2012年2月10日金曜日

☆『The Dig Special Edition ポール・マッカートニー』(Shinko Music Mook)

これは嬉しいポール・マッカートニーの「全ライブ活動徹底解剖」だ。1972年から現在までのツアーライブから数多いイベントライブの出演日、曲目が網羅され、そして主なテレビ出演でのライブの曲目も載っている。そのライブが収録されたCDDVDが網羅され目が釘付けになった。およそつまらない音楽評論家の解説文がなく、紹介文に徹底しているのも素晴らしい。資料編としても超一級で、ポールのファンなら絶対に買うべきマスト・バイ・アイテムである。
ポールはビートルズ解散後も休まずライブ活動を続けてきた唯一のメンバーであり、最もライブを愛したメンバーであろう。ただ、世の中の「ロック命」という音楽評論家連中にはエキセントリックなところがなく、メロディアスな曲が多いポールはどうにもお気に召さないらしく、音楽誌でずっと不当な扱いを受けてきた。しかしビートルズのヒット曲の7割を書いたのはポールであり、解散後のヒットは他の3人に比べて圧倒的に多い。たしかにポールのコメントには共感できることが少なく、ジョンのストレートさやジョージの深さに比べて面白みがない。しかし音楽に関しては切り離すべき。フィル・スペクターが典型的な例だ。音楽は画期的で文句なしに素晴らしいが人間的にはクズ。実際は人殺しで一生刑務所の中。明らかにポールの実績・存在の方が格段に上なのに、エキセントリックさでスペクターの方に耳目が集まってしまう。自殺したジョー・ミークとか、日本人は破綻した人間がとかく好きである。天才とは破綻した人間でなければいけないと思い込んでいる。そういうことで音楽から離れた人間としては凡人のポールの活動の詳細を簡単に知ることができる本は極めて少ない。1997年に出版されたレコード・コレクターズ誌の『ビートルズ・ソロ・ワークス』が一番詳しい本だった。しかしこれももう15年前の本だ。以降の活動、特にCD、DVD,とりわけCDに関してはポールは様々なライブや企画ものに参加するのでチェックが追い付かない。日本の音楽誌は「タイアップ特集」と「ネタがないので無理やり作った特集」ばかりでつまらないので、ここ10年くらいほとんど買っていない。CDの購入先は95%がインターネットで、そのほとんどが日本と米英独のamazon。お店に足を運ぶのは仕事の関係で2か月に一遍は届け出を渋谷のハローワークに出しに行くので、その帰りに寄る渋谷のタワーレコードと地元の三軒茶屋のCD店くらいだ。ちなみにこのタワーへ寄るのは楽しみで、それもあってハローワークに行くのは職場の定時の数十分前で直帰にしている。店へ行くのは時間外なので気兼ねがない。ちょっと前も、店でニール・ヤングがやっている障害児のブリッジ・スクールのためのチャリティ・ライブ『The Bridge School Cncerts 25th Anniversary Edition』での「Get Back」のライブや、バディ・ホリーのコンピレーション『Rave On』でのポールの「It's So Easy」のカバーを見つけて買ったばかり。そうしたらこの本を見ると、古くは2007年リリースのキャバーン・クラブの記念盤『The Cavern』の「All Shook Up」のライブという買い逃しを見つけ、さらに2011年でもビリー・ジョエルの『Live At Shea Stadium』での「Let It Be」「I Saw Her Standing There」と、『The Best Of Rock And Roll Hall Of Fame+Museum Live』での「Let It Be」のライブを見つけ、慌てて購入した。さらに驚いたのは2007年のポールのシークレットライブの『Amoeba's Secret」で、4曲入りの同タイトルのCDは有名だが、このCDに入っていない「Drive My Car」「Dance Tonight」「Blackbird」「Here Today」「Back In The USSR」「Get Back」「Hey Jude」「Lady Madonna」を加えて12曲仕様にしたCDがイギリスの新聞Mail On Sundayのオマケに付けられことを知った時は愕然とした。これはきっと有名な事なのだろうが、普通のCD販売でないので私はまったく知らずお恥ずかしい限り。このCDeBayが圧倒的に安かったので数百円で購入できた。しかしまだBest Buyで買うと某DVDにオマケのライブCDが付いていて、これは限定なのでまったく入手できないまま。残念だ。そのDVDのタイトルと内容はこの本を読んで確認してみよう。(佐野)
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