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2003年5月8日木曜日

anonymass : 『opus 01』 (MIDI Creative/CXCA-1124)

 

 嘗てゴダールの撮った作品が観た者それぞれに千差万別のイメージを抱かせた様に、interestingという名のコンパスが指す方角は必ずしも一致するとは限らない。
 anonymass のサウンドもそんなコンパスを麻痺させる樹海なのだ。 しかしそれこそが、ポップスが存在する上でのパラドックスなのかも知れない。  

 anonymassは権藤知彦と山本哲也を中心に結成され、徳澤青弦と神田智子が加わり現在に至っている。 各メンバーは頑固たるバックボーンによりコンポ-ザー、アレンジャー、プレイヤーとして名を馳せているが、そんな裏打ちされた実績を超えた次元でこの希なユニットの方法論を打ち出しているのだ。 
 このファースト・アルバム『opus 01』でも彼らの飽くなき実験性が垣間見れる。 アンビエントなミニマリズムのバック・トラックに甘美な旋律が重なる「Still Life」や、ポール・マッカトニーの希代の名曲である「For No One」のビザールなカバー。 
 「The Left Arm of Buddha」に至っては、エンニオ・モリコーネの手法に見られるプリミティヴなサウンド・スケープをも彷彿させる。 又上記曲を初めとして全体的に権藤のホーンと徳澤のチェロが重要なエレメントとなっているのも注目である。
 (テキスト:ウチタカヒデ)


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