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2023年3月24日金曜日

FMおおつ/音楽の館~Music Note 2023年1月号 Soft Rock in Japan特集 & 3月号予告

   昨年から続く日本のCity Popブーム、2月27日にはNHK「あさイチ」で「80年代シティ・ポップ特集」が放送された。内容としては当時を代表する曲が次々と紹介され一般視聴者に「懐かしさ」をもたせる内容だった。とはいえそれのみならず、「世界で人気のシティ・ポップ」のコーナーで紹介された曲には驚かされた。

 まずは泰葉の<Fly-Day Chinatown>、ご存知かとは思うが彼女はあの林家三平師匠で発売当時「我が娘ながら天才!」と叫んだことが話題にはなっていた。個人的にアルバムもチェックするほどよく聴いていたが、この曲は69位売上げ5.6万枚程度のヒットだった。

 さらに亜蘭知子の<midnight pretenders>、こちらは83年にリリースされたサード・アルバム『浮遊空間』収録曲。こちらについては「作詞家」のイメージが強く、不覚にもシンガーとして際立った曲があるのは全くノーマークだった。

 私自身このシティ・ポップは黎明期よりほぼチェックしており、その体験を故佐野邦彦さんに見込まれ2000年にVANDAで発刊した「HARMONY POP」の日本人パートでその一端をまとめさせていただいた。とはいえこの本の内容について当時某雑誌では「「Soft Rock A To Z」の亜流」と切り捨てられている。


 とはいえこの本での書き下ろしを気に入ってくれた佐野さんから「今度は日本のSoft Rockをまとめませんか」と持ち掛けられ、それが「Soft Rock In Japan」の始まりだった。そしてこの本を制作するにあたり「キーポイントになる作家のインタビューを」と音楽之友社の木村さんから提案され、私が提案した林哲司さんと面談する機会をもたせていただいた。

 ところがその時期に林さんは「作家デビュー30周年プロジェクト」進行中で「ワークス本」制作も、その企画のひとつにあった。そしてこのインタビューで好印象をもっていただいたご本人からVANDAへ制作のオファーが届いた。

 その依頼を受けた佐野さんは「これは鈴木さんが主導してやるべき」と背中を押され、2000年に「林哲司全仕事」を手掛けることになった。このように今から23年前、1年間「City Pop」に関する本を3冊まとめている。その後、追従するように同系列の書籍が数多く出版され、日本の音楽シーンにスポット・ライトを当てるきっかけになったように思っている。

 
そんな流行を反映し、2023年1月の「音楽の館~Music Note」では「JsapanesePops特集」を放送した。今回は遅ればせながらその詳細を紹介させていただくことにした。

 まずトップにチョイスしたのは、1970年代初期にNHKで放送されていた音楽番組「ステージ101」「レッツゴー・ヤング」等のサウンド・コーディネートしていたPicoこと樋口康雄さんの<I Love You(Single Version)>。このテイクは2000年前後にDJたちが血眼になって探していたといわれています。

 そしてこのプログラㇺのトークBGMは。1980年代のフュージョン・ブームを牽引したCASIOPEAのナンバーを中心にセレクト。トップは<太陽風(TAIYO-FU☆THE WIND FROM THE SUN)>(1988『EUPHONY』)。

 第1パートはオープニングのPicoや1970年以降日本の音楽シーンを賑わせていた惣領泰則が在籍していたビッグ・バンド、シング・アウトで1969年<涙をこえて>1970年<ピコの旅>。前者は当時ブラス・バンドの応援演奏定番曲でした。

 第2パートの BGはCASIOPEA<Take Me>(1979『Super Flight』)。ここでは1970年代初頭に注を集めていたグループ、ガロとBuzzからチョイス。まずはCSNYを彷彿させるコーラス・ワークで評判だった「マーク、トミー、ヴォーカル」の3人組ガロ、一般には<学生街の喫茶店>で知られた存在ですが、今回は私と佐野さんのお気に入りのファースト・アルバムから<一人で行くさ (Single Mix)>、当時パイロット万年筆CM起用曲<地球はメリー・ゴーランド>。そして「日産スカイライン」CM<ケンとメリー〜愛と風のように〜>でお馴染みBuzz。彼らは1974年サディスティック・ミカ・バンドがバッキングを務めた傑作セカンド・アルバム『レクヰエム・ザ・シティ』から、先日70歳で逝去された高橋幸宏さん作<TOKYOサンバ>、それに<ガラス窓>。この2曲には在りし日のユキヒロさんの抜群のプレイが随所に刻まれています。

 第3パートBGはCASIOPEA<SHADOW MAN>(1988『EUPHONY』)。このパートでは大物歌手や人気作曲家のポップ・ナンバー。まずは布施明さんが1974年にマルチ・キーボード・プレーヤー深町純さんと組んだ『古い上着をぬいで-布施明の世界』収録の自作<窓をあければ>。

 続いて林哲司さんの1977年リリース『バックミラー』収録曲<Rainy Saturday & Coffee Break>。この曲はコーラスを務めた大橋純子さんが美乃屋セントラルステーション『レインボー』に収録。

 3曲目は現在第23代文化庁長官を務める超売れっ子作曲家都倉俊一さんの1979年結成プロジェクトWinds<BOY(Japanese Version)>。この曲はフィリピン出身のボーイズ・グループ「クリッパー」に提供したセルフ・カバー。

 4曲目は中村きんたろうさん1978年のデビュー作『MILD』収録の<朝焼けのギブソン通り>。この曲は1970年代アメリカMGMと契約をした実力派シンガー寺田十三夫さん作。5曲目はCharさんとトリオ・バンドを組んで大活躍したドラマー、ジョニー吉永さん1977年のファースト・アルバム『Johnny』収録曲<過ぎゆく時に>、間奏での印象的なギターは山岸潤史さん。作者Charさんもセカンド・アルバム『Have A Wine』でセルフ・カヴァー。ラストは久保田麻琴と夕焼け楽団1976年のサード・アルバム『DIXIE FEVER』収録の<星くず>。

 第4パートのBGは<SENTIMENTAL AVENUE>(1988『EUPHONY』)。ここでは女性シンガーのAORナンバーで、まずは<木綿のハンカチーフ>でお馴染み太田裕美さんで1977年リリースの第6作『こけてぃっしゅ』収録曲<恋愛遊戯>。もう1曲は爽やかな歌声のやまがたすみこさん1977年リリースの8作『FLYING』収録曲<ムーンライト・ジルバ>。

 第5パートBGはCASIOPEA<SWEAR>(1981年『Cross Point』)。このパートも女性シンガーで、まずはシンガー・ソングライター久保田育子さんのデビュー曲<夢色ヒコーキ>。もう1曲は1978年に<ラブ・ステップ>でデビューした「女性版原田真二」とも呼ばれた才女越美晴さんのサード・シングル<マイ・ブルーサマー

 第6パートBGはCASIOPEA<Domino Line>(1981年『Cross Point』)。ここではデビュー時から大きくイメージ・チェンジに成功したグループ、まずは<22歳の別れ>でセンセーショナルなデビューを飾った風。彼らは1977年のサード・アルバム『windless blue』でSteely Danを彷彿させるエレクトリックなポップサウンドの傑作を発表。翌年発表したロス録音の第4作『海風』では爽快なポップなサウンドを聴かせています。それを象徴していたのが正やんの<海風>と大久保クンの<トパーズ色の街>。

 もう一組は小田和正さんが率いたオフコース。当時バックで絶妙なコーラスとエレクトリック化していくバンド・サウンドを支えたヤス(鈴木康博)さんの存在は見逃せません。5人組活動する1976年第4作『Song Is Love』以降サウンドの要として重要なポジションを担い、1977年第5作『Junction』収録の<変わってゆく女>、1980年の大ヒット作『We are』では<一億の夜を越えて>等にしっかり刻まれています


 続いての第7パートBGはLarry Carltonの1978年発表代表作<Room 335>です。ここでは「新御三家」のチャレンジを紹介します。

 まずは野口五郎さん、彼は当時からギターの腕前も評判で1976年には『ときにはラリー・カールトンのように』というタイトルのアルバムを発表するほどLarry Carlton崇拝を公言し、同年に『GORO IN LOSANGELES U.S.A. / 北回帰線』、77年には『GORO IN NEWYORK / 異邦人』と海外の人気スタジオ・ミュージシャンとの共演アルバムを4作発表しています。この活動は当時日本一辛口な評価を下していた音楽雑誌『ニュー・ミュージック・マガジン』で絶賛されるほどで、1982年にはインスト・アルバム『FIRST TAKE』をリリースしています。ここでは1978年『L.A. EXPRESS ロサンゼルス通信』から<クール・キャット>、1982年のインスト・アルバム『FIRST TAKE』からLarry Carltonから提供された<MOUNTAIN SONG>。

 続いては西城秀樹さん、この時期は吉野藤丸さんと充実したライヴ活動を精力的にこなしていますが、1978年12月に藤丸さんと二人の自作のみの意欲作『ファーストフライト』を発表。翌年2月にこのアルバㇺをプロモートするライヴ・アルバム『永遠の愛7章』をリリースしています。たた同月にリリース<ヤングマン>のメガ・ヒットで「洋楽カヴァーのヒデキ」が定着。ここでは『ファーストフライト』収録の自作曲<Sweet Half Moon(Live)>と<その愛は(Live)>を79年のライヴ・アルバム『永遠の愛7章』のライヴ・テイクで。

 そして還暦過ぎも”永遠のアイドル”として君臨する郷ひろみさんは、1975年に全曲詞ユーミンの書き下ろし『HIROMIC WORLD』、1976年に漫画家楳図かずお作詞曲収録の『街かどの神話』、1978年には穂口雄右全曲書下し『Narci-rhythm』、更に1979年にはN.Y. 24丁目バンド起用の『SUPER DRIVE』と精力的なチャレンジを続けています。そんな1978年にフェイヴァリット・ソングを公言する<ハリウッド・スキャンダル>と、シングル&アルバム共に充実した活動を送っています。ここでは『SUPER DRIVE』から林哲司さんの書き下ろし<入江にて>、1994年屋敷郷太さんのリミックス・ヴァージョンGo-Go'sハリウッド・スキャンダル>。

 といったところで次の第8パートBGは1990年代渋谷系ブームの頂点にいたPizzicato Fiveの<皆笑った(New Mix)>。1984年に小西 康陽、高浪 慶太郎、鴨宮 諒、佐々木麻美子の4人でデビュー、1987年『Couples』をリリースするも不発で鴨宮、佐々木の二人が脱退。

 その鴨宮さんは1991年に梶原もと子さんとMANNA(マンナ)を結成、その後作曲家として『ナースのお仕事』等ドラマ、アニメ等のサントラで活躍。

 Pizzicatoは田島貴男さん(現オリジナル・ラブ)を新ヴォーカルに迎え1988年に『Bellissima!』『女王陛下のピチカート・ファイヴ –ON HER MAJESTY'S REQUEST–』『月面軟着陸 -SOFT LANDING ON THE MOON-』を発表、クラブ系で熱狂的に支持を受けます。1990年に田島さんがオリラヴ再開で脱退し、1991年三代目ヴォーカリストに野宮真貴さんが加入、1993年<スウィート・ソウル・レヴュー>がヒットして「渋谷系」を代表するポップ・ユニットに君臨。

 このパートはPizzicato Five関連で、まず田島さんヴォーカル時代の<これは恋ではない>。鴨宮さん結成のMANNAで<ハプニング>、そして野宮さん時代の爽やかな<ベイビィ・ポータブル・ロック>です。

 ではラス前第9パート、BGは『EUGHONY』<迷夢(MEI-MU☆SHALLOW DREAMS)>。ここでは『Soft Rock In Japan』で紹介したナンバーから。まずはカルロス・トシキ&オメガトライブ<失恋するための500のマニュアル>。この曲はユニット名を「1986オメガ」から改名して1989年にリリースした『be yourself』の収録曲。実はこの本の発売時に、佐野さんが担当していた「ラジオVANDA」でプロモーションでオン・エア、彼が「これこそ最高のソフト・ロック!」とお墨付を付けたナンバー。

 もう1曲は日本のポップ・ミュージックを代表する一人村田和人さんで<So Long, Mrs.>。この曲はセカンド・アルバム『ひとかけらの夏』収録曲で、ソウル・テイストの心地良さに溢れています。

 この「特集」最後のパートBGはCASIOPEAの代表曲<ASAYAKE>。このパートの1曲目は伊藤銀次さんデビュー作『DEADLY DRIVE』収録<風になれるなら(シングル・ヴァージョン) >。コーラスには大貫妙子さん。

 ラス前は五十嵐浩晃さんの1981年サード・アルバム『SAILING DREAM(想い出のサマー・ソング)』収録<想い出のサマー・ソング>。プロデューサーは鈴木茂さん、コーラスに大瀧詠一さん、杉真理さんが参加。

 ラストはフィナーレを飾るのは清水信之さんのシャープなアレンジが冴えわたるEPOさんで<音楽のような風>。こんなナンバーをオンエアしました。

 さて2023年3月の「音楽の館~Music Note」では今年2月8日に94歳で亡くなられた20世紀を代表する偉大な作曲家Burt Bacharschの特集をお届けします。特に今回は選曲の一部をWeb.VANDAの管理人であるウチタカヒデさんにご協力いただきました。VANDAらしいマニアックな選曲をお楽しみください。


2023.3.25.(土)16:00~18:30

(再放送)

2023.3.26.(日)8:00~10:30

 3.28.(火)~3.31.(金)1:52~4:30


※FMおおつ 周波数 79.1MHzでお楽しみください。

※FMプラプラ (https://fmplapla.com/fmotsu/)なら全国(全世界)でお楽しみいただけます。

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