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2009年9月24日木曜日

Small Faces:『All Or Nothing 1965-1968』(Reelin' In The Years Productions/37115320039)

これは凄い!凄すぎる!スモール・フェイセスの知られているもののうちおそらくほぼ全映像に近い17曲が一挙に収録され、おまけに現在のケニー・ジョーンズ、ジミー・ウィンストン、イアン・マクレガンのインタビュー(老けたな...)、生前のスティーブ・マリオット、ロニー・レーンのコメントが曲間に挟まり、我々ファンにとっては狂喜乱舞のDVDだ。
リアル・ライブで超カッコいい『Beat Beat Beat』の映像は「Whatcha Gonna Do About It」「Sha la la la lee」「Hey Girl」で、これに関しては既にこのHPで紹介した。まだ髪が短く、逆に今風に見える若々しいデッカ時代のスモール・フェイセスはカッコ良すぎる!あんなかわいい顔なのにマリオットのヴォーカルは黒くて最高だし、ロニー・レーンの掛け合いのヴォーカルも素晴らしい、4人の演奏は迫力満点でこれも文句なし。「All Or Nothing」だけは別の映像にしたのはこのDVDに遠慮してのことだろう。You Tubeなどで見られた映画『Dateline Diamonds』(1965年)に出演した時の「I've Got Mine」は、まだ髪が非常に短くルックスのかわいさも際立っているのに、マリオットとレーンの歌は黒人そのものでソウルフル、そのギャップが魅力的でクラクラしてしまった。1966年3月22日のマーキークラブでのライブを一部ずつ集めたのが「Plum Nelie」「You Need Loving」「Baby Please Don't Go」、もう見ていてため息しか出てこない。ああマリオット、史上最強のヴォーカリストは君だな。ケニー・ジョーンズのドラムはフーには合わなかったけど、スモール・フェイセスでのドラムは最高だ。こんな貴重な音源があるなんて驚きの一語、是非CDで収録して欲しい!「All Or Nothing」と「I Can't Make It」は1967年のTVでのもの(「All Or Nothing」は野外でのプロモではない)で、真っ黒なヴォーカルを堪能させてくれる。デッカ時代のスモール・フェイセスは、歌はR&Bで最高だし、そしてファッションもカッコ良くて服装を見ているだけでも楽しめるし、パーフェクトだ。ジャケットにクレジットはないが1966年の「Tell Me (Have You Ever Seen Me)」のIBCスタジオでのレコーディング風景も嬉しい贈り物だ。嬉しいのは1968年の「My Way Of Giving」の映像だ。どこかのTVだが、この隠れた名曲のライブが見られるなんて夢のよう。室内でのプロモ・フィルムが1967年の「Talk To You」。マリオットの髪がまだ短いが、耳が見えていたこちらの方が全然カッコいい(これ、ばっかり。でもファンだから見ているだけで幸せなのだ)。「Here Come The Nice」「Green Circles」「Lazy Sunday」はお馴染み『Beat Club』より。もう髪が長くなったTVショーのライブが、コックニーなまり全開で歌う「Itchycoo Park」(ビューチフルが印象的)、そのB面だった「I'm Only Dreaming」はまだ髪を伸ばし始めた頃の映像で半年以上、前の収録のようだ。この曲の映像があったなんて驚き。「Tin Soldier」はどこかのTVのものと思われるが、迫力がありいい映像だ。この頃はロニー・レーンが素敵だ。スティーブ・マリオットの魂のヴォーカルに、ロニーの黒いコーラスが組み合わさると最強のコラボになる。見た目は、デッカ時代はマリオット、イミディエイト時代はレーンだな。カラーの「Ogden's Nut Gone Flake」はTVでのスタジオ・ライブ(音はレコード)だが、イアン・マクレガンの姿が見られず、代わりにマリオットがキーボードを弾いている貴重な映像だ。そして遂にDVD化されたのが1968年6月21日にBBCで放送された『Colour Me Pop』の映像で「Song Of A Baker」「Happiness Stan」「Rollin' Over」「The Hungry Intruder」「The Journey」「Mad John」「HappyDaysToyTown」の全てが収められた。カラーでこの怒涛の7曲、涙なしには見られない...。最後は犬と庭でメンバーが戯れるプロモの「The Universal」、曲とピッタリだ。今までのフラストレーションを吹き飛ばしてくれるこの素晴らしいDVD、ひとつだけケチを付けさせてもらいとすれば、曲の終わりにナレーションを被せること。いつでも完全版を聴きたい、見たいのがファンなので、こういう演出は常にやめて欲しいと願っている。演出家はファンじゃないな、と常々思ってしまう。(佐野)
All Or Nothing

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