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The Beatles VS The Beach Boys Vol.2





 では私の好きなビートルズ・ナンバーを交えながら、ビーチ・ボーイズと比較しつ
つ、時代別に振りかえってみよう。
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 まずは初期だ。デビュー直後のビートルズのシングル、「Please Please Me」、「She Loves You」、「I Want To Hold Your Hand」はその強烈なビートと疾走感が素晴らしい。それでいて胸キュンのメロディ、ジョンとポールが二人で書いていた初期の曲は、40年以上経っても少しも色あせない。1964年は、ジョンにとって頂点と言えるアルバム『A Hard Day's Night』が生まれた。このアルバムは大半の曲をジョンが書いていて、そのどれもがパワフルで魅力的なメロディを持ち、初期の最高傑作となった。「A Hard Day's Night」、「I Should Have Known Better」、「If I Fell」、「Tell Me Why」、「I'll Be Back」などジョンは最強のラインナップの曲を書いた。タイトル曲の「A Hard Day's  Night」はジョンとポールで交互に歌ったが、ヴォーカリストとしても最強の二人がフル・レンジで歌うのだから、ブライアンとマイクではかなう訳がない。ただ、この時代はブライアンの才能が加速度を増して進化していたので、同じ1964年には傑作『All Summer Long』を出し、ビートルズにない4声、5声のオープン・ハーモニーを駆使し、価値ある曲でシングルAB面、アルバムまで埋め尽くして対抗した。この1964年にブライアンは「When I Grow Up」、「Dance Dance Dance」という高度なサウンドを持ったシングルまで作り出していたのである。ビートルズにとって、いや全てのロック・バンドからもビーチ・ボーイズは別格の存在になっていた。だからあのザ・フーでさえもビーチ・ボーイズに夢中になっていたのである。ここでビートルズに戻るが、ビーチ・ボーイズのハーモニーに比べてビートルズが劣るのかと言われれば、そんなことはまったくない。なにしろジョンとポールの二人のハーモニーは最強なのだ。「No Reply」、「If I Fell」がその代表だ。この曲を普通に歌わせるとジョンとポールのパートを誰もがゴチャマゼに歌ってしまう。特に「No Reply」だ。ジョンとポールのパートがどれもが主旋律のようなメロディ・ラインを持っていて、二人で歌うと奇跡が起こる。エヴァリー・ブラザースだって主旋律はどちらか分かる。でもビートルズだけは分からない。正解はないのかもしれない。どちらもジョンが書いた曲だが、ジョンが書いたメロディに、ポールがコードに乗せてさらに別のメロディを書いたという感じさえする。ハーモニー用のメロディに収まっていない。さらに3声も凄い。3声までは明らかにビートルズの方が魅力的と言ってもいいだろう。まず音圧という点ではカバーの「Please Mr.Postman」だ。カウンターで入るポールとジョージのハーモニーが、ファルセットを使わず限界点まで上がっていくところに胸を締め付けられるような魅力がある。エロチックでさえある。そして「Yes Is Is」、「This Boy」というカウンターではない冒頭からの3声のハーモニーだ。ここではジョージの中音域がいい味を出していて、またポールの高音域がジョンとは別のメロディを奏でて、主旋律を分からなくしている。そして高音を一定にしたペダルのハーモニーは効果的で、「And Your Bird Can Sing」、「You're Going To Lose That Girl」の3パートのペダルのハーモニーは、後半に1回だけしかないのだが、その心地よさはビーチ・ボーイズの複雑なハーモニーと比較しても少しも見劣りすることがなく、その部分を何度も聴いてしまう魔法のような魅力を発揮していた。あと、忘れてはいけないのはロック・バンドとしての力だ。特にカバー曲、「Slow Down」や「Long Tall Sally」といった曲は、けれんみのないロックンロールで、爆発するような若さがそこにあり、テクニックを超越した感動がある。ビーチ・ボーイズは作風が違うので、こういった熱いロックンロールは無かった。

 1965年はビートルズにはジョンの「Help」という傑作があったが、ビーチ・ボーイズはアルバムとして『Today』をリリースしていた。「Please Let Me Wonder」から始まるB面の極上のバラード群は、高度なコード進行、複雑なハーモニーを駆使しながらどれもが凛とした美しさを湛えていて、この時点で、音楽面でブライアンはビートルズの上を行きつつあった。しかしビートルズの進化は驚異的で、65年末には『Rubber Soul』というブライアンに衝撃を与える大傑作を発表してくる。まず冒頭の「Drive My Car」で度肝を抜かける。うなるリフに乗せ、不協和音のようなハーモニーのロック・ナンバーでありながら聴きやすいというポールの魔術。そしてジョンは「Norwegian Wood」、「Nowhere Man」、「Girl」、「In My Life」といったサウンドだけでなく歌詞にも深みを持った傑作を連発、ポールも負けじと「Michelle」という稀代のバラードやポップな「You Won't See Me」などを提供、ポールの力が上がってジョンと対等になり、ブライアン曰く「全てが価値のある曲で埋めつくされた」アルバムになった。(ただしブライアンの聴いたのは前の『Help』の曲などが入り曲数も少ないアメリカ編集盤だったため、ましてやである)そしてブライアンがこの『Rubber Soul』に対抗すべく、全てが価値のある曲で作ったのが1966年の『Pet Sounds』である。もうこのアルバムにあらゆる形容詞は不要であろう。イギリスのMojo誌の音楽ライター41名が1995年に選んだオール・タイムの偉大なアルバムの人気投票で、ビートルズを凌いで1位に輝いたのがこの『Pet Sounds』だった。その事実で十分だろう。私もこの投票に参加資格があればやはり『Pet Sounds』を選んでいた。ブライアンの才能の頂点で生み出された『Pet Sounds』は、ビートルズの意欲的な、実験的なアルバムである『Revolver』をも上回るものだった。だからこの当時でブライアンはこう呼ばれた。「genius」と。ただビートルズもポールの力が飛躍的に伸びたため、シングルのAB面がどちらも傑作という驚異の力を見せ始める。65年の「We Can Work It Out」と「Day Tripper」、66年の「Paperback Writer」と「Rain」、「Yellow Submarine」と「Eleanor Rigby」、そして66年暮れには「Strawberry Fields Forever」と「Penny Lane」。実験的でありながらポップで、そしてビートもあるという奇跡。特に軽く見られがちな「Paperback Writer」は、そのビート溢れるリフに乗せたロックのパートと、4声のハーモニーによるコーラスのパートが交互に現れ、その絶妙なハモリに個人的にはすっかり虜になってしまった。また幻想的で重量感があり、ジョンしか書けない雰囲気がある「Strawberry Fields Forever」と、軽快で突き抜けた解放感があるこれもポールしか書けない「Penny Lane」の組み合わせは、ロック史上最強のシングルとして今も燦然と輝いている。しかしブライアンもまず『Pet Sounds』から「Wouldn't It Be Nice」と「God Only Know」の最強カップリングのシングルをリリースし、新しく試行錯誤を重ねた革新的な「Good Vibrations」のシングルを発表、この曲は初めて米英で1位に輝いた。後世にどれだけのインパクトがあったかと言えば、Mojo誌が1997年にオールタイムで偉大なシングルの人気投票をしたが、それは139人のミュージシャン/作曲家/プロデューサーが選ぶという最もハードルの高い条件だったにもかかわらず、この「Good Vibrations」が1位にランクされた。やはりビートルズのシングルを凌いでである。1966年にブライアンが生み出したシングル「Good Vibrations」とアルバム『Pet Sounds』のどちらもが、その30年後の投票でも、全ての音楽を対象に1位に選ばれるなんて、奇跡としか思えない。それほどこの時期のブライアンは愛され、さらにプロにも評価されていたのだ。しかしご存知のとおりここが頂点。ブライアンの心は一気に壊れ、次の『Smile』は完成できずに放棄され、隠遁状態へと追い込まれていく。

The Beatles VS The Beach Boys Vol.3 へ続く





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このページは、Kunihiko Sanoが2009年4月10日 23:38に書いたブログ記事です。

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