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1999年10月18日月曜日

☆Paul McCartney: Run Devil Run (EMI/7243-5-2304-2-3)

2年ぶりのポール・マッカートニーの新譜はロックンロール・アルバムで、新曲3曲以外、みなオールド・ロックロールのカバーで占められた。88年には旧ソ連で発売されたロックンロール・アルバム『CHOBA BCCCP』があったが、同じコンセプトとは言え、この11年後、57歳のポールの歌う本作のロック・ナンバーの方がずっと若々しく魅力的だった。ロックンロールのジョン、バラードのポールという一般的なイメージがあるが、ポールはデビューの頃から最高のロックンローラー、それは今でも変わらなかった。アルバムはロカビリーやロッカ・バラードもあるが、私はこの手は好みではなく、好きなのはあくまでもストレートなロック・ナンバーである。こういう時はカントリーっぽいのや、バラード調は気が抜けてしまってつまらない。特にポールの自作の「Run Devil Run」はもう最高! ヘヴィなギターが、重量感のあるドラムのリズム隊に乗って炸裂する。ポールのエネルギッシュなヴォーカルも、まるでデビュー時のようだ。間奏のギターやドラムのからみなど、ハイロウズのような潔さがあってロックの魅力を理屈抜きで感じさせてくれる。このパワフルなギターはなんとデイブ・ギルモアで、ピンク・フロイドとはまったく違うプレイを披露してくれた。パンクのようなビートの「She Said Yeah」や「All Shook Up」もメチャクチャカッコいいし、これぞロックンロールという「I Got Srung」や「Party」も抜群だ。私はソフト・ロックやハーモニー・ポップも大好きだが、8ビートでひたすら突っ走るストレートなロック・ナンバーも同じく大好き。一見これらは違うジャンルの音楽のように思えるが、どれも聴いた時に胸のすくような解放感がある。この解放感、高揚感が欲しくて、私は音楽を聴いている。なおこのCDはポールの40分のインタビューCDがプラスされた限定盤だ。(佐野)
Run Devil Run


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