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The Beatles VS The Beach Boys Vol.3





 ビートルズはジョンがブライアンと同じく内面にナイーブな面を持っていたが、ポールの才能が開花したのでサブに回ることができ、さらに甘くなりがちなポールの作風にジョンの曲が入ることで、ピリっと引き締めることができた。


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 1967年を見ると、ポールは「Hello Goodbye」というソフトロックという言葉が適切であるかどうか分からないが、ポップなロックの理想が結実したソフトロックの名曲を生み出した。歌詞は実にくだらない。曲もシンプル、バックに至っては「ドレミファソラシド」と弾いている。でもトータルのサウンドは完璧である。リンゴの縦横無尽なドラムが実に華やかで、惚れ惚れとしてしまう。曲作りのマジックである。しかしB面はジョンの「I Am The Walrus」だ。こちらは心を不安にさせるようなメロトロンとストリングスで覆われたサイケデリックなナンバーで、まったく別の魅力を感じさせてくれた。この年、アルバムはビートルズの最高傑作と名高い『SGT Peppers Lonely Heart Club Band』をリリースする。このアルバムは不思議なアルバムで、シングルカットが1枚もないだけでなく、飛びぬけてキャッチーな曲もなかった。しかしアルバム全体のトータルなサウンドで引き込まれてしまう。個人的な好みはコード・ストロークがシャープな「Getting Better」。この中で4曲しかないジョンのナンバーは幻想的な雰囲気に満ち、このサイケデリックな香りのするアルバムの色づけをしっかりとしていた。でも完全なサブに回らないのがジョンの凄いところだ。この年のシングル「All You Need Is Love」は、番組のために急いで書いたといいながら、そのメッセージ性とキャッチーなフックで、ビートルズを代表する名曲になった。このようにジョンは「Give Peace A Chance」や「Imagine」という普遍的なテーマのメッセージソングを、さりげなく、誰でも覚えられる短くキャッチーなフックを使って書くことができたため、みな全世界で歌い継がれるスタンダードになった。ポールの曲よりジョンの曲が時代を超えていくのは、歌詞の内容だけでなく、そこにもある。

 それに比べてビーチ・ボーイズは『Smile』の残骸である『Smiley Smile』では話にならない。私は以前、シンコー・ミュージックから出した『The Beach Boys Complete』という本で『Smiley Smile』と『Carl & The Passions』をかなりくさしたため、「聴き方を変えればけっこういいアルバムだ」「音楽的には高度だ」というご指摘をいただいたが、嫌いなものは変えられない。ビーチ・ボーイズらしいハーモニーの厚み、メロディの美しさが感じられないのだ。この年のもう1枚のアルバム『Wild Honey』をソウルフルだと評価する人もいるが、私にとってはビーチ・ボーイズらしさが感じられないので×である。実際、セールスも悪いので、失敗作だった。

 1968年は、ビートルズはアルバム『The Beatles』をリリースする。もうメンバー間で隙間が出てきた時期なので、ソロ的な作品も多く、散漫な内容なのだが、逆に個性が際立ちそこがいいとかなりな人気のアルバムである。2枚組でありながらシングルカットが1曲もないというビートルズならではの贅沢な作りだ。私個人としてはまとまりが感じられないのであまり好きなアルバムではない。ただ、いくつかの曲は非常に気に入っている。特にポールの「Back In The USSR」はロックンロールとして一部の隙もない仕上がりで最高だ。またポールの小品「I Will」もいい。でも最も気に入っているのはピアノの伴奏が素晴らしく、ポールの音楽的なセンスが光る「Martha My Dear」だった。ジョンの曲は、どこかくぐもっていて突き抜けた感がなくあまり好きな曲はないのだが、その中でリンゴが歌った美しいバラードの「Good Night」は素晴らしかった。この曲はスタンダードになっても不思議はない。ジョンの優しい面がよく出ていた。シングルではビートルズ最大のヒットとなったポールの「Hey Jude」がある。素晴らしいバラードで非の打ち所がないが、あまり繰り返し聴く気がしないのはなぜだろうか。B面にはジョンの強烈なロックンロール「Revolution」が入り、ロック・バンドとしての存在感を出したのはさすがである。

 一方ビーチ・ボーイズは『Friends』をリリースした。華麗なハーモニーはないが、肩の力が抜け、聴きやすく、落ち着いたアルバムになり、今は多くのビーチ・ボーイズ・ファンに愛されるアルバムだ。ただこのアルバムの良さは当時の一般のリスナーには伝わらず、セールスは最低を記録し、最も失敗したアルバムで終わってしまった。トップ100にも入れない惨状だった。

 1969年は実質的なラスト・アルバム『Abbey Road』の年だ。ここではジョージは「Something」という稀代の名曲を残し、「Here Comes The Sun」と合わせて70年以降のソロになっての大ブレイクを予感させてくれた。ジョンは「Come Together」で存在感を見せる。実にクールなサウンドだ。しかしやはりメインはポール。特にB面のメドレーのクオリティは見事の一語、特に「Golden Slumbers」「Carry That Weight」「The End」の3曲は、不世出のロック・バンド、ビートルズの最後を飾るに相応しい、最高の3曲になった。シングルではポールの「Get Back」、ジョンの「Don't Let Me Down」のシングルがずば抜けている。「Get Back」のグルーヴ感は全てのロック・バンドが手本とすべき。シンプルでいながら思わず体が動いてしまう、これがグルーヴだ。また「Don't Let Me Down」はジョンならではの変拍子を交えたロックンロール。ジョンの叫びは胸を打ち、この曲をB面に置くビートルズの凄さを改めて思い知った。しかしビーチ・ボーイズは『20/20』である。『Smile』の残骸も使ったこの散漫なアルバムはまたもや失望だけが残るだけで終わってしまう。その中でカール主導で録音された「I Can Hear Music」だけが、往年のハーモニーを取り戻していて、僅かな希望を与えてくれた。

 1970年はビートルズ解散の年だ。実質的には解散状態だったが、ポールが抜け駆けして解散を発表してしまったのが真実である。アルバム『Let It Be』は、あの映画の寒々とした雰囲気を写し取っていて、まとまりは乏しい。ただ、最後にアップルの屋上へ上がってゲリラ・ライブを敢行した時に、あのダラダラした演奏が一気にしまり、ソリッドな歌と演奏を披露してくれたのを見た時にビートルズの凄さを感じた。

 シングルでは「Let It Be」が昔よりずっと名曲だと思えるようになった。このスピリチュアルな雰囲気は、「Let It Be」ならではだ。「The Long And Winding Road」もいいが、「Let It Be」には厳粛な雰囲気がある。あと個人的にはポールとジョンの個性がぶつかりあった「I've Got A Feeling」が気に入っている。この曲は『Let It Be...Naked』のヴァージョンで聴いて欲しい。

 ビーチ・ボーイズは今までの低迷が嘘のように華麗なハーモニーを全開した傑作『Sunflower』をリリースしたものの、この手のサウンドを求めるファンは既にビーチ・ボーイズから離れていて、また100位にも入らず最低の記録しか残せないままだった。『Sunflower』は不運としかいいようがなく、内容とチャートは結びつかないことを示していた。以降のビーチ・ボーイズは、『Sunflower』で花開いたブルース・ジョンストの才能が『Surf's Up』の「Disney Girls」で結実したものの、その後グループを離れてしまい、『MIU Album』のような快作がたまにある程度で、愛情なしでは聴き続けられないアルバムばかりになってしまった。今はようやくブライアンがソロとして完全復活したが、やはり愛情で補っている部分があるのは残念ながら否めない。ビートルズはパッといい時期に解散してしまったので、悪い時期が残らず、伝説になった。

 最後に1991年のVANDA4号で山下達郎さんと、クロマニヨンズ(当時はブルーハーツ)のマーシーこと真島昌利さんが、ビートルズのベスト5を選んでくれていたので、ここで紹介して終わりにしよう。特に山下達郎さんはビートルズに関しての発言はほとんどないので貴重。このアンケートの中で「絶対影響されるのでできるだけ聴かないようにしていた」と書いておられたが、納得の一言である。

山下達郎氏:
  1. No Reply
  2. Not A Second Time
  3. All I've Got To Do
  4. This Boy
  5. Ask Me Why

真島昌利氏:
  1. I Should Have Known Better
  2. Ask Me Why
  3. All I've Got To Do
  4. I'll Be Back
  5. Not A Second Time

全てジョンの曲で、それも1963~1964年の初期の曲、さらに3曲重なっているというところが実に興味深い。決して「初期で」と指定した訳ではない。

最後に私のベスト20
  1. Hello Goodbye
  2. Get Back
  3. No Reply
  4. I Want To Hold Your Hand
  5. All You Need Is Love
  6. Paperback Writer
  7. Martha My Dear
  8. Back In The USSR
  9. A Hard Day's Night
  10. And Your Bird Can Sing
  11. Penny Lane
  12. Please Please Me
  13. If I Fell
  14. Please Mr.Postman
  15. Let It Be
  16. Drive My Car
  17. She Loves You
  18. Help
  19. Yes It Is
  20. Golden Slumbers~Carry That Weight~The End




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このページは、Kunihiko Sanoが2009年4月12日 00:00に書いたブログ記事です。

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