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2003年6月25日水曜日

Radio VANDA 第 39 回選曲リスト(2003/07/03)



Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


第一特集Zombies

1. Tell Her No ('65)
2. She's Not There ('64)
3. She's Coming Home ('65)
4. Whenever You're Ready ('65)
5. I Love You ('65)
6. Is This A Dream ('65)
7. If It Don't Work It Out ('69)
ベーストラックは65年の録音
8. Care Of Cell 44 ('67)
9. A Rose For Emily ('68)
10. Maybe After He's Gone ('68)
11. Brief Candle ('68)
12. Hung Up On A Deeam ('68)
13. Time Of The Season ('68)


第二特集Del Shannon

14. Tell Her No ('75)
      15. Cut And Come Again ('67) 作曲:Billy Nicholls /プロデュース:
       Andrew Loog Oldham
      16. Gypsy Woman ('69) ... Brian Hyland プロデュースを担当

 

 


2003年6月18日水曜日

Melting Holidays : 『Seven Favorites』 (sucre SCPN-8)

 
 前作の『Cherry Wine』が21世紀型ソフトロックとして各方面で話題になり、海外でも注目されている男女二人組ユニットのセカンド・アルバムが早くも登場。

 本作も打ち込みメインのサウンド・プロダクションであるが、ササキの職人技的な楽器配列は相変わらず巧みで、その音像はさらに深まったといえる。
 又カトリーヌ・スパーク似のヴォーカリスト、ケイの描く歌詞も休日の幸福感と日常のメルヘンとが交差する、郊外型ファンシー娘の面目躍如を発揮。
 そして今回のもう一つの話題は、前代未聞のトート・バック・メーカー「みつばちトート」とのコラボレーションで、"音楽もそのままトートに詰めて街に繰り出そう!"という訳だ。 

 肝心な曲で気になるのは先ず「Monsoon」。『Bali』の頃のワンダーミンツを彷彿させる、ヴァーチャルなエキゾティズムが彼らの新境地を切り開いた傑作。フックの空間処理等サウンドスケープのディテールも曲を演出する重要なエレメントとして機能している。
 A&M系サウンドとクリエーション・レーベル系サウンドと一見相容れないエレメントがハイブリッドに溶け合って弾ける「Rainbow,Rainbow」もかなり気になる曲。 ありそうでなかった展開ではないだろうか。
  「Holiday in a totebag」のソフロ・ボッサ感は、ジミー・ウエッブ&5th ディメンションを研究している成果が出ていて、フックから一旦下降して上がるライン等ツボを押さえて全く飽きさせない。 今後の課題としては、素晴らしい楽曲を風化させないためにも生楽器を上手く融合させ、サウンドのパレットにヒューマンな新色を加えるべきだろう。 因みにMelting Holidaysの二人は、9月発行予定のVANDA29号にも登場してくれるので、こちらもお楽しみに。
(テキスト:ウチタカヒデ)


2003年6月15日日曜日

ゲントウキ : 『素敵な、あの人。』 (Dreamusic MUCT-5002)


 名曲とは、それに相応しいイントロと共に聴く者に舞い降りてくる。 正にそんな曲がゲントウキの新作シングル『素敵な、あの人。』なのだ。

 ゲントウキはVo&Gの田中潤を中心にした、豊かなソングライティング・センスを特徴とするトリオ編成のポップス・バンドである。
 これまでに彼らはフルアルバムとミニアルバム各1枚とシングル2枚をリリースしており、前作のメジャー・デビューシングル『鈍色の季節』では、ジェームス・テイラーを思わせる繊細且つ複雑に展開していくメロディを持った味わい深い世界を構築していた。(蛇足だがドラム・サウンドは、ビル・シムジクがクリエイトした後期イーグルスのそれを思い起こさせる)

 今回のセカンド・シングルではキースの「Ani't Gonna Lie」よろしく心弾むシャッフル・ビートに、軽妙洒脱ながら淡いロマンティズムを感じさせる詞世界を屈指のメロディで綴った傑作として仕上げている。
 若き日のムッシュかまやつ氏を思わせる、田中の個性的なヴォーカルもこの曲の風光明媚な世界観をより鮮明にしているエレメントといえよう。  このゲントウキや Lamp を聴いていると、サニーデイ・サービス以降も脈々と受け継がれている、 "はっぴいえんどDNA" の存在をひしひしと感じさせられるのである。
(テキスト:ウチタカヒデ

2003年6月14日土曜日

Steely Dan : 『Everything Must Go』 (Warner/Reprise 48435)

 

 72年のデビューから80年の活動休止を経て、20年振りにリリースした前作『Two Against Nature』がグラミーの”アルバム・オブ・ジ・イヤー”を受賞し順風満帆に復活劇を果たした、ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの鬼才二人組からなるスティーリー・ダンの最新作。

 デビュー当時からその鉄壁さを誇るクリエイティヴなアテチュードには同業者からのシンパシーも多く、ミュージシャンズ・ミュージシャンと呼べる数少ない存在として知られる。 当然この最新作『Everything Must Go』にも大きな期待をしていたが、それを裏切らない完成度に早くも興奮気味である。
 先ず本作でのサウンド・アプローチで注目すべきポイントは、収録トラック全てにおいてリズム・セクションのパーソナルが固定化された事だろう。
 と言うのも、デビュー当初から二人のクリエイトする曲を表現するには高度な演奏能力を必要としていたため、74年の『Pretzel Logic』から曲毎にセッション・ミュージシャンを多く招き、その完成度を高めており、さらに膨大なバジェッド(制作費)と時間を費やして制作された77年の『Aja』と80年の『Gaucho』でその頂点を極め、ポピュラー音楽史の中でも伝説として語られていたからだ。 結果的にそうなってしまったと言うべきなのか、とにかくこの二人は曲の一小節にまでその偏狂的な拘りを見せつけていた訳だ。

 前説が長くなったが、そんな過去のスタジオ・ワーク人生から一転した、昨今の多くのツアー活動も今回のフォーメーションに影響しているのだろう。 演奏自体も前作より輪郭が際立ち、さらにタイトになった感じだ。
 冒頭からベッカーらしいアーシーなギター・ソロが鳴り始め、バックビートにアクセントを持つ軽快なソウル・フィールなシャッフル・ナンバー(スティーヴィの「Isn't She Lovely」もこのパターン)の「The Last Mall」。『Gaucho』でもその特徴的なプレイを披露したヒュー・マクラケンは右チャンネルのリズム・ギターを弾いていると思われる。
 続「Hey Nineteen」と言うべきか、スティーリー流ジャンプ・ナンバーの「Blues Beach」は本国では、アルバム先行でシングル・カットされているご機嫌な一曲だ。こういったタイプの曲でもアレンジの隅々に仕掛け的なマジックが施されているのも彼らの真骨頂で、何度聴いても飽きさせないのには感心させられる。
 スティーリー史上初めてベッカーがリードをとる「Slang Of Ages」は、決して巧いとは言えないが味のある枯れたヴォーカルを披露し、アルバムの中でも良いアクセントになっているだろう。 最も一般層に好感を持たれるであろう、「Pixeleen」の優雅なロマン派調のリフレインに身を委ねるのもまた一興だ。ここではバックヴォーカルのキャロリン・レオンハート(兄マイケルはトランペッターで、やはり前作から参加している)がフューチャーされている。
 従来のスタイルに近いスリリングなジャズ・ファンク調の「Lunch With Gina」では、フェイゲンによるエキセントリックなのシンセ・ソロまで飛び出し、聴く者を興奮へと駆り立てる。 ラストのタイトル・ナンバーでは、かのジョン・コルトレーンを彷彿させる(インパルス時代)、ウォルト・ワイスコフの冴えまくるテナーのインプロとソロから始まる。この曲のブリッジ後半では、嘗てフェイゲンがジェニファー・ウォーンズに贈った「Big Noise, New York」のラインも引用されていて、熱心なファンは驚喜すると思う。

 アルバム全編に渡り、シニカルなアイロニーを散りばめた歌詞も健在で、テーマも”離婚”や”テロリズム”等ヘヴィーなものから、テクノロジーを皮肉ったものまで彼ら一流の世界を構築している。
(ウチタカヒデ)