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2014年10月15日水曜日

☆George Harrison:『The Apple Years 1968-1975』(G.H.Estate)


ジョージ・ハリスンのDark Horseレーベル以降のアルバムは本HPで紹介したが2004年にボックスとしてリリースされひと段落。その前のApple時代は、名盤『All Things Must Pass』と『Living In The Material World』はボーナス・トラック付で豪華リイシュー、その前の実験音楽2枚は細々リリースされていたものの、後半の『Dark Horse』(名前がこれなのにAppleなので分かりづらい)と『Extra Texture』は何のボーナス・トラックもなく忘れ去られたような扱いのままだった。ところが10年後の今年、突如『The Apple Years』としてボーナス・トラック付でボックス化されたのは嬉しい。オマケのDVDも付いたが、『The Dark Horse Years』のDVDのような短いまさにオマケ的存在だったのは残念なところ。でもCDの方の内容を聴いた事のない人などいないだろうからポイントだけ。シタールなどの『The Wonderwall Music』は最後に入ったボーナスの「The Inner Light(Alternative Take Instrumental)」だけでOK。あのビートルズ・ナンバーのカラオケなので貴重。『Electronic Sound』は私にとってはジョンのZapple3枚のアルバムと一緒で、持っているが二度と聴かない用無しアルバムだ。実験音楽はいらない。そして『All Things Must Pass』はリイシュー盤と同じく未発表の佳曲「I Live For You」と、デモの「Beware Of Darkness」「Let It Down」とホーンの演奏が違うオケの「What Is Life」などそっくり引き継がれた。このアルバムが1970年にリリースされた時の衝撃は忘れられず、「My Sweet Road」が1位、「What Is Life」が8位と大ヒットし、フィル・スペクターによるポップで奥深いサウンドで「ジョージは隠れた天才だったんだ」と大騒ぎになった。比べてジョンとポールは期待値が高すぎたので「Mother」も「Another Day」も評価は低く、名盤『John Lennon/Plastic Ono Band』は今のような高評価はなかった。そして私も含めポール・ファンに人気の高い『McCartney』『Ram』は酷評されていた。その後、ジョンは『Imagine』、ポールは『Band On The Run』で、格の違いを見せつけてくれ一気に天才の座に戻るのだが、タイムラグがあった。そしてジョージの実質セカンド『Living In The Material World』も「Don’t Let Me Wait Too Long」というウルトラ・ポップな名曲を含んだ良作で、リイシュー盤に入っていたB面曲の「Deep Blue」「Miss O’Dell」に加え、シングル・オンリーでベスト盤にしか入っていなかった「Bangle Desh」がプラスで収録された。リミックスとあるが、ハンドクラップとか聴きやすくなっただけで印象は変わらず、これは嬉しいオマケだ。そして『Dark Horse』にはシングルB面曲の「I Don’t Care Anymore」と、「Dark Horse(Early Take)」がボーナス・トラックに。『Extra Texture』には、リンゴがドラムを叩き歯切れがよくなった「This GuitarPlatinum Weird Version)」が加えられた。ボーナスDVDは、あの貴重な1990年の日本公演から「Give Me Love」が1曲だけフルで収録された。エリック・クラプトンとの関係か、その他が映像化されないのはあまりに惜しい。あとジョージが何度も着替えるポップな快作「Ding Dong Ding Dong」ぐらいが目を引く映像か。あとは抜粋版や動画でないものなどイマイチ。ジョージが短くアコギで「All Things Must Pass」を弾き語りするシーンも目が止まったが、いかんせん短過ぎ。(佐野邦彦)

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