洋楽: 1997年5月アーカイブ


  待望久しいゾンビーズの CD 4枚組ボックスが遂にリリースされた。今まで発表されたすべての音源を含む全119曲が収録され、1曲ごとの各メンバーのコメントやディスコグラフィーまで完備した68Pものブックレットがついた、まさにパーフェクトな内容のボックス・セットである。

  EMI100周年に合わせてリリースされたホリーズのこのシリーズの後編がようやくリリースされた。ベスト盤なのでそれぞれの曲のコメントは避けるとして、肝心なボーナストラックについて紹介しておこう。

 フォーシーズンズの音楽的中心であるボブ・ゴーディオが在籍していたグループとして知られるロイヤル・ティーンズはこれまでCollectableで CD 化されていたものの、一部しか収録されず、その全容は分からなかったが、本 CD で遂にそのすべてが明らかになった。

 ハリケーン・スミスことノーマン・スミスは、ビートルズの「Rubber Soul」「Revolver」のミキシング担当のエンジニアであり、ピンク・フロイドのプロデュースも担当したマルチ・ミュージシャンで、71年に自作の "Don't Let It Die" でソロ・デビューし、72年には "Oh Babe What Would You Say" が全米3位の大ヒットを記録し、一躍注目された。

 遂にリリースされたジム・ウェッブ初のソング・ブックである。フィフス・ディメンションとブルックリン・ブリッジは権利の関係か入らなかったが、グレン・キャンベルの "By The Time I Get To Phoenix"  "Wichita Lineman"  "Galveston"  "Where's The Playground Susie" 、リチャード・ハリス及びドナ・サマーの "MacArthur Park" 、アート・ガーファンクル の "All I Know"  といった代表曲や、テルマ・ヒューストン、ジョー・コッカー、フォー・トップス、リンダ・ロンシュタット、ジュディ・コリンズ、スコッオ・ウォーカー、ビル・メドレーなどが歌う素晴らしいナンバーがぎっしり詰まり、2年連続でグラミー賞ソング・オブ・ジ・イヤーを獲得したジム・ウェッブの才能を十分堪能出来る。フィフスの代わりに入ったダスティ・スプリングフィールドの "The Magic Garden" も聴きもの。 "Worst That Could Happen" のカバーがなかったのは残念だった。
(佐野)

 「The Album Cover Art Of Soundtracks」という大判の洋書をお持ちの方も多いと思うが、この CD はジャケットが同じデザインで作られていることからも分かるとおり、この本の内容を CD 化したものである。

  イギリスのレーベル、クリエイション傘下のRev-Olaからリリースされたミレニウムの永遠の名盤「Begin」の新たなリイシューだが、この CD は今までの "Just About The Same"  "Blight" の追加に止まらず、アルバムからカットされたシングル3枚、6曲のシングル・ヴァージョンがボーナス・トラックで加えられた。

  ようやくゲイリー・ゼクリーの最高作、イエロー・バルーンが CD 化された。日本では5年前にM&Mからリリースされ、既に名盤としての評価が定着していたが、サーフ・ミュージック関係の復刻で素晴らしい実績を持つSundazedが、得意の未発表ボーナス・トラック付きでさらにパワー・アップしてリイシューしてくれた。

  イギリスを代表するポップ・コンポーザーと言えば、フックの魔術師で私の最も好きなトニー・マコウレイ、流麗なメロディを書かせたらバカラックよりも上のトニー・ハッチ、ロジャー・グリーナウェイが書けば素晴らしいポップ・チューンを生み出すロジャー・クック=ロジャー・グリーナウェイ、そしてこのジョン・カーター=ケン・ルイスだ。

 昨年末にビーチ・ボーイズ・フリークを狂喜させたブートレグ「Unsurpassed Masters」のシリーズが一気に4タイトルリリースされた。

 昨年末にビーチ・ボーイズの「Unsurpassed Masters Vol.1-4」、「Christmas Sessions」、「Live In Sacramento,1964,Second Show」と、6枚のブートレグが、その名もSea Of Tunesなるレーベルよりまとめてリリースされた。

 来日したクラシックのコーラス・グループ、キングス・シンガーズの最新アルバム「Spirit Voices」(RCA Victor/090266844)はビーチ・ボーイズやポール・サイモンなどの曲をアカペラで歌ったものであり、その中にはビーチ・ボーイズのナンバーの "Kokomo"  "Please Let Me Wonder"  "The Lord's Prayer" の3曲が収録されていた。
(佐野)

  "Surfrider Foundation" なるサーファー達による海の自然を守ろうという基金からリリースされたベネフィット CD 「MOMⅡ Music For Our Mother Ocean」に、93年6月23日のロンドン・ウィンブレイでの "Summer In Paradise" のライブが収録されていた。

 パット・ブーン、ペリー・コモ、チャカ・カーンらが参加したクリスマス・アルバム「Christmas Spirit」にブライアン・ウィルソンが1曲、カーニー&ウェンディ・ウィルソンが2曲が参加していた。

  ビーチ・ボーイズ・ファン究極のコレクターズ・アイテムがこの CD 。というのはカールが病気 (現在は死去)、アルがリタイア、さらにブライアンも不在のビーチ・ボーイズを運営するためにマイクとブルースは、なんと63年にビーチ・ボーイズを脱退したデビッド・マークスを35年ぶりに復帰させライブを運営していたが、この CD ではタイトルのとおりデビッドをビーチ・ボーイズのメンバーとして正式に認めた。

  キンクスのレイ・デービスが書いた小説「X?レイ」。ノン・フィクションとフィクションが入り混ざったこの本は、いかにもレイらしい巧妙な構成が施されたキンクス・ファンの必読本と言えよう。レイはこの本の完成のプロモーションの一環として95年にギタリスト一人を連れて歌と語りによるアンプラグド・ライブを行い、12月には日本でもソロ・コンサートを開いたのは皆さんも覚えていることだろう。そしてこの CD は97年に録音したその「X?レイ」コンサートのライブ盤である。

  ついにフーのリマスターも、残されたこのアルバムが出て、オリジナル・タイトルではシェル・タルミーがマスターを抱えたままの「My Generation」を除き完成した。もともと未発表曲集だったこのアルバム、どれだけ未発表をプラスできるかが注目されていたが、2枚組になるという噂を裏切って?1枚もので収まった。
The Kinks : The Kinks(Essential/482)
        Kinda Kinks(Essential/483)
        Kink Kontroversy(Essential/507)
        Face To Face(Essential/479)
        Something Else By The Kinks(Essential/480)

 遂にキンクスもパイ時代のオリジナル・アルバムがデジタル・リマスターの上、未発表トラック入りのボーナス・トラック満載で、すべてリイシューされることになった。まず半分のこの5タイトルがリイシューされたのだが、やはり注目はそのボーナス・トラックだ。

  この人気シリーズの内容のいいものは、先の第8集のPye編のようにレーベルで括るものだったのだが、この第9集では遂にジェリー・ロスのプロデュース作品で固めてきた。

 今やハーモニー・ポップのファンだけでなく、ソフト・ロック・ファンの間でも最高の評価を得ているハーモニー・グラスの唯一のアルバムがついにリイシューされた。
Free Design : Kites Are Fun(テイチク/TECW20796)
            : You Could Be Born Again(テイチク/TECW20797)
              : Heaven/Earth(テイチク/TECW20745)
              : Stars/Time/Bubbles/Love(テイチク/TECW20798)
              : Sing For Very Important People(テイチク/TECW20746)
              : One By One(テイチク/TECW20799)

 テイチクはフリー・デザインのプロジェクト3での6枚のアルバムをすべて CD でリリースすることになった。廃盤になったポリスターでは発売されなかった3枚目のアルバム「Heaven/Earth」と5枚目の「Sing For Very Important People」は7月に発売、残りの4枚は9月にアルバム未収録のシングル "Close Your Mouth/Christamas Is The Day" と "Kites Are Fun" のシングル・ヴァージョンも漏れ無く収録し、コレクターなら歓喜する仕様でリリースする予定。
Jigsaw : Broken Hearted(テイチク/20728)
         : I've Seen The Film,I've Read The Book(テイチク/20729)
         : Sky High(テイチク/20730)
         : Pieces Of Magic(テイチク/20731)
         : Soft Rock Collection(仮題)(テイチク)

  前号で特集を組んだジグソーだが、さっそくここの権利を持つテイチクより、彼らの活動歴の中で最もソフト・ロック的なアプローチを持つ4枚のオリジナル・アルバムの世界初 CD 化と、コンピレーション1枚の5タイトルの CD 化が実現することになった。

  ポール・マッカートニーのラジオ・シリーズ「ウブ・ジュブ」は、ポールの未発表曲やデモ、リハーサル・テイクなど貴重な音源が聴けるので、ジョンの「ロスト・レノン」シリーズと並んでブートレッグが既に多数出されている。その中でMPLがプログラムの5にジャケットも付けてハイ・クオリティのプロモ盤を制作した。それが本ディスクである。
West Coast Pop Art Experimental Band : Volume One(Sundazed/11047)
  : Part One & Vol.2(Head/3096) 
  : Vol.3-A Child's Guide To Good And Evil & Part.4-Where's My Daddy(Head/3597)

  スモーク、オクトーバー・カントリー、そしてコットン・ロイド&クリスチャンの活動で一部に高く評価されている作曲家/プロデューサーのマイケル・ロイドの、デビューとなるウェスト・コースト...(長いので略)の初期アルバムがリイシューされた。

  ガール・ポップ・ファンには既にお馴染みのこのシリーズだが、時折我々Late60's のポップ・ファンにぴったりのコンピが組まれる。この第8集は全24曲の内20曲が65年以降の曲と、クレジットを見ただけでもワクワクしてしまう。洒落たコード進行と転調を効かせた芳醇なメロディと、ビートの効いたサウンドがこのコンピでは十分に楽しめる。

  ニュージャージのカムデンのソウル・グループ、パティ&ジ・エンブレムスはポップ・チャートでは64年4月にレオン・ハフらの "Mixed-Up,Shook-Up,Girl" を37位にランクさせたというのがポップ・チャートでの唯一のヒットである。

 EMIの100周年記念に前述のビーチ・ボーイズやエルトン・ジョンなど大物のベスト盤シリーズ「Essential」があるが、さらにコレクターを喜ばせたのはオリジナル盤をモノとステレオで2テイクづつ収録したシリーズだ。

  Aceのフォー・シーズンズのVee-Jay、Philips時代のリイシューは、2イン1で完璧に進みもう終わりと誰もが思っていたのに、ついに68年にリリースされたコレクターズ・アイテムとなっていたこのベスト盤までも CD 化された。

  今号の特集であるバッファロー・スプリングフィールドのファーストは既にUSのみでリイシューされていたが、また同じものの焼き直しかと思ったらビックリ、モノとステレオで2ヴァージョンずつ入っているコレクター感涙ものの CD だった。

  ユニヴァーサル・ビクターは前のMCAビクターで、MCA、Uni、Kapp、ABC、Dot、Dunhillといったレーベルを持っていて、ことソフト・ロック系では豊富な音源を抱えていた。そして今回オリジナル・タイトル8枚、コンピレーション2枚がまとまってリイシューされたのはまことに喜ばしい。

  こと音楽の選曲に関してアメリカが日本から影響を受けることは、そうそうあるものではない。しかしこのVarese Sarabandeの作ったコンピレーション3枚は、日本でのソフト・ロック人気を意識して作られたもので、はっきり言ってコピーと言っていいほど本誌の影響が大だった。

  以前 "Bridge Over Troubled Water" のデモなども含まれたポール・サイモンのボックス・セットがリリースされたが、サイモン&ガーファンクルのボックス・セットはこれが初。なぜか日本のロック評論家には軽視されるS&Gだが、そういう連中は「ポップだから」「売れ過ぎたから」というあたりにこだわって、いい音楽というものが分からないのだからかわいそう。
ビーチ・ボーイズ情報

 「The Pet Sounds Sessions」BoxのDATを私が東芝EMIの試聴室で聴いたのはもう今から1年9カ月も前のことになる。そしてリリース予定の96年6月からようやく1年5カ月を経て待望のリリースとなった。

  ついにというか、やっとというか、ロジャー・ニコルス&ザ・スモール・サークル・オブ・フレンズの全曲集が実現した。正確にはAVAでリリースされたロジャー・ニコルス・トリオ名義の "St.Bernie The Sno-Dog" で全曲なのだが、こちらは彼らがアルバイトでやったどうでもいいレコードなのでその範疇にいれてはいけない存在、よってこの CD でコンプリートと言って間違いない。

  このアルバムをただのコンピレーションと思ったら大間違い、 CD 2枚組の後半、 "The Songs Of~" には未発表デモ、ライブ、リミックスが新たに収録され、我々キンクス・フリークは絶対買い逃してはならないアイテムだ。

  フィフス・ディメンションはこれほどのビッグ・ネームでありながら、何の解説もついていないベスト盤が1枚 CD 化されただけで、長い間きちんとしたリイシューが待ち望まれていた。本誌の19号のフィフスの大特集以来、日本でもフィフスの人気が盛り上がったようで、多くの中古盤店でフィフスのコーナーが作られるようになった。そしてリリースされたのがこの2枚組のベストである。

 モンタナスはイギリスのグループで、65-70年の間にPiccadellyとPye、MCAで9枚のシングルをリリースしたのみでアルバムのリリースはなく、ヒットも "You've Got To Be Loved" がイギリスのレコードワールドで39位、アメリカのビルボードで58位にランクされたのみだ。しかしMCAのシングル1枚以外の全音源を集めた本 CD を聴くと内容のいい曲を数多く作り出していたことが分かる。

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