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2021年12月4日土曜日

HACK TO MONO (part3 Capitol 45rpm 編)


 前回同様に以下の条件でこれからシングル盤を聴いてみよう。

以下紹介する音源はオリジナル盤から取り込んだものであり、

ノイズ除去処理は一切行っていない。

また、盤の選定についてはRIAA制定及びステレオ音源の普及を考慮し

1964年までのリリースを対象とした

以下私見ではあるがきんさん、ぎんさんそれぞれの特性があることが分かった

モノラルと侮るなかれ、この音像の深さには感嘆するものがあった。


「Surfin’ Safari」(Capitol 4777) 1962


まずはきんさんから聴いてみよう

エコー感が溢れ、西海岸の陽気の様な感じが伝わるサウンドだ。

昔の米軍放送のオールディーズ番組の音を思い出させる懐かしさがあり、ねちっこく残るエコー成分が余計にその雰囲気を強調している。


それではぎんさんを聴いてみよう

きんさんに比べて前回同様に演奏全体がグイッと前に出る印象。

前作Surfin’ ではThe Kingston Trio然としていた演奏に比して、南California産であることが明らかなsurf music風のバッキングは、前作から続くミュートしたパーカッシブなギターサウンドの効果を引き立たせている。


「409」(Capitol 4777) 1962

きんさんの特性?がもたらすエコー感が心地いい陽気な感じが溢れている。


冒頭のSEはこれまで聴いた409の中でもっとも爆音だ、全体にみなぎる力強さが感じられる。Mikeのバスもよく出ており、ぎんさんのもたらす熱量が最高。

「Ten Little Indians」(Capitol 4880) 1962


きんさんの特性がだんだんわかってきた、全体にそつなくまとめる感じと中低域のナチュラルさと一体感が気持ちいい。


ぎんさんの力強さがここでも出ているが、きんさんより曲のディテールがくっきり出ているような感じがする。


「Country Fair」(Capitol 4880) 1962


こちらもきんさんが手堅く全体をまとめ、コーラスの響きが心地いい。

  


ぎんさんのもたらす効果でコーラスはきんさんに比して前面にくっきり聴こえている。

スネアの音もバシバシ聴こえてとにかく力強い。


「Surfin’ U.S.A」(Capitol 4932) 1963


イントロのギターのエコーが小気味いい!さすがきんさん。

キックの音も曲中終始鳴っていることがよく表現されている。

通常コーラスのinside out side U.S.Aあたりからバックの演奏とともにキックも埋もれてしまうが、うまくトレースしているところがきんさんらしい。



ぎんさん効果でキックの音もさらに強調され、デビュー以来ダンスミュージックとしてThe Beach Boysは扱われてきたのだ、と改めて気がつかされる。

ぎんさんの方がコーラス部がモノラルだがBrianのファルセットが加わると立体的に聴こえてくる。


「Shut Down」(Capitol 4932) 1963

    


きんさん特有のエコー感がここでも活かされている。ミュートしたギターのサウンド
太く鳴りsurf musicさが色濃く出ている。
間奏の素っ頓狂なMikeのサックスもここでは太く倍音が感じられる。

ぎんさんの得意とする力強さが遺憾無く発揮されている、スネアはバシバシしっかり
鳴っており、コーラスも聴かせる所でしっかり聴かせてくれる。

「Surfer Girl」(Capitol 5009) 1963


この曲が今のところ、きんさん感満載の印象だ。

コーラスの一体感エコー感すべてが満足の一曲。



きんさん感満載と述べたが、こちらの方がきんさん感プラスぎんさんの情熱的な感じがよく出ている。

Mikeのバスも楽器に埋もれることなく聴こえるし、色彩感や立体感が遺憾無く発揮されている。デビュー以来ダンスミュージックやノベルティばかりさせられてきたBrianの鬱憤を晴らす名曲故か?


「Little Deuce Coupe」(Capitol 5009) 1963


きんさん、というよりぎんさん感が出ている、ベースはうなりピアノは曲中ガンガン鳴り続けバッキングのサウンドはとても太く再生されている。
ぎんさんではどうだろうか?

期待に違わず力強い演奏だ。歌無しで聴けばハードなBoogieであって、
Canned Heatあたりが演奏してもおかしくない出来だ。コーラスも
終始Brianのトップノートをトレースしており力強い。

「Be True To Your School」(Capitol 5069) 1963

この盤ではきんさんらしさが出ておらず全体にモコモコした感じであった。


きんさんの出来から危惧されたが、冒頭のドラムロールから終始鳴り響くフロアタムの音はしっかり鳴り、それに絡むスネアやブラス、フルートもしっかり聴かせ、体育祭の応援合戦の最中であるかの如く臨場感がある。

「In My Room」(Capitol 5069) 1963



イントロから聴かれるベース部のトレモロを太くかつMikeのバスと干渉せず、しっかり鳴らしている。全体のまとまりも優れており心地いい。


Surfer Girl同様に厚く情熱的なハーモニーが聞ける。トレモロの鳴りが
力強い。

「Little Saint Nick」(Capitol 5096) 1963

きんさんらしさが活きている、楽器のバランスとコーラスおよびヴォーカルをしっかり再生し、立体的に聴かせてくれる。


ぎんさんらしく、終始鳴っているピアノはガンガン聴こえドラムもしっかり。
夏はLittle Deuce Coupe冬はLittle Saint Nickといった風情である。

「The Lord's Prayer」(Capitol 5096) 1963
曲の中盤から顕著になっていくエコー効果が心地よい、きんさんならではの出来。
コーラス全体の放つエネルギーが感じられ神々しいものとなっている。
エコー感もぎんさん超えを実現している。
本稿もちょうど年末であり、一年の終わりとあわせて聴くと感慨深い。
Brianは1964年の元旦からレコーディングを精力的に開始する。
そこから生まれる名曲の数々をきんさん、ぎんさんはどう奏でるか?
乞うご期待!

(次号へ続く)

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