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2016年1月16日土曜日

The Pen Friend Club:『Season Of The Pen Friend Club』(Penpal/PPRD-0001) 平川雄一インタビュー


 The Pen Friend Clubがサード・アルバム『Season Of The Pen Friend Club』を今月20日にリリースする。
 The Pen Friend Clubは漫画家の平川雄一により2012年に結成され、これまでにリリースした2枚のアルバムと2枚の7インチ・アナログシングルが、60sポップス・ファンや音楽マニアの間で常に話題となっていた。平川自身も2014年末に紙ジャケCDリイシューされた、ビーチ・ボーイズの『Today!』と『Summer Days(And Summer Nights!!)』のライナーノーツを担当するなど、一級のBB5マニアとして知られている。
 また昨年来日したゾンビーズ(コリン・ブランストーンとロッド・アージェントを中心とした現メンバーによる)や現ブライアン・ウイルソン・バンドのバンマスでビーチ・ボーイズのメンバーでもあるジェフリー・フォスケットとライヴ共演したりと、音楽マニアを地で行くバンドとしては黄金の歩みを見せており、今後の活動からも目が離せないのだ。
アルバムの詳しい解説については弊誌佐野編集長のレビューを読んで頂くとして、ここでは筆者と交流のある平川氏にインタビューをおこなったので掲載したい。

ウチ(以下U):まずはサード・アルバムのリリース、おめでとうございます。
セカンドから約1年と、コンスタントにアルバムを発表できる現状をどう思いますか?

平川(以下H):ありがとうございます。
まずメンバーに感謝です。ヴォーカルが変わってライヴのレパートリーのキーが変わったり、いろいろライヴも忙しく大変な状況の中でのレコーディングでした。でもみんなそれぞれの役割を完璧にこなしてくれました。彼らの存在抜きには考えられません。
それと応援してくれるファンの皆さんにも本当に感謝です。前作、前々作が好評だったので今回からは自分のレーベル(ペンパル・レコード)から発表することにしました。
買ってくれた皆さんのおかげです。

U:自分達のレーベルを設立したことで、今後活動の幅も広がるんじゃないですか?

H:まだ始めたばかりなので今後どうなるかはわからないんですが、他のバンドやミュージシャンの作品をリリースする予定は今のところないです。やっぱり「売る」って大変な作業ですからね。
売る側(自分)が本気を出せるようなバンドやブツじゃないと難しいと思います。
今、僕が本気で取り組めるのはペンフレンドクラブ以外ないので。 ...まあ、しがない個人事業主ですしね(笑)。

U:メンバー的にはヴォーカリストが向井はるかさんから高野ジュンさんへと 変わったことでバンド・サウンドに何か新しい変化はありましたか?

H:高野ジュンは日本語詞の歌を歌った時の情感がいい感じなので、そこは今回のサードで活かされたなあと思います。「土曜日の恋人」でのキュートな歌いっぷりや「Poor Boy」のエレガントな感じとか、高野にハマったかなと。
全体的なコンセプト、趣向は以前から変わらないんですが、僕のミックスの腕がちょっとづつ向上してきているので、サウンドの変化があるとしたら原因の多くはそこだと思います。
ライヴではヴォーカル変更の影響がかなりあります。キーも変わりますしね。

U:なるほどミックスの向上ですね。平川さんはソングライティングとアレンジからミックスやマスタリング、はたまたジャケット・デザインまでお一人でやっている訳ですが、プロデューサーとしての立場からそれらを外部に任せようと考えたことはないですか?
特にミックスやマスタリングはインディーズでも専門家にオファーする場合が多々あるんですが。

H:編集作業を外部に任せたいと思ったことは一度もありません。
だって一番楽しい作業じゃないですか。何が何でも自分がやりたいです。絶対に誰にも渡しません(笑)。
毎回、必ずミックス中に身も心もボロボロになるんですけど...それだから楽しいんです。
演奏や歌は僕以外でもいいと思います。
ジャケのデザインも自分でやりたいですね。やっぱり好きなんで。

U:それは究極の音楽オタクだよ(笑)、テクノ・ユニットのメンバーみたいな。
でも分かる気はします。盆栽というか箱庭作りにも似た密室作業ってハマりますからね。
ところで話は新しいヴォーカルの高野ジュンさんに戻りますが、誤解を恐れずに言うと、声質がバンドのシンガーってより70年代MOR系のソロ・シンガーっぽいナチュナルな感触で凄く面白いことが出来るじゃないかと思いますね。
例えば「みんなのうた」やアニメソングとか、子供にも好かれる声質というのかな。

H:まさにおっしゃるとおりで、高野ジュンは元々シンガー志望で、これまでピアノやギター1本をバックに活動していまして、バンドでのリードボーカルはほぼ初めての経験なんです。
加入してまだ半年なのでこれからもっとバンドに馴染んでいくでしょうね。
今後オリジナルに関しては僕が作詞する曲が多くなりそうなので日本語詞の曲が増えていくと思います。
高野の良さが映えればいいなと思っています。






U:ではアルバムの収録曲についてなんですがオリジナル曲の比率が増えましたよね。バンドの活動方針とか平川さんの中で心境の変化がありましたか?

H:オリジナルとカバーの比率が5:5くらいがちょうど良いかなと。
これまでが少なすぎましたし、オリジナルがもっと聞きたいという声もありましたので。
いずれは全部オリジナルとかもあるかもしれませんね。
そのときはカバーのネタが尽きた時かなあ(笑)。

U:カバーネタが尽きた時って(笑)。確かにいずれは収録曲全てをオリジナルでまかなうのが理想かも知れませんが、カバーの選曲における審美眼って大事だと思うんです。
私なんかはそれが評価する目安になっております。

H:カバーは次回作を作りたくなる原動力なので、そう言っていただけると凄く嬉しいです。
次のカバー曲、なにやろうかと妄想するのが好きです(笑)。

U:VANDA的にも今回もそのカバー曲の選曲が非常に気になります。
ファーストやセカンドに比べても、バンドの顔だったビーチ・ボーイズ関連の曲が無くなりましたが、意図的にそうしたのかな?
前回からのジミー・ウェッブやフィレス関連の他にスペクターの弟子筋であるアンダース&ポンシア、またテディ・ランダッツォ&ボビィ・ワインスタインなんてマニア心をくすぐる選曲は平川さんの趣味ですか?

H:そうそう今回ビーチ・ボーイズ、というかブライアン・ウィルソン作品をやってないんですよね。ホントたまたまなんです。カバー曲を選んでいくうちに入れるスペースが無くなった感じです。
なので今ブライアン作品をやりたい欲がかなり沸いてきているので次回作は何かやると思います。
アンダース&ポンシア作は3作連続で取り上げていますね。ちなみに次回作の4thアルバムにも入れるつもりです。もうアンダース&ポンシアバンドと呼ばれても構いません(笑)。
ジミー・ウェッブにランダッツォ、山下達郎さんの「土曜日の恋日」なら先日亡くなったスナッフ・ギャレットですかね。
やっぱり作家やプロデューサーで聴いていく傾向は強いですね。

U:次回作ではブライアン作品のカバーを収録予定とのことですが、本作でその不在を感じさせないところは、平川さんのオリジナル曲にそのエレメントが息づいているからだと思うのね。それって恩返しみたいなものですよ。
それとアンダース&ポンシア作に至っては、これまでのアルバムで取り上げていて、解説で竹内修さんも書かれていますが、そんなバンドは他にいないですよ(笑)。
作家性とか作品主義ってやはり音楽の本質だと思うんですけど、先人の大瀧詠一氏や山下達郎氏の志を受け継いでいるという点で、平川さんやウワノソラ'67の角谷君にはかなり期待しております。

H:ありがとうございます。僕はただ自分の好きなことだけを、自分の実現可能な範囲内で、自己満足のためにやっている一介のケチなアマチュア・ミュージシャンに過ぎないので...
期待は失望のなんとやらと言いますしね。
というわけで、これからもアンダース&ポンシアバンドとして邁進してゆく所存です(笑)。

U:そんなバンドはこの平成の世に凄いよ(笑)。
でもアンダース&ポンシアやスナッフ・ギャレットが手掛けたゲイリー・ルイスのサウンドへのオマージュ(「土曜日の恋日」)は予想出来ましたが、テディ・ランダッツォの曲までとは想像がつきませんでしたよ。ロイヤレッツの後にローラ・ニーロもカバーしてよく知られる「It's Gonna Take A Miracle」じゃなくて、「Poor Boy」っていうのが渋いよね。
他のランダッツォ作品では「Going Out Of My Head」(リトル・アンソニー&インペリアルズ)なんか高野さんの声質にハマると思います。僕の個人的希望としては「Hurt So Bad」をBPM上げたガレージバンド・アレンジでカバーして欲しいけどね(笑)。

H:「Going Out Of My Head」いいですね〜。そういえばゾンビーズもやっていましたしね。
いずれにせよランダッツォ作品はこれからも取り上げたいと思っています。

U:昨年はそのゾンビーズや現ブライアン・ウイルソン・バンドのバンマスであるジェフリー・フォスケットとライヴ共演してかなり充実したバンド活動を送りましたね。
そんな自分達が敬愛するミュージシャン達と共演した率直な感想をお聞かせ下さい。
また今年2016年の抱負も聞かせて下さい。

H:ゾンビーズとの共演は貴重でしたし、グッとくるものがありましたね。舞台袖から見る彼らのステージも格別でした。
やっぱり曲がよくて演奏がうまかったら、もうそれ以外何もいらないなと改めて思いましたね。
楽屋でも本当にいい人たちで優しく接してもらいました。

昨年末のジェフリーとの共演も素晴らしかったです。
ジェフリーは1980初頭以降のビーチ・ボーイズ達を支えてきた僕の憧れの人です。
僕の20代は2000年代なんですが、ブライアン・ウイルソン・バンドがとても精力的に活動していた頃です。その頃ずっとブライアンの傍らにいた人と一緒にやれるなんて夢のようでした。
共演の当日、ペンフレンドクラブのサウンドチェックも見てくれて、「How Does It Feel」、「Don't Run Away」、「Newyork's A Lonely Town」とかやったんですが、拍手して褒めてくれるのが嬉しくて。
ジェフリーボーカルでのステージでは「Darlin'」、「Don't Worry Baby」、「Little Saint Nick」、「Guess I'm Dumb」、「Fun, Fun, Fun」を僕たちがバックでやりました。この選曲だけで感無量です。
楽屋ではジェフリーからいっぱいピックを貰ったり、お返しにVOXのカールコードをプレゼントしたり、スマホの中のお互いのギターコレクションの写真を見せ合って驚いたり(笑)、趣味のすごく合う友達ができてよかったです(笑)。

U:もうジェフリーとダチじゃないですか(笑)。音楽によって世代や立場を超えて繋がるって美しいことだと思いますよ。今後共演したい国内外のバンドやミュージシャンはいますか?また今年初頭の決定しているライヴ情報を教えてください。

H:もちろんジェフリーのことは尊敬しておりますよ。共演した後に僕がジェフリーにインタビューしたんです。その模様が2016年2月発売のレコードコレクターズ誌に掲載されます。
あんまり大したことは聞けなかったんですけどね(笑)。是非ご覧くださいませ。
1/24(日)高円寺HIGHでジューシィフルーツさんと対バンします。
2/7(日)タワレコ新宿店、2/28(日)HMV record shop 渋谷でインストアLIVEをやります。
3/20(日)東京倶楽部 目黒店でサード・アルバムのレコ発ワンマンLIVEをやります。
こんな感じですかね。どなた様も是非是非。
...今後共演したいミュージシャンですか?うーん...あんまり高望みはしないようにしておきます(笑)。 とりあえず日常会話くらいの英語を喋れるようにしたいですね。
(インタビュー設問作成:ウチタカヒデ)



2016年1月15日金曜日

☆Crosby Stills Nash & Young:『Roosevelt Raceway-Live 1974』(Air Cuts/ACCD8027)


2014年に、ライブツアーだけでスタジオ・レコーディングは行われなかった1974年のCSN&Y再結成のライブ音源集『CSNY 1974』がリリースされ、多くのファンを狂喜させてくれたのは記憶に新しい。そのライブはCD3枚組40曲というボリュームだったが、本盤は16曲というコンパクトなもの。それは197498日のニューヨークのロング・アイランドでのライブで、FMで高品質なライブを流すことで有名なKing Biscuit Flower Hourの音源をそのままCDにしたものだ。曲は16曲中、グラハム・ナッシュ6曲、ニール・ヤング4曲、デビッド・クロスビー3曲、ステファン・スティルス2曲、スティルス&クロスビーの1曲だ。例によってサウンドがヘヴィなスティルス&クロスビーは、例えば『Love The One You’re With』などパーカッションがさらに強化され、もう原曲のイメージは無い。その点、私はアコースティック・セットでハーモニーを重視するCSN&Yが好みなので、ニール・ヤングとグラハム・ナッシュの曲が多いのは嬉しい。『CSNY 1974』では収録されていない初登場曲はニール・ヤングの「Walk On」とグラハム・ナッシュの「Southbound Train」「Another Sleep Song」だ。この中でもNash &Crosbyのアルバムを買って、最も好きだった「Southbound Train」が最高の贈り物だ。後半のコーラス・ワークがいい。ただこのCD、作曲のクレジットを入れないのはどうなのか?ハーフ・オフィシャルなのかな。(佐野邦彦)









2016年1月11日月曜日

☆The Beach Boys:『The Beach Boys’ Christmas Album(Mono & Stereo)』(Download Only)


ふと気づいたら、一度もCD化されていない『The Beach Boys’ Christmas Album』のモノラル盤がダウンロード販売していたので、退院までの間に購入し、帰宅後チェックをしたところ。確かにこれは「真正モノ」であり、後のCD化で編集され長くなった「偽モノ」は混じっていない。音像の好みなどは除外する。もともと私はモノ派ではなくステレオ派、モノの方がいいかなと思う曲があるのは一般的には1963年と1964年くらいまでの音源だ。購入はiTunesMono&Stereo1900円版。現在では疑似ステレオしかない『Surfin’ Safari』『Wild Honey』のステレオ、まったく違いが無い『Beach Boys Concert』のモノラル(予想通りこれだけモノラルリリースなし)を除くとモノラルが無くなった『Friends』までは、全てステレオ、モノラルの両仕様が出て、以降のアルバムは『The Beach Boys(1985)』までステレオの「ハイレゾ版」が出ているのだ!さらにAnalogue Productionsからのステレオ、モノラル別々にハイブリッドSACD200gアナログLPの発売、ここも前述したように『Holland』を皮切りにブラザー時代以降も網羅するだろうから、いったい全部揃えたら幾らかかるのか!私のように3年半に渡る病人、もう定年まで2年なのにこれからゼロからリハビリして1年後に奇跡が起きて再復職という非現実的は諦め、もう勧奨退職して社会保険は妻の扶養に入り、退職金で住宅ローンを完済して残りの治療費に…という人間に、そんな高額商品を揃える余裕はなくなった。一騎当千のビーチ・ボーイズ・ファンの方、これらの全音源の違いがあれば是非教えて欲しい。楽しみにお待ちしています。

それではようやく、『The Beach Boys’ Christmas Album(Mono & Stereo)』の違いについて紹介しよう。

  1. Little Saint Nick(Album Version)」…鈴と鉄琴が入っていないステレオのアルバム・ヴァージョンは『Ultimate Christmas』や、90年代にリリースされたボーナス・トラック付『The Beach Boys’ Christmas Album』で聴けたが 初ダウンロード化のモノ・ヴァージョンは最後のリフレインがステレオの3(159)に比べて2(152)でフェイドアウトしてしまう。
  2. The Man With All The Toys」…ステレオのエンディングは2回目のリフレインの最後の高い「オ!」のあとのギターで終わってしまうが、初ダウンロード化のモノラルはさらに2秒長く、3回目のリフレインの「オ!」を2回聴くことができる。90年代の『The Beach Boys’ Christmas Album』や、『U.S. Singles Collection Capitol Years 1962-1965』はモノで入っているが、ステレオと同じく短く「悪い偽モノ」編集されていた。
  3. Santa’s Beard」…ステレオはモノラルより3秒長く、最後のア・カペラ風のHe’s Just Helpin’ Santa Clausの歌の部分を聴くことができる。この点はLPCDと扱いは変わらず、以前より変わらない。
  4. Merry Christmas Baby」…モノ・アルバムのヴァージョンは初ダウンロード化だが、これは悲しいシロモノ。というのは間奏のハミングの後の歌が始まってすぐにフェイドアウトしてしまって、続きの歌とリフレインがまったくカットされてしまっているからだ。だからステレオに比べ18秒も短い。なお、この音源には注意点があり、90年代にリリースされたボーナス・トラック付『The Beach Boys’ Christmas Album』では、そのボーナス・トラックを除くと、「Little Saint Nick(Album Version)」のみステレオで、他のオリジナル曲はモノラルで作られていた。しかしここでの「Merry Christmas BabyCD化の際に、最後のリフレインがステレオは4回で終わっていたが、このCDのモノラルは6回目の頭で終わり、ステレオよりさらに5秒長くした。よってLPのモノラルよりも23秒も長いという新編集のCD用のモノラル(冒頭で「偽モノ」と書いたがいい偽モノだ)なので持っていない人は入手しておこう。
  5. Christmas Day」…初ダウンロード化の「真正モノラル」は、ステレオ(CDLP)に比べ6秒長く、最後のAnd I'll Never Outgrow The Thrill Of Christmas Dayまで聴くことができる。それまでのCDのモノラル(前述のCD)はステレオよりは長いがAnd I'll Never Outgrow Thrill…で終わる「偽モノ」だった
  6. We Three Kings Of Orient Are」…ステレオ、モノ共、LPCDもエンディングをフェイドアウト気味に絞っていくので最後のコーラス非常に小さい。なお、この音源にも注意事項があり、90年代にリリースされた『The Beach Boys’ Christmas Album』のCDのモノはフェイドアウトしない編集に変えた「いい偽モノ」なので最後のハーモニーまでしっかり聴くことができる。

※その他のアルバム曲は、完奏するので、CDLPも含め、ステレオとモノラルとで差はない。最後に同時期のシングルオンリー&別テイクのステレオとモノを紹介しておこう。

Little Saint NickSingle Version)」…ステレオは3ヴァージョンあり、まず『Ultimate Christmas』のヴァージョンは26秒と最長で、他では聴けない4回目のリフレインでブライアンの上昇するアドリブヴォーカルを楽しめる。鈴と鉄琴の音は分離よく聴こえ適度の大きさ。日本独自編集で現在リイシュー中の『ビーチ・ボーイズUSシングル・コレクション』のヴァージョンは鈴と鉄琴の音がかなり大きくミックスされ長さは22秒。『U.S. Singles Collection Capitol Years 1962-1965』収録の2008 Stereo Mixは、モノラルのシングル・ヴァージョンに似せていて、ヴォーカルが大きく、鈴と鉄琴の音は小さくミックスされ長さもモノラルと同じ157秒である。多くの『The Beach Boys’ Christmas Album』や『Christmas Harmony』など「Little Saint Nick」が1テイクしか入っていないCDはアルバム・ヴァージョンではなく、モノ・シングル・ヴァージョンが収録されている。

The Lord’s Prayer」…1963年の「Little Saint Nick」のシングルB面曲で、アルバム未収録。元はモノラルで『U.S. Singles Collection Capitol Years 1962-1965』や前述の日本終版『ビーチ・ボーイズUSシングル・コレクション』、『The Capitol Years』、『Rarities』等に入っているがなぜか『Ultimate Christmas』には収録されなかった。ステレオは90年代の『The Beach Boys’ Christmas Album』のボーナス・トラックに、ステレオ・リミックスは『U.S. Singles Collection Capitol Years 1962-1965』『Hawthorne CA』で登場したが、特に違いは無い。ステレオとステレオ・リミックスの違いもほとんどない。

Auld Lang SyneA Cappella)」…デニスのナレーション抜きのこの素晴らしいア・カペラはモノラルで90年代の『The Beach Boys' Christmas Album』のボーナス・トラック、『The Capitol Years』、『Rarities』で聴くことができる。後に冒頭にカウントが入ったステレオ・ヴァージョンが『Ultimate Christmas』で登場した。

Little Saint Nick(Alternate Version)」…「Little Saint Nick」というより「Drive-In」の歌詞を変えただけといっていいボツヴァージョン。モノラルは90年代の『The Beach Boys’ Christmas Album』、ステレオは『Ultimate Christmas』で登場。ダウンロード販売のみの『Keep An Eye On Summer』では歌の途中までの練習後に本番テイクが入っている「Little Saint NickDrive-In(Vocal Session Highlights And New Stereo Mix)」が収録された。

その他ではその『Keep An Eye On Summer』に、ビーチ・ボーイズの演奏ではないがクリスマス・アルバムのためにディック・レイノルズが録音していた「Christmas Eve」と「Jingle Bells」のオケがあって驚かされた。アルバム用にまだ用意されていたのか。(佐野邦彦)

 

2016年1月7日木曜日

☆最近のBeach Boysメンバーのソロ活動の追跡調査(Brian、Al、Mike)




明日退院だが、この正月の短期入院時に表記の調査をしてみた。ブライアンがリード・ヴォーカルを取っているオムニバスへの参加作品は価値があるが、「フィーチャリング参加」のものはまずつまらないので、注意しよう。ブライアン・ウィルソンは、2015Mini Mansionsの『The Great Pretenders』というアルバムの中の「Any Emotions」という曲で、feat.Brian Wilsonでゲスト参加している。ミディアムのレイドバックした曲で最後のコーラス部にブライアンがいるなと分かる程度。またEmile Haynieの『Falling Apart』の冒頭のタイトル曲で、feat. Andrew Wyatt, Brian Wilsonとして少々ドラマティックな作りの「Falling Apart」を披露しているが、最後のコーラス部でブライアンがいるかなと分かる程度。他、Web VANDA上で紹介していない古いものでは2011年のOld Sand Millのアルバム『The World Is Getting Colder(SHP Recoeds)の中でfeat. Brian Wilson and Rick Boston名義で「Be True To Your School」と「Too Much Sun」を披露している。前者はライブ仕立てでヴォーカルはマイク・ラブ風に歌われアレンジも同じ。しかしブライアンの存在は分からない。B面は重いアカペラから始まるカントリー・ナンバーだが、ここでもブライアンの存在感はない。さらに2009年ハイチ大地震のチャリティの為に作られた「We Are The World」の替え歌「We Are the World 25 for Haiti-Artists for Haiti」があるが、ブライアンにソロ・パートはなく、コーラスの参加のみでどこにいるのかよく分からない。まあ全てよほどのマニアでなければ全て不用のシロモノ。ついでにAdrian Baker2010年にリリース、マイク・ラブにリード・ヴォーカルを録ってもらったアップの「Summertime Blues」の7インチ、12インチヴァージョンは、前述の「We Are the World 25 for Haiti-Artists for Haiti」とOil Sand Mill3曲などと合わせて、先月紹介したDoxyからamazonのみでダウンロード販売されているビーチ・ボーイズのライブ盤4枚の曲中に勝手に一緒に入っていた。まあタダだからいいけど決して買うようなシロモノではない。
逆に内容がいいのは、メンバーのソロ配信の方。アル・ジャーディンは201512月に「Hurry Up, Hurry Up, Santa Claus」というホワイト・ドゥ・ワップ風のコーラスを付けたロックンロール・クリスマス・ナンバーを出した。日本のiTunesでは扱っていないので、アメリカのCDBABYで、$0.99で購入。そのひと月前の11月にはマイク・ラブが「(You'll Never Be) Alone on Christmas Day」をリリース、1979年の幻のビーチ・ボーイズのクリスマス・アルバム用の曲で、原曲はブートで聴けたが、今回はまったくの新録音で、ブルース・ジョンストンやジェフリー・フォスケットもレコーディングに参加してはるかに分厚いサウンドとコーラスで仕上げられている。こちらはamazon150円。マイクでは2009年にクリスマスチャリティCDJDRF's Hope For The Holidays』を出し、マイク&ブルースなのにビーチ・ボーイズ名義で「Santa's Goin' To Kokomo」を出してひんしゅくを買ったものだが、そこから曲を増やした『More Hope For The Holidays』をダウンロード販売している。この中でマイクが参加したのは「Closing of the Year」と「Peace And Love」で、前者はクリスチャン・ラブのソロといってもよくマイクの声は聴こえない。後者はLawrence Daviesがリードでマイクらがコーラスを付けたもので、こちらではマイクの声が聴こえる程度。amazon150円ずつだったが、これは購入するようなものではないので注意。それよりも気づかなかったのが、2008年とリリースは古いがレターメンのトニー・ビタラが2007年まで主催したイベントのCDで、2005年の音源である『Vocal Group Hall Of Fame 2004 Live Induction Concerts Vol. 2』でアルが「Help Me Rhonda」「California Girls」のリード・ヴォーカルを取っていた。軽く歌っているが、安定感抜群のアルであり、amazon2300円ダウンロードできるのでファンの方は是非。こういう情報は下記のサイトが詳しく、認識を新たにさせてもらったのでそれもちょっと紹介してこう。アルは2008年と2009年にアルは「Big Sur Christmas」と「Christmas Song」を配信していたが、今でも購入でき、かつ前者はCDも出ているのかとか、あのアルの絵本の「Sloop John B-A Pirates’s Tale」封入の「Sloop John B」は、後の『A Postcard From California』収録された時にはリミックスされていたと気づかせてくれた。さらに今でも配信のみで聴けるアルが2003年にカリフォルニア州知事選挙用に作った曲「California Recall Blues」や、2014年にマイク・ラブがジョージ・ハリスンと昔インドへ旅行した時の事を歌にして捧げた曲「Pisces Brothers」や、2005年にマイク協賛の環境保護団体のCM曲「Arbor Day Foundation PSAs」の配信がクリック一発で聴けるので、今のうちだ。急げ。ブライアンのライブもある。その「ビーチ・ボーイズ・ガイド」というサイトは非常に細かくチェックをしていて、おまけにリンクフリーであり、非常に素晴らしい。おしえていただくことも多く、お気に入りへ保存だ。(佐野邦彦)

http://agttbb.web.fc2.com/index.html








☆Beach Boys:「We Got Love(Studio Long Version)」入りの『Holland』が、2月16日にSACDと200gLPの両仕様で、Analogue Productionから発売予定


 先日、iTunesでの『Holland』のリイシューで、初復刻された幻のスタジオ・ヴァージョンの「We Got Love」が配信された。さらに驚かされたのは、当時のミスプレスのみで聴けた同曲よりエンディングが50秒以上長いロング・ヴァージョンでもあったのだ。そして嬉しいことにアメリカのAnalogue ProductionよりハイブリッドSACDと、200gアナログLPにもこの「We Got LoveStudio Long Version)」が入る。LPの方はあのEPLPサイズとなり、同曲が入るので2枚組のような感じか。値段は$30$40で、日本への送料を入れて$101の請求が来た。ずいぶんと高額になってしまったが、この手のアイテムは、現在のamazonはまったく信用できず、タワーやHMV、ディスクユニオンもまったく無掲載で、実際とあり扱うか、扱っても発売日など信用できない。この際、直接注文した方が確実と、ネット注文したが、さてどうなるか。他のタイトルもみなSACD及びステレオLP、モノLPとリリースされるので、下記の「ビーチ・ボーイズ・ガイド」の表を参考にどうぞ。まあ高いからこれしか買わないけどね。


(佐野邦彦)
The Beach Boys - Holland