 詳しい本の内容は割愛するが、ここで紹介したいのはCDの方である。全13組が参加しているのだがWEB VANDA読者にもお馴染みのグループであるthe Sweet Onionsの別ユニットであるSnow sheepとmelting holidays の新曲が聴けるのだ。

 Snow sheepはthe Sweet Onionsの近藤と高口に、本CDにソロでも参加している元Harmony hatchの小林しのからなる。今回は「frozen heaven」を提供しているが、女性ヴォーカリストが参加している事もあり、Onionsに比べて柔らかい80s風アーコーステック・サウンドが印象的だ。相変わらず日本人離れした近藤のヴォーカルは美声を誇っており上手くサウンドに溶け込んでいる。コーラス部での小林との対比も面白く聴ける。

 小林のソロ作である「赤い目のジル」も同様のメンバーにバッキング・プレイヤーをプラスして制作されているのだが、こちらはイントロからして60年代サイケデリックの色合いを感じさせる。ややヴォーカルの線が細いきらいもあるがイメージはよく掴んでいるだろう。ここでは「frozen heaven」でもマルチ・プレイヤーとして活躍している、高口のドラミングとフィルのセンスがとにかく素晴らしく一級のドラマー振りを発揮している。 
  一方melting holidaysの「morning star lily」は、新加入したギタリストの存在もありサウンド的に幅が出ている。シンプルなコード進行にアクセントをつけるドラム・フィルや音数を整理して空間を活かしたアレンジはかなり聴き易くなっている。ギターの音色等も含め10cc(ゴドレイ&クレーム脱退後)等70代風サウンドになっているのも面白い。

(テキスト:ウチタカヒデ

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