2017年4月12日水曜日

講談社の『週刊・奇跡の絶景』のムックを3冊買ったが編集が雑過ぎ。チョイスもおかしくヨーロッパ14に対して南米6?その逆だ。絶景は南米こそ宝庫で、人工物で溢れたヨーロッパはオマケでいい


世界中の絶景を、人工物も含め59冊に渡って紹介するこのシリーズ、一昨日気づいて既に出ている中で3号選んで購入した。南米命の私、その中でもライフワークのギアナ高地を紹介する『ギアナ高地・エンジェル・フォール』、今はCMでもすっかり有名なボリビアの『ウユニ塩湖』、そして雨季の間だけ真っ白な砂漠に無数の湖が出来るブラジルの『レンソイス・マラニャンセス国立公園』がその3冊だが、その中で満足出来たのは、雨季にウユニ塩湖にたまった雨水で空と水面が鏡のように「対」になった素晴らしい写真がたくさん見られ、説明も問題なく、この号は合格点。不合格は『ギアナ高地・エンジェル・フォール』。あまりに落差世界一のエンジェルの滝の紹介に偏ってしまい、ギアナ高地の魅力が感じられない。ギアナ高地のテーブル・マウンテンで紹介されたのはロライマ山だけで、これは日本の旅行会社のツアーそのものだ。まあ「日本から実際に行くことができる」というコンセプトがあるなら百歩譲ってセレクトは認めるが、例えば「特徴のある動物が暮らすギアナ高地」という見開きの10枚の写真のうち9枚は麓のジャングルの動物。肝心なテーブル・マウンテンの頂上のページは見開き2ページののみで、ロライマなどの岩肌を見せるのみ。頂上の僅かなコケの上に密集する植物コロニーや、奇岩の数々、水晶に覆われた地面、唯一といってもいい頂上大地に川が流れるアウヤンテプイの不思議な古代の植物に覆われた森の景色など、この世のものとは思えない不思議で魅力的な写真は1枚もない。植物を紹介した見開きはテーブル・マウンテン上の食虫植物など9枚は悪くないが、ここがゴンドワナ大陸の中心で、分裂していったアフリカとここしか存在しないステゴレプスを入れないのはセレクトがなっていない。ギアナ高地に最も足を運んだ冒険家の関野吉晴さんに取材しているのに本当にもったいない。ともかくこの本はエンジャルの滝中心で、さらにその他の滝と、基本的に滝の本。残念だ。『レンソイス・マラニャンセス国立公園』の問題点は、この雨季だけに現れる湖に魚が泳いでいる点で、魚だけでなくカメとカエルがいて、どうやって半年に渡る水が無くなる乾季を過ごすのが謎…というのがテレビで紹介する時の目玉のひとつなのだが、この本では「ペイシェ湖に魚はいる」と短い文での初回のみ。テレビではその湖を泳ぐ大量の魚の映像がこのレンソイスの売りであり、科学的には未だに解明できない大きな謎であって、魚の写真1枚すらないという編集に啞然とした。講談社は編集力がない。まあ先の予定で5月にセロ・トーレやフィッツ・ロイという断崖に囲まれた山を擁するチリとアルゼンチンの南端にまたがる『パタゴニア』と、その先のここのみイエメンだが不思議な植物の宝庫『ソコトラ島』は買うが…。アンコール・ワットがあるのにイースター島や、マヤもマチュピチュ、ナスカもないなど、セレクトにも大いに不満がある。ヨーロッパが14もあって南米が6なんてバカじゃないのか?奇跡の絶景は南米が宝庫で、この逆の数字でいいくらい。まあ仕方なく買う程度で、おススメはできない。(佐野邦彦)


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