2015年10月24日土曜日

アーリー・スパイダース・ディスコグラフィー:日本語ロックのルーツははっぴいえんどではない。スパイダースだ。

日本語ロックのパイオニアといえば「はっぴえんど」?それは間違いだ。はっぴいえんどよりも5年も前にスパイダースが自作自演のアルバムを作りだしていたからだ。特に1968年の『明治百年すぱいだーす七年』は全曲オリジナルで、アレンジからストリングスのスコアまで自分達で書いた傑作でまさに「パイオニア」、認識を改めた方がいい。GSといってもスパイダースだけは別格だったのだ。そのスパイダースだが、メジャーデビュー前は、ジャズ喫茶や米軍基地で、洋楽カバーで大人気を博していた。特にビートルズにはこだわりがあった。日本盤が出る前にかまやつひろしが『Meet The Beatles』を入手、瞬時に虜になり、メンバー全員、ビートルズが目標になった。楽譜も何もない時代、ヒアリングで歌詞もサウンドもコピーし、特にビートルズに関しては日本一早くカバーを披露するバンドとしてその事を誇りにしていたという。そしてメジャーとの契約前、まだソノシートが大きな市場を持っていた時には、スパイダースは多くのビートルズ・ナンバーなどを中心に、洋楽ロックをストレートにカバーしてソノシートに収録していた。しかしこの当時、日本で一番人気があったのはベンチャーズで、エレキ・インストを求められていたため、ライブではベンチャーズなどのインストも多く披露、最も初期のレコード会社からのオファーはエレキ・インストのオムニバス盤への参加で、そのためビートルズですらインストでのカバーしていたほど。この初期のオムニバスLP収録のエレキ・インストも未CD化のままだ。ただ、リード・ギターの井上堯之はトレモロ・グリッサンドが出来ず、井上は嫌いでやりたくなかったと言っているが、とにかくテケテケテケ...が無ければベンチャーズが成り立たないということになり、基本的にベンチャーズ・カバーは出来るだけ避けていたという。レコードになった曲では「Caravan」もあるが、一番最初の『Walk Don't Run』収録風のカバーで、ノーキー・エドワーズのレス・ポール奏法の超絶速弾きではないので拍子抜けさせられるだろう。まだ井上堯之はレス・ポール奏法も出来なかったようだ。しかし、井上堯之の出来ないパートは大野克夫がカバー、何よりもステージでは堺正章と井上順の掛け合いが楽しくスパイダースのライブは評判となり、来日した外国のバンドの前座の多くをスパイダースが受け持った。ビーチ・ボーイズ、アニマルズ、ピーター&ゴードン、アストロノウツ、サファリーズ、ハニーカムズといった人気バンドの前座を受け持ったスパイダースだが、後で登場する真打を凌駕するほど大受けだったとメンバーは口を揃えている。かまやつひろしの自慢は、ブライアンが参加せず日本で若干手抜きのパフォーマンスをしていたビーチ・ボーイズよりもスパイダースの方が受けていたということ。ビートルズに関してはFENまでチェックしているのでそのカバーはどこより早く、前座のスパイダースの「Paperback Writer」を聴いたアストロノウツが、オリジナルと勘違いし、凄い曲だと褒めちぎったという(笑)しかしそれだけビートルズのカバーを得意としただけにビートルズの前座の話が来た時だけは、本家の前でのカバーはマイナスになると判断、この時だけは辞退し、そのかわり観客席でビートルズのライブを楽しんだという。しかしフィリップスとの契約前には、カバーだけではダメだということで、かまやつひろしが中心となって大野克夫とオリジナル・ナンバーを書き、デビュー・アルバムは1曲を除きオリジナル曲が占める。その後に関しては、紆余曲折、有名なエピソードなので省略させてもらおう。それではこれがフィリップス以前のスパイダースの音源である。クラウン音源全てと、ビクターのシングル1枚だけはCD化されたが、未だ大半が未CD化である。まだ稚拙で暴走気味でもあるが、若さというのはその荒削りさが魅力。若々しいスパイダースの音源を、埋もれたままにしておくのは余りに惜しい。



アーリー・スパイダース・ディスコグラフィー(フィリップスを除く)

                       ★未CD化  *インスト曲

                           (作成:佐野邦彦)

1964/11  ★LP'64年ヒットパレード』(日本コロムビア/PS1102

(*★太陽のかなたに/*★プリーズ・プリーズ・ミー/*★ラスベガス万歳/*★抱きしめたい) 
19645年 ★ソノシート『KODAMA55号』(コダマプレス/K55
(*★線路のサーフ/*★峠のサーフ)
1965/5 EP『リバプール・サウンズ』(クラウン)
(*太陽を探せ/*アイドルを探せ/*ダイヤモンド・ヘッド/*恋する2人)
1965/5 シングル「フリフリ(Version23:03※イントロが27秒と長く、ヴォーカルが大きくリード・ギターが小さくミックスされた。サビも2回と長い。/モンキー・ダンス」(クラウン)
1965/6 EP『ダイナマイト』(クラウン)
(*ダイナマイト(Version2)※ギターが荒っぽい/*ワイプ・アウト(Version22:30/*悲しき願い/*ラブ・ポーション・No.9
1965/10 ★LP『熱狂のエレキ・ギター第2集』(ビクター/SRA5007
(*越天楽ゴーゴー(Version23:24/*★ワイプ・アウト(Version12:40※最もスマートに演奏/*★キャラバン/*★ブルドッグ・ツイスト/*★ダイナマイト(Version1)/*★サーフ・ライダー)...全曲インスト。※シングルの「越天楽ゴーゴー(Version2)」以外未CD化。 
1965/11 LP『あなたの選んだ65年ヒットパレード』(ビクター/SHP5488
(*★涙の乗車券/*★キャラバン/*★ダイナマイト(Version1…*「涙の乗車券」はこのLPのみ
1965/11 シングル『*越天楽ゴーゴー(Version23:24/*トワイライト・ゾーン(Version23:05』(ビクター)
(1965/11 EP『ベスト・オブ・エレキ・ギター第2集』として*★ワイプ・アウト(Version12:40/*★キャラバン//*★ダイナマイト(Version1)/*★サーフ・ライダーの4曲でリリース。 …全曲『熱狂のエレキ・ギター第2集』からの抜粋
1965/? ★ソノシート『モンキー・ア・ゴー・ゴー』(ビクター/SB401
(★ヘルプ(Version11:58/★サティスファクション/★ミスター・タンブリンマン/★悲しき願い(Version12:162番のバックコーラスが大きい/*★越天楽ゴーゴー(Version13:4620秒近くイントロも長い。/★セット・ミー・フリー/★バンブル・ビー/*★トワイライト・ゾーン(Version13:10
1965/? ★ソノシート『ビート・ヒット ベスト14曲』(勁文社/KSP4925
(★イエスタデー/★ヘルプ(Version22:12/★ディジー・ミス・リジー/★恋のアドバイス/★ロックン・ロール・ミュージック/★プリーズ・プリーズ・ミー/★抱きしめたい/*★クルーエル・シー/*ワイプ・アウト(Version32:32※最もワイルドで後半のギターのミュートがDriving Guitar風/★若さをつかもう/★フリフリ(Version12:12※アップテンポでリードギターが大きくワイルド、アップテンポでベストテイク/★ノー・ノー・ボーイ(Version1)※オーダーダブ前なのでコーラスなど薄い/朝日のない街/悲しき願い(Version22:20
注:フィリップスの「ノー・ノー・ボーイ」はコーラスなどオーバーダブしたもの。またフィリップスではこの短いヴァージョンの構成で英語詞に変えて1st Albumには「フリフリ'66」に変えて収録した。また同アルバムの「悲しき願い」2:40は新録音だった。この中でワイプ・アウト/悲しき願い/朝日のない街の3トラックのみ、CDG.S.Ultra Rare Trax Vol.2(テイチク。2000)に収録されたことがある。
1965音源 CD「栄光のスパイダーズ」...全クラウン音源CD収録。初出不明曲下記の2曲(CDはクラウン。2006年リリース)
(*トワイライト・ゾーン(Version32:57/*砂に消えた涙)
1966/2 EP『フリフリ(Version2)/モンキー・ダンス/青春ア・ゴーゴー/クライ・アンド・クライ』(クラウン)
1966/3 シングル『青春ア・ゴーゴー/クライ・アンド・クライ』(クラウン)
 
●下記は音源使いまわしなので、参考だけ。入手の必要なし。
※勁文社のソノシート『ビート・ヒット ベスト14曲』使いまわしソノシート
?年 ソノシート『君が選んだ年間ベストヒット HITPARADE20』(勁文社)
(悲しき願い/ロックン・ロール・ミュージック/抱きしめたい)
?年 ソノシート『エレキヒット』(勁文社)
(悲しき願い)
?年 ソノシート『GO!GO!THE SPIDERS(ザ・スパイダース)』(勁文社)
『ビート・ヒット ベスト14曲』の再発盤 ※これのみ右記がない場合代わりになる。
?年 ソノシート『THE SPIDERS
『ビート・ヒット ベスト14曲』の再発盤だが、「若さをつかもう」「朝日のない街」未収録。
※フィリップス音源をもらって作ったソノシート
1966/6 ソノシート『ザ・スパイダース作戦』(コダマプレス)
(フリフリ'66/越天楽ゴーゴー/ロビー・ロビー・ロビー/ミスター・モンキー)
※ビクター音源のLP『熱狂のエレキ・ギター第2集』6曲から4曲をセレクトしたもの。
1965/11 EP『ベスト・オブ・エレキ・ギター第2集』(ビクター)
(*★ワイプ・アウト(Version12:40/*★キャラバン/*★ダイナマイト(Version1)/*★サーフ・ライダー)…この4曲は未CD化だが、同じビクターのLP『熱狂のエレキ・ギター第2集』にはさらに*★ブルドッグ・ツイストが入っているので、このEPは中途半端で必要ない。






2 件のコメント:

  1. はじめまして、興味深く読ませていただきました。
    ソノシート『KODAMA55号』(コダマプレス/K55)の情報ははじめて聞きました。詳しい内容など知りたくコメントしました。
    また、コダマプレス『ザ・スパイダース作戦』は別録音なはずです。
    宜しくお願いします。 

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  2. 「ビートヒット14曲」ザ・スパイダーズ
    長年探していた物が、画像入りで見つかりました。
    ありがとうございました。

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