2011年3月24日木曜日

☆大滝詠一:『NIAGARA CD BOOK Ⅰ』(ソニー/SRCL7500-11)

待望のCD12枚組の『NIAGARA CD BOOK1』だ。1986年にまったく同名のアルバムがCD8枚組で出て、翌年に『NIAGARA BLACK BOOK』がCD4枚で出たので同じくCDでは12枚出ていたのだが、内容はまったく違う。
Pボックスヴァージョンの再編集ものであり、LPリリースの『NIAGARA VOX』と『NIAGARA BLACK VOX』に『NIAGARA CALENDAR』の78年ヴァージョンを入れ、『NIAGARA CM SPECIAL』を2ndから1st Editionに戻し、『NIAGARA FALL STARS』、『MORE NIAGARA FALL STARS』、『MORE MORE NIAGARA FALL STARS』を外したものというのが今回のCDボックスだ。分かりにくければ、基本的に『ロンバケ』までのオリジナル盤を、編集せず、その時のミックスで(といってもまったく同じではない。そこが大滝先生の困るところ)集めたものと言える。例えば多羅尾判内楽團はオリジナルの2枚に分かれているので、2イン1で編集されたCDの『BLACK BOOK』よりカットされた8曲が入ったが、逆にオマケで入っていた「サーフライダー」など2曲は外された。『Let's Ondo Again』も『BLACK BOOK』での『Let's Ondo Again Special』に入っていた多くの追加曲はなく、オリジナルの選曲に戻っている。まあ前者は現行の30th Editionさえ持っていれば問題なく、後者は20th Editionと同じものが収められたと言っていい。『NIAGARA CALENDAR』は78年、81年と2ヴァージョンでCDがキッチリ2枚に分けられ、CDの30th Editionのように時間切れ編集が無くなったのはいいことだ。そして前述したとおり『NIAGARA CM SPECIAL』は久々の1st Edition。かつての『CD BOOK1』とLPボックスを持っていない人への朗報はデビュー当時の音源のリメイク、リミックス、ライブが収められた『DEBUT』が嬉しいところ。ただ、『BLACK BOOK』収録の『DUBUT  SPECIAL』は入らず、音源的には他で分散して聴けるが単体では外された『DAWN IN NIAGARA』、8枚組の『CD BOOK1』に収録されていたレアリティーズ集『NIAGARA FALL STARS』がなく、特に『NIAGARA FALL STARS』は、LPボックス『NIAGARA VOX』には未CD化の『MORE...』と『MORE MORE...』まで入っていたので、こういった残されたアルバムが、この紹介したCDボックスのタイトルが『1』なので、続く『2』になるのだろう。ただ、かつてのCD8枚組『NIAGARA CD BOOK1』収録の『NIAGARA CALENDAR』はミックスが他とは違い、特に私が大好きな「Blue Valentine's Day」は'81ミックスよりバックのギターの音が大きくエコーたっぷりにフィーチャーされ最高の出来。そしてさらに違うのが吉田保ミックスのシュガーベイブの『SONGS』で、この深いエコーはもう別物と言っていいほど、現行のミックスと違うものだった。これらはCD8枚組の方でないと、依然、聴くことはできない。(佐野)


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