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Wouter Hamel:『Nobody's Tune』 (P-vine Special/BSCJ-30117)





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2007年に彗星の如くアルバム・デビューしたオランダのジャズ系シンガーソングライター、Wouter Hamel(ウーター・ヘメル)のセカンド・アルバムがリリースされた。
輸入盤としては1月末に流通していたが、この度3曲のボーナストラックを追加して国内盤が発売されたので紹介する。

ファースト・アルバム『Hamel』が日本の音楽通の間でも評判になったことで、最新作への期待は高まっていたのだが、本アルバムでのサウンドは多少おもむきが異なっている。
まず前作の「Details」や「Breezy」、「Don't Ask」の様な所謂キラー・チューンらしき曲は収録されていない。かといってウーターのソングライティングに陰りが見え始めた訳ではなく、本来の彼のスタイル(エヴァーグリーンなジャズやポップス)をより深化した結果、完成させたものと考えていいだろう。
プロデュースは前作から引き続きベニー・シングスが手掛けており、アレンジングにおける豊富な引き出しを発揮して個々の楽曲を引き立てている。多種多様なキーボード類や打楽器類の使用も彼のイニシアティブによるものだろう。
お節介ではあるが気になった点を少々。アルバムの雰囲気を決定づける冒頭の「One More Time on the Merry-Go-Round」。メロトロン(プリセットはフルート)のリフとネイティヴ・アメリカンのリズムを持つパートから展開していくのだが、曲自体は独創的で面白いがアルバムのリード・トラックとしては地味であり、このサウンドが無意識の内にアルバム全体を支配してしまっていると感じた。ウーター、ベニーにしても恐らく、ビートルズの「Strawberry Fields Forever」あたりのマッド且つ完璧なポップスを念頭に制作したのだろうが、アルバムの構成上迷いがあったとしか思えない。
先に欠点(あくまで個人的見解)を挙げてしまったが、続く「Big Blue Sea」と「When Morning Comes」はそれを補う程に素晴らしい出来である。前者はスタッカートが効いたジャズ・ワルツを基調としており、クラヴィネットやウィンド・オルガン(スウェーデンのハグストロム社製)の使い方にセンスを感じ、サビへの展開にはジョージ・ガーシュウィンからの影響がある。コーラス・アレンジも含めブライアン・ウィルソンが『SMILE』で試みたサウンドにも近いと感じた。
また後者では、女性コーラスとグロッケンシュピールのユニゾンやフレンチホルン(奏者はMorris Kliphuis)のオブリガードなど、バート・バカラックの常套手段的サウンドが曲にマッチしており、ここでは音数が少ないとはいえ、98年にエルヴィス・コステロがバカラックとのコラボレーションで生んだ『Painted From Memory』の雰囲気を彷彿させる。
他にもポール・マッカートニーの『RAM』的に、音楽の芳潤さを詰め込んだ「March, April, May」
など聴きどころが多い。
ボーナストラックではジャズ・バラードの「Slow & Blue」がベストだ。印象的なストリングスはベニー・シングスによる弦サンプリングのシンセサイザーか、Morris Kliphuisのフレンチホルンと共に素晴らしいサウンドである。いにしえのリチャード・ロジャース的作風はただただ麗しい。
(ウチタカヒデ)





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このページは、Takahide Uchiが2009年3月 8日 22:47に書いたブログ記事です。

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