2015年12月23日水曜日

☆Beach Boys:『Live In Chicago 1965』(Download Only)☆Beach Boys:「We Got Love(Studio Long Version)」:from『Holland』(Download Only)

今年も最後の12月になってダウンロードのみでビーチ・ボーイズの貴重なライブ音源がリリースされた。2014年末のライブのダウンロードは1964年のサクラメントでのライブだったが、今年は1965年のシカゴでのライブである。場所はArie Crown Theater、収録は326日が16曲、327日が18曲に加えてリハーサル4曲が入った充実した内容だ。オーバーダビングなどなく、マイクのセッティングもいいかげんで、リード・ヴォーカルがしばしば聴こえないなど、ある意味「リアル」なこの当時のライブ音源だ。326日は全般的にマイクのセッティングが悪く、曲も少ない。その反面327日の内容はいいのでその順に紹介しよう。「Do You Wanna Dance」はデニスのリードなので注目だが、26日はリード・ヴォーカル自体が欠落しており、27日が全て。続く「Hawaii」は27日の方のリード・ヴォーカルの音が割れているので、これは26日の方がいい。『The Beach Boys Concert』ほどの完成度はないが、コーラスも快調で悪くない。嬉しい「Please Let Me Wonder」、26日の方はイントロから入りこれはいいぞと思っていたらブライアンが歌詞を忘れてコーラスだけに...27日はイントロなしで静かに始まるが、こちらはちゃんと歌ったので二重丸。名曲だ。Surfer Girl」は自家薬篭中の出来で、後に登場する「Papa-Oom-Mow-Mow」「Monster Mash」と同じく失敗がない。この「Surfer Girl」に関してはバックコーラスのミックスが27日の方が大きいが、そのためサビのリードが聴こえにくいので26日の方がいいか。デル・シャノンの「Runaway」のアルのリード・ヴォーカルのカバーは26日の方は『Made In California』に収録されたので27日が初登場。27日の方がコーラスは聴こえやすいがあの特徴的な間奏のリード・ギターがよく聴こえないので外されただろう。カバーの「Louie Louie」は26日の方が全体的にグズグズで転調もうまく決まっていない。27日の方がスムーズだ。「Fun Fun Fun」は2日ともいい出来だが、27日の方がバックのギターも大きく入り、リード・ヴォーカルが少し歪んでいるものの迫力があるのでこちらが上。コーラスもいい。「409」は27日のみで『US Singles Collection The Capitol Years 1962-1965』に収録済み。「Shut Down」はどちらも差が無く楽しく歌っているのが分かり2音サックスはマイクが口でやっている。「Surfin' USA」はやはり27日の方が演奏とバックコーラスを大きくミックスしているので迫力はあるがリード・ヴォーカルが聴こえにくい部分がある。しかし26日は途中笑ってしまっているので27日ということになるがエンディングの完成度はイマイチ。「Little Honda」は、26日にコーラス欠落があり、27日のみが可。ライブになるとバッキングが薄っぺらくなるのが難。嬉しい「Wendy」の登場だが、26日は途中でリード・ヴォーカルが抜けているので27日のみ。哀調を帯び、ハーモニーも心地よい傑作だ。27日のみ披露した「In My Room」はコーラスがスムーズでこの曲も自家薬篭中の代物だろう。「Don't Worry Baby」はバックコーラスも演奏もはっきり聴こえる27日の圧勝。なにしろ肝心なブライアンのリード・ヴォーカルが、26日の方は間違えてばかりでダメ。美しい出来だ。「I Get Around」は、やはりリード、コーラス、バッキングが大きくミックスされた27日の方が出来がいい。ただ細かい部分がちょっと荒削りで、『The Beach Boys Concert』で別録音したのがよく分かる。最後は「Johnny B.Goode」で、ミックスの良さで27日だが、いかにもライブ用という仕上がり。嬉しいのはボーナスの4曲のリハーサルだ。まず「Louie Louie」。ややテンポを落として正確に歌っている。微妙に転調していくのだが、ちょっと単調。そして「Little Honda」。やはりバッキングが弱いので迫力に欠ける。レコードには入っているあのエンジン音のような低音のハーモニーがポイントだったとはっきり分かる。しかしライブよりずっといい仕上がり。「Surfin' USA」もライブよりバッキングとコーラスに迫力があり、特にドラムとギターが、このリハーサルが秀逸。最後は「Wendy」。軽い感じのリハーサルでアルペジオのギターも入っているが、ややスローなので27日のライブの方に軍配を上げたい。ダウンロードはiTunesAmazonmp3moraで入手できる。あとオマケの紹介だが、重大なのがiTunesストアでBrother Records Collectionとして11枚がダウンロード販売されたが、なんと『Holland』だけ、ドイツの盤のプレスで250枚だけ差し替えの「We Got Love」入りで販売されてしまったという幻のこの曲のスタジオ・ヴァージョンを、正規リリースで入れてくれたここだ。単独でも購入できるので、これは買い。この幻の『Holland』は大昔に、大枚はたいて関税まで払って入手したので、手持ちのレコード盤と比べてみた。するとこのダウンロード版の方が50秒以上も長い。最後の「We Got Love」のリフレインがレコードは4回だが、ダウンロードは8回まで入り、my sweet lordというアドリブのコーラスが何度も聴こえる。初登場なので、この1曲だけ必ずダウンロードしよう。(佐野邦彦)

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