2009年10月27日火曜日

流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.2



流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.1からの続き

ウチタカヒデ(以下U):大貫妙子さんの「何もいらない」(『Sunshower』(77年)収録)のカバーは、オリジナルのクロスオーバー~AOR系サウンドを大切にしたアレンジですね。 因みに、シングル『君の住む街にとんで行きたい』(97年)のカップリングで大貫さんの「街」(『Grey skies』(76年)収録)をカバーされていたことで、瀧口さんは比屋定さんを知るきっかけにもなったということですが、この選曲には彼女の意向もあるのでしょうか?


クニモンド瀧口(以下T):比屋定さんは大貫さんのものまねが得意なんですよ(笑)。普通に歌うとそっくりになってしまうので、この曲は大変でしたね。まぁ、やっぱり似てしまうんですが。 この曲は僕のリクエストでした。『Sunshower』の中で一番好きなんですよ。 言葉が少なかったり、スリリングなアレンジだったり、グルーヴ感があったり、飽きない曲なんですよね。それを自分でやったらどうかな?ということでやってみました。

U:声質の系統が大貫さんと近いんでしょうね。天性の才能だと思います。 今回のカバー・ナンバーの中で異色なのが、八神純子さんの「サマーインサマー ~想い出は、素肌に焼いて~」(82年)だと思うんですが、瀧口さんご自身、思い入れがあるのでしょうか? またオリジナルでは80年代初期のロック・テイスト(ギターは松原正樹、ベースは後藤次利だったかな?)を持ちつつ洗練されたサウンドでしたが、ここではアニー・アイズレー風のリードギターを配しつつ、よりシティポップ的なサウンドにアダプトしていますね? 

T:JAL82年沖縄キャンペーンソングということで(笑)。この曲、当時大好きだったんですよ。 曲もいいんですが、山川啓介さんの歌詞が素晴らしいな〜と。 オリジナルは歌謡曲なんですが(でも、ベースのグルーヴとか凄いですけど)、それをもう少しバンドサウンドにした感じですかね。八神純子さんは素晴らしいシンガーだと思うんですが、比屋定さんがこの曲を歌ったらどんな感じになるんだろう?という実験もありましたね。

U:瀧口さん十代の思い出の曲なんですね。八神さんはメディアへの露出のせいなのか歌謡曲という文脈で語られがちですが、「ポーラースター」や「Mr.ブルー ~私の地球~」など、歌唱力を武器にして後世に残る名曲が多かったですね。 次にオリジナル曲について。アルバムのトップを飾る「ムーンライト・イヴニング」ですが、私個人的にはアルバム中最も好きな曲です(笑)。Dr. Buzzard's Original Savannah Band~サディスティックス(今井裕)的なサウンドが溜まりせんね。この素晴らしいチャーリー・カレロ風のホーン・スコアは瀧口さんが一人で書いたのですか?

T:ウチさんのために作りました(笑)。今井裕さん解釈のDr. Buzzard's Original Savannah Bandの部分と、Elbow Bones & The Racketeersの「Night In New York」(『New York At Down』(83年)収録)のモチーフから作りました。もともとは違うアレンジで存在していた曲なんですが、その時のアレンジがMizel Brothersみたいな感じだったので、大きく変えましたね。 ホーンアレンジは、イメージを伝えてヤマカミさんと島(裕介)君にお願いしました。いい感じになったと思います。今井裕さんの「Cool Evening」(同名アルバム(77年)収録)が目標だったので(笑)、スチールパンも最初から入れる予定でした。 歌詞は安井かずみさん目指したんですけど(笑)。



U:リップサービスとはいえ、恐縮です(笑)。Savannah Bandのオーガスト・ダーネル(=キッド・クレオール)がプロデュースした「Night In New York」もモチーフの一つだったんだ! 大好きな曲です。BPMやリズムトラックの感じは異なるけど納得ですよ。 今回の「ムーンライト・イヴニング」も、多重録音による木管と金管のコントラストが肝ですね。「Cool Evening」のプロトタイプ的な、「Far away(熱い風)」(『SADISTICS』(77年)収録)にも顕著に現れていますが、グレン・ミラーのホーン・アンサンブルをサルソウルでやってしまった感覚にクラクラします。音楽の桃源郷とはこのことですね。 あと歌詞の世界も独特で、なんというか情緒を排除してドライな感じ。舞台はマイアミあたりで、リキュールを小道具に、勝ち気な女性が恋の駆け引きを楽しんでいるみたいな、安井かずみしているパンチラインも見え隠れしていますよ(笑)。 「あたらしい日々に」では、荒井由美時代のユーミン・サウンドの様なエバーグリーンさを感じますが、曲作りやアレンジで特に意識されたポイントは? 

T:ある企業からBGMをお願いされた時にオケを作ったのがこの曲なんです。 ラテンのリズムで作っていたので、比屋定さんの歌を何となく意識して作っていました。今回の制作が始まってから、NOVOと、ユーミンのイメージで仕上げた感じです。ソフトロック好きなところが少し出せたんじゃないかと(笑)。アウトロのフルートはBobbi Humphreyを意識してもらいました。

U:そうか、NOVOだと「白い森」(シングル・ヴァージョン(73年))かな。「やさしさに包まれたなら」(『MISSLIM』(74年)収録)は直ぐに分かったけど、ボッサのリズムを基調にして、グロッケンがトップで鳴っていたりと完璧な和製ソフトロックですよ。アウトロのBobbi Humphrey風のフルート・ソロは、「Blacks and Blues」(同名アルバム(73年)収録)などを彷彿させますね。 しかし、ヒットミー(ヤマカミ)は本当に器用です(笑)。 さて、タイトル曲でラストを飾る「ナチュラル・ウーマン」ですが、アルバム中最もメロウで耳に残ります。黒さが漂うミッドテンポで、サウンド的に『TOKYO SNIPER』に収録されていても違和感がないけど、比屋定さんのヴォーカルによって更に世界観が広がりますね。

T:この位のBPMの曲は、演奏する側は大変なんですよね。ノリによってカッコ良くもなるし、ダサくもなる。Deodatoの『Love Island』(78年)や、Kalimbaプロダクションみたいな感じでやってみた曲です。曲を作った時は、佐藤博さんの声を意識して作りました。 

U:ヒントとなったのは、タイトル曲の「Love Island」や、モーリス・ホワイトとの共作でDeodato 以外のリズム隊をKalimba人脈で固めた「Tahiti Hut」あたりですね。恐らくDeodatoは「That's The Way Of The World」(同名アルバム(75年)収録)みたいな独特のタイム感を目指していたんでしょう。佐藤博さんといえば、「I Can't Wait」(『Awakening』(82年)収録)もこのタイム感を持っていましたね。最近ではLampの「雨降る夜の向こう」(『ランプ幻想』(08年)収録)とか。染谷君も『Love Island』や『Awakening』が好きなんじゃないかな。 今回、アルバム・トータル的に瀧口さんが意図されたサウンド・プロダクションとして、最も心血注いだポイントはなんでしょうか? 

T:制作を始めてから1年半も経ってしまったので、すっかり忘れてしまいました(笑)。 いしだあゆみとティン・パン・アレイ・ファミリー的なコンセプトで始めたので、比屋定さんのバックバンドということは意識していましたね。 

U:『アワー・コネクション』(77年)ですね。実績のあるソロ・アーティスト(シンガー)を、精鋭のロックコンボがプロデュース&バッキングするという、そのコンセプトは成功しているのではないでしょうか。流線形のサードアルバム(1stミニアルバム含む)として、また和製MBPアーティストである比屋定さんのポップス期(?)をフラッシュバックさせる、希有なコラボレーション作品としての二面性をもっていると思います。 素材的には比屋定さんの嘗ての曲のセルフカバーと、瀧口さんのリクエストによる2曲のカバー、そしてオリジナルの3曲とバランス的にもいいです。 レコーディング中のエピソードとして、前作から引き続き参加されたバッキング・ミュージシャンの方々についてのプレイについてはどうでしょうか?

T:ドラムの(北山)ゆう子ちゃんは、女性ならではの繊細さや、歌いながら演奏している感じがいいですね。叩き方はBuddy Richみたいですが(笑)。ベースの小山(晃一)君は、程よい感じで。最後までレコーディングに付き合ってくれた山之内(俊夫)君は、天才なのですがなかなかいいプレイが出ず(笑)。鍵盤の後藤(雅宏)君は、デビュー前の比屋定さんのライヴを観ていたので感無量だったみたいです。というか、リズム隊は1年以上前に録り終わっているので、まだやっていたのかと驚いていると思いますが。 U:皆さん、手練なミュージシャン達で、さすがは瀧口さんの目に適った強者という感じがします。結果的にベーシック・トラック録音完了から1年以上という熟成期間も、俯瞰的にプロデュースする上でプラスに働いたかも知れませんね。 では最後にリリース絡みのライヴ予定についてご紹介をお願いします。

 T:11/14にワンマンライヴがあります。レコ発ではなく、今まで出した3枚からの中からヴォーカリストを変えて、ある意味ベスト的なライヴになるかと思います。 メンバーも元オリラブの宮田(繁男)さんや、キリンジ・バンドの千ヶ崎(学)さん、相対性理論のやくしまる(えつこ)さん、美大を卒業した江口ニカさんなどなど豪華なので、お時間あれば是非!


2009年10月24日土曜日

流線形 クニモンド瀧口 インタビューVol.1

流線形と比屋定篤子:『ナチュラル・ウーマン』(HAPPINESS RECORDS/HRAD-00041)



06年のセカンドアルバム『TOKYO SNIPER』が各方面で話題となり、高い評価とセールスを上げたシティポップ・ユニットの流線形が、今回ヴォーカリストに比屋定篤子を迎えたサードアルバム『ナチュラル・ウーマン』を11月4日にリリースする。
ここではリリースを控え、海外出張から帰国したばかりの多忙なクニモンド瀧口氏へのインタビューを2回に渡ってお送りしたい。

クニモンド瀧口のオウンユニットとなって2作目にあたる本作は、彼一流の審美眼に裏打ちされたプロデュース・センスと前作から定着したバッキング・ミュージシャンによるステディな演奏に、ソロアーティストとして実績のある比屋定篤子のナチュラルなヴォーカルが融合したシティポップの傑作に仕上がった。
今作のラフミックスから最終マスターまでを聴いた筆者個人の率直な感想としても、09年度邦楽ベスト1候補だと確信している。AORやシティポップ・ファンは元より、良質なポップスを追求している音楽ファンも是非入手して聴いて欲しいと願っている。

ウチタカヒデ(以下U):前作『TOKYO SNIPER』が、"ポップ・カルチャー・アワード2006"の「音楽部門BEST1」(次点の『Perfume~Complete Best~』を抑えて)を受賞して、音楽マニア以外の層にもアピールするなど、ファーストの『シティミュージック』以上の評価を得ましたが、その後の創作活動に及ぼした影響などはありましたか?


クニモンド瀧口(以下T):無いです(笑)。Perfumeに先を越されちゃいましたね。サブカル人脈から人気が高いのは嬉しいことです。以前はウチさんのような(笑)、ヘビーリスナーの支持が高かったんですが、『TOKYO SNIPER』は20代の若い方からも支持を得たみたいですね。
Perfumeの足下にも及びませんが・・・。

U:Perfumeは音楽性(「NIGHT FLIGHT」はトニー・マンスフィールド的サウンドだ)もあるけど、一時的な社会現象が後押ししていますからね(笑)。
今回ヴォーカリストに比屋定さんを迎えた訳ですが、そもそものきっかけは? 
またこれまでソロアーティストとして彼女がリリースしていた作品への思い入れなどは?

T:比屋定さんの歌はソニー時代の頃から好きで、まさかアルバムを作るなんて夢にも思っていなかったです。レーベルが一緒になったということもあり、レーベル主催のイベントでご一緒することになったんです。
それがきっかけで、今回の制作に繋がった訳です。比屋定さんがデビューした頃、大貫妙子さんのカバーを聴いたのが初めてだったんですが、その曲を聴いて以来、比屋定さんのファンになりました。中でもアルバム『ささやかれた夢の話』(99年)はよく聴きましたね。

U:ヴォーカリストのタイプとして、比屋定さんと前作の江口ニカさんでは異なる点が多いですよね。なんというかアルバムタイトルそのままに、比屋定さんはナチュナルで透明なイメージ、江口さんは個性的なハスキー・ヴォイスで独特なメロウネスを醸し出していた訳ですが、プロデューサー的視点としてサウンド・アプローチはどの様に変化させましたか?

T:江口さんは大学生の色気というか(笑)、艶がありましたね。そう考えると比屋定さんの歌は違うベクトルにありますね。
今回のサウンドの裏テーマとして"トロピカル"という部分があります。比屋定さんの育った沖縄の明るさだったり、彼女のストレートで飾らない歌を気持ち良く聴きたいということが一番大事でした。流線形でやる以上はシティな楽曲という気持ちはありますが、80年代のトロピカルブームも、僕の中ではシティ感覚なので。

U:確かに前作は、色気(笑)=コケティッシュなヴォーカルというエレメントが、アルバムのカラーにもなって、若い層にも分かり易くアピールしたのだと感じますね。
また今作では、これまでのアルバムと異なり、初めて5曲のカバーを取り上げていますよね。
比屋定さんと組むのを前提にしたことで、生まれたコンセプトでもあったのですか?

T:流線形名義のアルバムの場合、カバーはあまりやりたくないんです。やはりオリジナルって偉大なので。ただ今回は比屋定さんのアルバムという部分もあったので、セルフカバーを大胆に変えてみたり、僕の好きな曲を歌って貰って楽しみたい、というところからカバーを取り上げました。

U:次にアルバム収録曲について、先ずはカバー曲からお聞きしますが、比屋定さんのオリジナルで『ささやかれた夢の話』収録の「まわれ まわれ」は、マッシュアップ(mash up)的手法を生演奏でやった感覚が凄く新鮮でした。
原曲はホーンとストリングスが入っていて、ポップスのアレンジとしては完成されていたのですが、今回のデヴィッド・ペイチ的アプローチは意表を突くものですね。狙っていましたか?

T:こんな質問するのはウチさんだけですよ(笑)。「Low Down」(ボズ・スキャッグス『Silk Degrees』(76年)収録)にするか、「George Porgy」(『TOTO』(78年)収録)にするか迷いましたね(笑)。「まわれ まわれ」はオリジナルがゴージャスなので、音数を減らすことと、それでいて保てるアレンジを考えた時、リズムをベースに考えました。周りは最後まで完成系が見えなかった曲だったと思います。

U:踏み込んだ質問ですみません(笑)。でも「Low Down」も候補に挙がっていたのは興味深いです。同じくペイチが作曲した曲ですが、あのハネ方での「まわれ まわれ」も面白そう。
同じく『ささやかれた夢の話』収録の「メビウス」ですが、アレンジ的には07年9月のライヴイベントで披露したアレンジと同じでしょうか。Deodato系のブラジリアン・フュージョンをベースにしたアレンジは、オリジナルのアルバムヴァージョンにも近い訳ですが、瀧口さんが特に拘ったポイントはありますか?



T:ライブでは、僕がソリーナとアナログシンセを弾いていました。おっしゃるように、オリジナルがDeodatoの「Skyscraper」(『Deodato 2』(73年)収録)をモチーフにしたものだったんですが、これはインパクトが強すぎて、アレンジを変えるにもどうしようもなかった曲です。
というか、「Skyscraper」は僕も大好きなので、ただやりたかっただけなんですが。ベースとかホント気持ちいいですもんね。アルバムでは、弦を使ったことと、ギターの山之内くんにはジョン・トロペイになって貰いました(笑)。

U:「Skyscraper」のベースラインは本当に気持ちいいですね。これってよく聴くと、Archie Bell & The Drellsの「Tighten Up」(68年)的ファンクネスなんですよね。山之内さんのトロペイ風ファズを利かせたギターソロにもにんまりです(笑)。それとやはり「メビウス」はオリジナルから既に名曲でした。
「オレンジ色の午後に」(『ルア・ラランジャ』(99年)収録)はオリジナルのジョビンの「Wave」を思わせるクラウス・オガーマン的サウンドとは異なる、シャッフルを基調にしたコンボバンド系アレンジが新鮮ですね。

T:これはマイケル・フランクスの「Don't Be Blue」(『Sleeping Gypsy』(77年)収録)的なアプローチで考えてみました。小粋な感じにしたかったんです。サックスのヤマカミさんがいい味出していると思います。

U:成る程、ではヒットミー(ヤマカミ)のアルトサックスはサンボーンのあれなんだ。
このアレンジはケニー・ランキンにも通じるし、日本ではシュガー・ベイブ~初期の山下達郎的ピースフル・サウンドで清々しいですね。

以下Vol.2へ続く


2009年10月22日木曜日

Radio VANDA 第115回放送リスト(2009/11/5)


Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

特集:Paul Leka

 
1.Rice Is Nice...Lemon Pipers

2.Green Tambourine...Lemon Pipers

3.Blueberry Blue...Lemon Pipers

4.The Shoemaker Of Leatherwear Square...Lemon Pipers

5.Jelly Jungle...Lemon Pipers

6.I Need Someone...Lemon Pipers

7.Lonely Atmosphere...Lemon Pipers

8.Na,Na,Hey,Hey,Kiss Him Goodbye...Steam

9.Come On Back And Love Me...Steam

10.Summer Symphony...Lesley Gore

11.Don't Love Me Unless It's Forever...Peppermint Rainbow

12.You're The Sound Of Love...Peppermint Rainbow

13.Pink Lemonade...Peppermint Rainbow

14.And I'll Be There...Peppermint Rainbow

15.Rosemary...Peppermint Rainbow

 
オマケ...The Beatles Rarities(not on CD Part3)

16.I'm Only Sleeping...US Stereo Version

17. I'm Only Sleeping...US Mono Version