
広島をベースに活動しているシンガーソングライター、水木智英のソロプロジェクトCornel(コーネル)のファーストアルバムがリリースされた。
荒削りながらソウルフルなヴォーカルに魅力を感じたので紹介したい。
つまるところ、SONG(ソング、歌詞ある楽曲)の価値を左右するのはヴォーカリストの存在感に他ならないと思う。それは決してテクニカルなことではなく、曲の世界観を描く表現者としての技量にその比重はより大きい。
例えば、トム・ウェイツが"Grapefruit moon, one star shining, shining down on me" (「Grapefruit moon」by Tom Waits)と一節歌うだけで、眼前にその情景が浮かび上がるように。
今回紹介するCornelも、未知数ではあるがそんなタイプのシンガーソングライターになっていくのではないだろうか。
Cornelこと水木智英は、広島でのローカル暮らしの傍らで活動をしているアーティストで、99年に"mejiri"なるボーダーレス・バンドを結成し、2001年から3年の間に3枚の自主制作アルバムを残した。その後2007年にソロプロジェクト"Cornel"としての活動をスタートさせる。
今作『Heart & Soul』は、そのソロプロジェクトによる初めての集大成的アルバムで、全編がセルフレコーディングで仕上げられている。スタジオ録音5曲にライヴ音源3曲という変則的な構成ながら、彼のソウルフルな歌声の魅力を余すことなく楽しめだろう。
ホーンセクションをフューチャーした「夜明け前」や歪んだウーリッツアーのリフが印象的な「花」での和製ブルーアイドソウル感覚や、日々の暮らしの中で生まれたラヴソングといえる「夢で逢えたら」や「夕焼けオレンジ」(ウェイツの「Grapefruit moon」みたいなタイトルだ)などのスタジオ録音曲もさることながら、ライヴ・レコーディングされた「喜びの唄」、「僕らの世界」、「Fly the night」の熱気溢れるプレイはどうだ。
この一体感はレーベルメイトのsaigenjiを思わせるほど魅力的ではないだろうか。
引き続きこれからの活動にも注目したいアーティスト兼パフォーマーの登場である。
(ウチタカヒデ)
