コンセプチャルなテクノポップ・ユニットのアーバンギャルドの女性ヴォーカリスト、浜崎容子がファースト・ソロアルバム『フィルムノワール』をリリースした。
ヴォーカルは元よりソングライティングやアレンジ、トラックのプログラミングまで浜崎一人でこなしたこの作品は、21世紀型のシャンソン、フレンチポップといえるのでこちらでも紹介したい
本作は浜崎がアーバンギャルド加入以前より温めてきた曲を含む4曲と、今回新たに書き下ろした2曲を収録した短編集という趣のアルバムである。
彼女がクリエイトする楽曲のサウンドはアーバンギャルドと比較すると空間が狭くデッド感が強い分、その美意識がクリスタライズされているようだ。
また6曲中5曲の作詞を手掛けた松永天馬はアーバンギャルドのリーダーであり、"詩のボクシング・第一回選抜式全国大会"で優勝するなど詩人としての評価が高く、本作でもルイス・キャロルやフレデリック・ノット、フランス印象派から新世紀エヴァンゲリオンなど、どのモチーフも知覚を刺激して本作の世界観を強く決定している。
このようにアルバムのトータル感は、実験性を内在しながらも非常に高いもので、浜崎のプロデューサーとしての力量も感じられる。
松永の描く歌詞にもティファニーやピストルの弾(『シャレード』(63年)か?)から、フェリーニやゴダールの名前まで出てきて映画マニアの筆者はニヤリとしてしまった。
サウンドとしては映画づいていた頃のムーンライダーズを彷彿させ、耽美な音像に前衛的なシーケンス音が効果的に絡んでいく。
ポップスとして完成度が高いと思うのは「印象派」と「思春の森」だろう。前者はアンニュイなフレンチ経由の80年代テクノ歌謡に通じ、後者は作詞も含め浜崎の単独作品で、バロック・テイストの60年代ユーロヴィジョンの現代的解釈というべきか。
なおこのアルバムは現在下記URLからの通販などで購入出来るので、興味を持った音楽ファンは是非入手して聴いて欲しい。
アーバンギャルド通販:http://urbangarde.net/urbanformmailer/form.html
(ウチタカヒデ)
