2013年7月15日月曜日

星野みちる:『星がみちる』(HIGH CONTRAST RECORDINGS/ HCCD9537)


 元AKB48のアイドルのアルバムをWebVANDAでレビューするのはさすがに躊躇するが、星野みちるが初のフル・アルバム『星がみちる』を7月17日にリリースする。DJのはせはじむと本サイトでも評価が高いマイクロスターの佐藤清喜の共同プロデュースということで取り上げることにした。

 星野みちるは元AKB48とはいえ、昨今の一大ブレイクの発端となった11年から遡る4年前の07年にシンガー・ソングライターを目指して同グループを卒業する。09年にファースト・ミニ・アルバムの『卒業』、11年にはMichiru名義でミニカバー・アルバム『Bitter & Sweet』をそれぞれリリースしている。
 そして昨年10月末には本アルバムに先駆け、はせはじむと佐藤清喜(全体的なサウンド・アレンジも担当しているだろう)のコンビが手掛けてリリースした7インチ・シングル『い・じ・わ・る・ダーリン』が発売と同時に完売となった。
 さて本作『星がみちる』であるが、ジャケット・デザインからイメージする通り、懐かしくも新しいスペーシーなエロクトロ・ポップスがアルバムを通して展開されているのである。
 音源を入手したのが一ヶ月程前であるが、筆者が真っ先に夢中になったのは、本作のリード・トラックでRAH BANDの「Clouds Across The Moon」を彷彿させる「私はシェディー」である。



 音楽通のVANDA読者はご存知の通り、ビートルズの悪名高い 『Let it Be』(70年)のオーバーダビング・セッションでフィル・スペクターのオファーによりストリングス・アレンジを担当したリチャード・アンソニー・ヒューソンが、77年に奥方をヴォーカルにして結成したのがRAH BANDである。因みにヒューソンといえばソフトロック・ファンにはジクソーの「Sky High」やパイロットの「Lovely Lady Smile」アレンジでも知られる名匠である。
 脱線したが、RAH BANDテイストの「私はシェディー」は名曲であることに変わりはない。
 星野が詞曲共に手掛けたラヴァーズ・ロック風の「オレンジ色」やアポジー&ペリジー(三宅裕司&戸川純)の「真空キッス」(84年)のカバーなどアルバム全体的に聴きどころは多く、ハッシュ系のビートで間奏やコーダのストリングス(シンセ)・アレンジがマーヴィン・ゲイの『What's Going On』(71年)を彷彿させるメロウな「トワイライト・ブルー」も筆者好みである。
(テキスト:ウチタカヒデ



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