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2000年10月1日日曜日

☆Beach Boys:『Carl & The Passions』(東芝EMI/65567)☆:『Hollnad』(東芝EMI/65568)☆:『15 Big Ones』(東芝EMI/65570)☆:『Love You』(東芝EMI/65571)☆:『M.I.U. Album』(東芝EMI/65572)☆:『L.A.』(東芝EMI/65573)☆:『Keepin' The Summer Alive』(東芝EMI/65574)☆:『The Beach Boys』(東芝EMI/65575)

リプリーズ、カリブのアルバムの残り8枚が東芝EMIよりようやくリリースされた。日本盤は2イン1ではなく単発のリリースだが、アルバムのコンセプトを大事にする方にはこのリリースの仕方に納得されるだろう。ビーチ・ボーイズに関してはもう個人的に書き尽くした感があるので、ここでは各アルバムの寸評のみ記述する。72年リリースの『Carl & The Passions』はビーチ・ボーイズの中で最も人気のないアルバムのひとつ。カール中心で作られ、リズム隊に二人の黒人を入れた本作はファンキーで、またダウン・トゥ・ジ・アース色の強い仕上がりになったが、失敗作となった。ビーチ・ボーイズにこの手の曲は合わない。ただ個々には小品ながらいい曲もある。73年の『Ho lland』はこの頃、グループをなかば支配していたマネージャーのジャック・ライリーの肝入りでオランダで録音したアルバム。前作よりもまとまりが出たが、全体を覆う空気は鈍く、そして重い。名曲「Sail On Sailor」がやはり光るが、デニスの「Only With You」やアルの「Califoirnia」にも注目。76年の『15 Big Ones』はユージン・ランディの治療により肉体的に回復しつつあるブライアンを見たリプリーズが“Brian's Back"のキャンペーンで作らせたアルバム。オリジナルは15曲中7曲とカバーの方が多く、それも往年のオールディーズのカバーなので懐メロファンは喜び近年にない大ヒットとなったが、ビーチ・ボーイズのファンにとってはなんとも寂しい仕上がりだった。ブライアンの声は悲しいまでにしわがれてしまったが、ブライアンが歌えるようになったでけでもよかったというのが当時の心境。77年の『Love You』は全曲、ブライアンが作曲・プロデュースを行った傑作アルバム。シンセサイザーを多用したバッキングと、ブライアンならではの芳醇なメロディは、ブライアンがたどり着いた新たな地平だった。特にB面の流れは感動的であり、このアルバムこそ“Brian's Back"だったが、セールス的には失敗、以降またブライアンは深い深い精神病の闇に落ちていくことになる。78年の『M.I.U. Album』はアルが中心となって作られたものだ。この頃グループはアルバム2枚が連続してリプリーズに発売を拒否され、その曲を再利用するなどして作ったものなので評論家には軽視され、セールスも最低の数字しか残せなかったが、実は素晴らしいメロディの佳曲がぎっしりの傑作である。軽快な曲が多く、メロディアスで、ハーモニーも十分、個人的に大好きなアルバムだ。リプリーズからカリブへ移籍したビーチ・ボーイズの移籍第一弾が79年の『L.A.』。ブライアンの精神状態が最悪で急遽、ビーチ・ボーイズに呼び戻されたブルースはディスコ・ヴァージョンの「Here Comes The Night」を制作、ヒットはしたものの賛否両論を生んだ。日本語まじりのマイクの「Sumah ama」、ソロ・アルバムの曲を持ち寄ったようなカールとデニスの曲などまとまりはない。ベスト・ナンバーはイギリスで6位と大ヒットしたアルの「Lady Lynda」だろう。80年にはブルースが中心となって『Keepin' The Summer Alive』が制作される。ブライアンがほぼ不在の状態で、グループはなんとか夢をもう一度ということで、「夏」をテーマに、オールディーズ的な色彩を取り入れながらこのアルバムに取り掛かる。全体的に明るく懐かしい曲想の曲が多く聴きやすいが、芯がなく、印象に残らないアルバムだった。最後は85年になってようやくリリースされた『The Beach Boys』。デニスの死後、グループの存続も危ぶまれたビーチ・ボーイズが再び集まって作ったこのアルバムは、イギリス人プロデューサーのスティーヴ・レヴィンの主導で作られ全曲デジタル録音された。ヒットも生まれ、意欲は出ているが、打ち込みのサウンドはやはりビーチ・ボーイズには合わない。このアルバム以降、ブライアンが共同で作業したビーチ・ボーイズのアルバムは制作されていない。(佐野)
Love You (2000 - Remaster)M.I.U. Album (2000 - Remaster)

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