2009年5月8日金曜日

☆Beach Boys: 『Summer Love Songs』(EMI Music JAPAN/TOCP-70789)

ビーチ・ボーイズは今や時代を超えてスタンダードな存在になりつつある。我々のような昔からのファンだけでなく、若いリスナーも着実に増えているようで、キャピトル・レコードはそんな空気をしっかりと感じ取り、2003年にベスト盤の『Sound Of Summer』、2007年には続編ともいえるコンピレーション『The Warmth Of The Sun』をリリースし、それぞれ全米16位、40位といずれも好セールスをおさめてきた。
そして2009年にはバラード系を集めたこの『Summer Love Songs』をリリース、これも好セールスを記録するのだろうが、ただのコンピでは我々コアなファンは満足できない。でもやはり今回も入っていました、初登場テイクと初ステレオ・ミックス。では最も驚かされたテイクから紹介しよう。それは「Why Do Fools Fall In Love」。初めてのステレオというだけでも嬉しいのに、聴いたことがない25秒ものピアノのイントロが入っていて唖然としてしまった。そして「Don't Worry Baby」と「Hushabye」のニュー・ステレオ・ミックスだ。この2曲の従来のステレオ・ヴァージョンは、リード・ヴォーカルとコーラスが左右に分かれる極端なものだったが、今回のニュー・ステレオ・ミックスは真ん中からヴォーカルが出ているので実に聴きやすい。Dennis Wilson & Ramboの「Fallin' In Love」は「previously unreleased track」とあるが、トラックではなく、このミックスが初登場ということだ。オリジナルではイントロにストリングスがなく、ストリングスも全体的に小さめで、逆にデニスのヴォーカルが大きく生声に近いミックスだった。美しい曲だったので、このステレオ・ミックスで新たな命を与えられたように甦っている。「Time To Get Alone」のニュー・ステレオ・ミックスはヴォーカルとバッキングのバランスがいいミックスで、従来だと中間の「deep and wide」のコーラスで突然ボリュームが上がるのだが、驚かされるような編集になっていない。とても聴きやすいミックスだ。そして、なんといっても我々コアなビーチ・ボーイズ・ファンにとって最大の関心事が『Today』のステレオ化。今回もやってくれました、2曲の登場である。まず「I'm So Young」。ステレオ・ヴァージョンは、音がクリアーで、ギターの抜けが良く、新鮮な感覚がある。そして「Good To My Baby」。このステレオ・ヴァージョンでは、バッキングのホーン・セクションまではっきりと聴こえ、リフのビートでわくわくさせられる。先の『US Single Collection The Capital Years 1962-1965』で「When I Grow Up」と「She Knows Me Too Well」のステレオ・ミックスが登場したので、これで残るは「Do You Wanna Dance」「Don't Hurt My Little Sister」「Help Me Ronda」(「Rhonda」じゃない。シングル・ヴァージョンの方を先にステレオにして欲しいけど)「In The Back Of My Mind」だけとなった。擬似ステレオ盤しか存在しない『Today』のステレオ盤は全ビーチ・ボーイズ・ファンの夢、キャピトル・サイドはその事を知っているようでじわじわとステレオ化を進めているようだ。(佐野)






0 件のコメント:

コメントを投稿