2011年11月3日木曜日

『PEACEBIRD』(MOTEL BLEU/DQC-784)


PEACEBIRD(ピースバード)は、スウェーデン生まれのシンガーソングライター、ヨハン・クリスター・シュッツのソロ・ユニットである。 活動拠点を日本に移して始動させたのがPEACEBIRDであり、今回このファースト・アルバムをリリースしたので紹介したい。 そもそもヨハン・クリスター・シュッツは、自身の名義で04年に1stの『passion』でデビューし、これまでに3枚のアルバムをリリースしている。09年には土岐麻子の『TOUCH』に 「Let the sunlight in」を提供するなど日本の音楽業界との関係も強く、翌年には邦人女性との結婚を機に移住し、2011年よりPEACEBIRDとしてその活動を日本で始動させた。 本作は彼の母国スウェーデンと東京でレコーディングされており、国籍を超えたミュージシャン達がセッションに参加しているが、ヨハン自身もギターや各種キーボードからプログラミングをこなしているマルチ・ミュージシャンで、自宅録音の機材が普及している現代においては、典型的な自己完結型のシンガーソングライターといえる。 懐かしのファンカラティーナのエッセンスも心地いいリード曲の「Slow Down」から始まる本作は、ヨハンのセンスあるソングライティングを余すことなく堪能できるのであるが、何より筆者が惹かれたのは彼のヴォーカリストとしての個性である。 プリファブ・スプラウトのパディ・マクアルーンを彷彿させる、ビターでスイートな声質は実に味わい深く、バラード系ではその魅力が一層引き立つのだ。 「Pickin' Up The Pieces」などはプリファブの「Andromeda Heights」に通じるハートウームな曲調も相まって、これからの季節に特にお勧めである。

     

その他アコースティック・ギターのリフとグランドビートがクールな「Baby Just Relax」は、ラテン・テイストのホーンを配したアーバン・ソウル・ナンバーで、彼が影響を受けているというスティーヴィ・ワンダーの匂いもする。女性コーラスやソプラノ・サックスのソロ等アレンジ的にも計算されており、その甘いヴォーカルが醸し出す雰囲気で現代のAORといって過言ではない。 ハモンド・オルガンが活躍する「A Little Bit More Real」はレゲエのビートを基調として、バッキングトラックにもアイディアが溢れていて楽しい。 土岐麻子に提供した「Let the sunlight in」のセルフ・カバーも触れておこう。川口大輔のアレンジによりブラック・フィール強かった土岐のヴァージョンであるが、ここでは風通しのいいアコースティック・ソウルといったテイストでヨハンの世界観を楽しめる ギターポップをはじめとする音楽ファンに是非聴いて欲しいアルバムである。
 (ウチタカヒデ)


0 件のコメント:

コメントを投稿