2008年7月18日金曜日

☆ Beach Boys:『US Singles Collection The Capitol Years 1962-1965』(EMI Music/TOCP-70553-68

待望久しいビーチ・ボーイズのアメリカ盤シングル・コレクション:The Beach Boys US Singles Collection The Capitol Years 1962-1965がリリースされた。キャピトルから1962年〜1965年にリリースされた14枚のシングルと1枚のEPが網羅され、ボーナス・ディスク1枚が加わったこの16枚のCDによるボックス・セットは、ビーチ・ボーイズの最高の時期のコレクションである。
音楽的には『Pet Sounds』と「Good Vibrations」がリリースされた1966年が頂点だが、最も華があるのが1962年〜1965年と言えるだろう。ジャケットは当時、ピクチャー・スリーヴが存在した10枚はそのまま復刻、ピクチャーのない残り6枚は、ボーナス・ディスク以外、当時のレーベルをジャケット代わりにして、当時と同じものになるよう、細かく気配りしていた。付属の48Pのブックレットには、けっこういい写真もあり、これも及第点。そしていよいよ肝心な音だ。それぞれのシングルの基本構成は、モノ・シングル・テイク2曲に、ステレオ・テイク2曲である。それを前提に紹介していくが、取り上げるのはこのボックスで初めて登場した音源のみである。なんといっても我々ビーチ・ボーイズ・フリークを狂気させたのは「When I Grow Up」と「She Knows Me Too Well」のステレオ・ミックスだ。ほどよいエコーと、くっきりと浮かびあがるリード・ヴォーカル、音のひとつひとつがクリアーで、実に新鮮だ。これで名盤『Today』のステレオ化は半分、実現しており、今後に期待したいもの。音源的に貴重なのは「409」のライブである。1965年、シカゴでのライブで、実にそつなくこなしている。実はこの音源、アメリカのあるスーパーチェーンで『Sound Of Summer』を買った人のみ、封入されているカードからアクセスしてダウンロードできた音源だったのだが、日本からはアクセスできない仕込みになっていたので、今回のCD化は朗報である。そして「Why Do Fools Fall In Love」は存在しないステレオの代わりに、頭にア・カペラのハーモニーから入る初登場のシングル・ヴァージョンが収録された。あの後半のブレイクのハーモニーからスタートしたのだから驚かされた。ステレオが存在しない「I Get Around」と「Do You Wanna Dance」「Help Me Rhonda」は、『Unsurpassed Masters』でお馴染みといってもいい、バッキング・トラック。ただし「Do You Wanna Dance」のみ、エンディングはア・カペラのハーモニーだった。あと、ボーナス・ディスクの「I'm So Young」は2イン1で聴くことができた別ヴァージョンの、初登場のモノ・ミックス。顕著な違いはないが、これも初登場である。全世界で5000セット限定、その中から日本のEMI1000セットを扱うのだから、日本でのビーチ・ボーイズの評価は以前とは比べ物にならないほど高まったようだ。限定版だから早いうちに。歌詞の対訳もついた日本盤の発売は820日である。(佐野)














 

2008年7月17日木曜日

manamana : 『光る石』












今回紹介する『光る石』と名付けられた自主製作ミニアルバムは、ジャズヴォーカリストの伊藤ふうかと作編曲家の洞澤徹が2005年に結成したアコースティック・ユニット、manamanaのファーストアルバムである。
両人共に職業音楽家、ヴォーカリストとして活躍しており、そこから裏打ちされたお互いのエッセンスが醸し出され、実に味わい深い作品に仕上がった。 

彼らは2006年に、筆者が監修と共同プロデュースを担当したコンピレーション・アルバム、『Easy Living Vol.1』(本アルバム未収録の「たとえば」を収録)への参加を皮切りに活動をスタートさせ、その後クラブやカフェでのライヴを活発的におこなってきた。 今回の『光る石』はそんな彼らの布石となるべきミニアルバムである。 冒頭の「悪戯」は古きよきボッサのマナーと伊藤のジャジーなヴォーカルを活かしつつ、職業作曲家である洞澤の技巧的なソングライティングがひかる曲。 タイトル曲はユニット結成時、最初に取り掛かった記念碑的曲で、80年代末期以降のリッキー・リー・ジョーンズを彷彿させる。次の「密かな願い」は「悪戯」と同様に、ソングライティングの巧さに耳がいく、昭和歌謡を思わせるラインも見え隠れするのが心憎い。 ラストの「平和の夢」は伊藤のけだるいヴォーカルが素晴らしく映える曲で、彼女の魅力が一番現れているかも知れない。

 

現在この『光る石』はdiskunionのネットショップかライヴ会場でしか入手出来ないので、興味をもった方は是非アクセスして欲しい。
また最後に「悪戯」の自主製作PVを紹介しておこう。異国の裏町で撮影されたかのようだが、撮影地は千代田区と中央区の某所らしい。両人の風貌も無国籍的で異彩を放っている。

diskunion ネットショップ 『光る石』 URL

(ウチタカヒデ)

☆ 『ビートルマイナス・ワン(Beatleminus One)』(Vivid Sound/VGL182-187)

ビートルズ・ファンなら誰でも経験があるでしょうが、ビートルズのナンバーはジョンとポールの超強力ハーモニーにより、フロントで聴こえてくるメロディーがジョンとポールのパートでゴチャマゼになってしまい、多くの人がその「ゴチャマゼメロディー」で歌うので、ちょっとイライラしてしまう、そんな経験がありますよね?だから自分が歌うときは、そのパートをしっかり歌える人間を探すわけですが、それぞれが正しいパートで歌うと、二人の声が合わさった時の快感は本当に最高なのです。どっちがリード・メロディか分からないビートルズ・ハーモニーのマジック。しかしそんな人間は限られているし、一人でギターを弾きながら歌うと、どうしてもひとりの寂しさが募ってしまうもの。ジョージが入った3パートのハーモニーの曲になるとその快感が飛躍的に高まるのですが、3つのパートを正確に歌える人間をさがすのはさらに難しく、仕方がないので、一人で多重録音をしてしまう...それは私ですが、このサイトを見てくださっている方ならよく分かっていただけるでしょう。このCD、フジテレビの『とくダネ!』で小倉智昭さんが絶賛していましたよね。
 前置きが長くなりましたが、このCDはそんなビートルズ・ファンの気持ちを吹き飛ばしてくれる、最高のカラオケ集です。たとえばデュオでのハーモニーの最高峰、「If I Fell」は、まず完成パート(All in)、ポールの人用(-Paul)、ジョンの人用(-John)、カラオケ(-John & Paul)と展開し、例えば3パート・ハーモニーの最高峰、「This Boy」は完成パート(All in)、ジョンの人用(-John)、ポールの人用(-Paul)、ジョージの人用(-George)、ジョンのパート練習用(-Paul & George)、ポールのパート練習用(-John & George)、ジョージのパート練習用(-John & Paul)、カラオケ(-John & Paul & George)と各パート別のカラオケだけでなく、それぞれのパートも耳で聴けて練習できてしまうわけです。これだけ見ても買いたくなったでしょう?
 この歌、演奏はCASHVOXとなっていますが、これはジョンがCASHの太田シノブ、ポールがスプリングス、CASHのヒロ渡辺、ジョージもおそらく太田シノブ、プロデューサーは十郎ザエモンと、まさにCASH、スプリングスのメンバーなので、歌と演奏の実力は織り込み済み。トラックによってはリードギターや、「And I Love Her」のガットギターのように目立つギターを抜いてあり、弾きながら歌う楽しみも作ってくれています。そしてロックンロールを思いっきり歌いたい人用のロック編(「Twist And Shout」「Long Tall Sally」「Rock And Roll Music」「Mr.Moonlight」「Can't Buy Me Love」など)や基本的にソロで楽しむバラード編(「And I Love Her」「Michelle」「In My Life」「Yesterday」など)、『Let It Be』編(「Get Back」「Don't Let Me Down」「Two Of Us」「Let It Be」など)、さらにビートルズは特にポールのキーが高く、歌えない人が多いので、本編とは別に2度キーを下げたキー下げ編(「I Want To Hold Your Hand」「Please Mr.Postman」「A Hard Day's Night」など)も作ってあり、この企画を考えた十郎ザエモンさんに拍手ですね。今、紹介した以外の曲で、一緒にハモって歌ったのは「She Loves You」「Please Please Me」「Ticket To Ride」「Nowhere Man」「If I Needed Someone」「I'll Be Back」「I Saw Her Standing There」など。CD6枚組ですが、これは買いでしょう。その際は続編として「No Reply」「Yes It Is」「You're Going To Lose That Girl」「Paperback Writer」「Drive My Car」「You Won't See Me」「Here There And Everywhere」「And Your Bird Can Sing」を希望します。これらの曲のハーモニーも最高なので、真柄さん是非!またビーチ・ボーイズ編、全編が無理だったらせめて3パートでも様になる「Surfer Girl」や「In My Room」「Wendy」や、3パートのフーの「See Me Feel Me」、CS&Nの「Suite:Judy Blue Eyes」、デュオではS&Gの「Sound Of Silence」やエヴァリーなんて入れた番外編を作ってもいいのでは。どうでしょう?(佐野)








 





2008年7月10日木曜日

Radio VANDA 第 100 回放送リスト(2008/8/07)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


特集:Brian Wilson


1.    I Do...Castells('64)

2.    The Surfer Moon...Bob & Sheri('62)

3.    BarbieVersion2...Kenny & The Cadets('62)

4.    Pamela Jean(Complete Version)...Survivors('64)

5.    Things Are Changing...Supremes('65)

6.    Walking Down The Path Of LifeLove & Mercy...Brian Wilson('05)

7.    Rodney On The ROQ...Brian Wilson('03)

8.    Believe In Yourself('06)...Brian Wilson

9.    What Love Can Do...Brian Wilson('07)

10. Live Let Live...Brian Wilson('07)

11. The Spirit Of Rock & Roll...Brian Wilson('06)

12. Delirious Love('05)...Neil Diamond with Brian Wilson

13. You Are So Beautiful...Carnie Wilson featuring Brian Wilson('06)

14. In My Room(LIVE)('98)...Brian Wilson with Bruce Johnston

 

 

 

 

 

 

 







2008年7月8日火曜日

ポリモーグさんとPerfumeの「love the world」を聴く


 ここWEBVANDAでは、チャートやメインカルチャー系(今回はサブカル出身だが)のアーティストを取り上げる機会は皆無な訳ですが、不定期企画として筆者と交流のある、現役の注目クリエイターと対談しながら、そんなアーティストの作品についてレビューしていきたいと考えております。
 今回の第一回目は、エレクトロニクスを駆使したハイブリッド・ラウンジ・ユニット"ELEKTEL"(エレキテル)のメンバーとして、または作編曲家、リミキサー、DJ、VJ、そしてライターと八面六臂の活躍をしている、ポリモーグ氏を迎え、昨年後半から巷を騒がせている、Perfume(パフューム)の魅力とニューシングル「love the world」を取り上げます。
ソフトロックやポップス・ファン読者の方も最後までお楽しみ下さい。 

ウチタカヒデ(以下:U) 先ずはご自身もエレクトロ・ミュージックのクリエイターとしての立場から、パフュームはどういった存在でしょうか?
また昨年、公共広告機構のCMでタイアップされた「ポリリズム」によって一般的にもブレイクした訳ですが、それを予見できましたか?

ポリモーグ(以下:P) エレクトロ・ミュージックのクリエイターとして、というか、打ち込みで音楽を作っている者として。ここ何年かはそうした者にとって冬の時代というか、厳しい環境というか、そういう時代だったと思うので、ひょっとしてパフューム(を含めた中田仕事)はそうした時代のブレイクスルーになるんではないかな?なって欲しいなあ、という期待はありました。
そうした予感というか、期待というか、をし始めてしばらくたった頃、「ポリリズム」が発表されたわけですが、その時には既にそうした期待は確信に変わっていたように思います。その確信は必ずしもパフュームや「ポリリズム」の存在だけによって生み出されたものではなかったのではありますが。

U: 「ポリリズム」が一つの切掛けになったのは間違いないでしょうが、水面下では「リニアモーターガール」(05年9月)「コンピューターシティ」(06年1月)「エレクトロ・ワールド」(06年6月)の、所謂「近未来テクノ3部作」と呼ばれるエポックなシングルがリリースされて、一部では注目されていた訳ですよね。
僕は「ポリリズム」がCMで流れる少し前からちゃんと聴きだしたくちなので、彼女たちの変遷過程を語る術を知りませんが、この3部作辺りから臨界点が始まったんでしょうか。まったく後追で、それ以前のシングル曲を聴きましたが、個人的には差ほど魅力は感じられませんでした。でも「コンピューターシティ」は別格だなと思いました。

P: パフュームに関しては自分自身が注目していた、というよりも、テクノポップやエレクトロ・ミュージックに詳しい親しい人たちが、一様に注目し始めたのが丁度その辺り(「リニアモーターガール」など)からだったので、気になりはじめたというところです。
「時代のブレイクスルー」を期待していたのは、パフュームのある楽曲を起点にしてというよりもむしろ、初期のカプセルからパフュームなどのエレクトロ路線に至るまでの中田ヤスタカ氏のサウンドメイクの変遷に対して、だったのかもしれません。それは丁度、テクノポップ誕生以来30年間の打ち込み音楽の歴史を、駆け足で辿っているかのように見えました。その行き着く先には一体何があるのか?という期待感だったのだと思います。
そうした時にリリースされたのが「ポリリズム」であり、丁度同じ頃に話題となった「初音ミク」であり、そして自分が少し関わっていた「テルミンmini」でした。そのタイミングが2007年の夏から秋にかけて重なっていったことこそが、そうした『確信』を得るに至る根拠だったわけです。
それは単にハウスやエレクトロ云々という音楽のジャンルの話に留まらず、時代の流れが今確実に打ち込みサウンドや電子音の復権に向かいだした、という『確信』でした。

U:「打ち込み音楽の歴史を駆け足で辿っているかのよう」というご意見は成る程と感じます。
中田氏はパフュームという媒体を通して、手法的にとりわけ新しいサウンドを提示しているというより、既に確立されているスタイル(テクノ、ハウスやエレクトロetc)を持って、ポピュラー・ミュージックという土俵で妥協無しにクリエイトしている。そのシンボリック的曲が「ポリリズム」だったのではと思います。
また「コンピューターシティ」のように楽曲として完成度の高い作品を早い内に発表しなかったのは、「打ち込み音楽の歴史を巡る旅」の通過点の産物だったとしたら、凄くストイック過ぎるなと(笑)。たまたまなのかも知れないけど。
また彼女たちと中田氏の一般レベルでの台頭によって、「打ち込みサウンドの復権」は着実に戻りつつあると思います。 嘗て小学生(僕もその一人でした)をも夢中にさせた、全盛期のYMOの姿を重ね合わせることも可能でしょう。
次にパフューム・サウンドの魅力について、具体的に感じることをお聞かせ下さい。

P:パフューム・サウンドの魅力について、とのことですが、一つ一つの曲についてとやかく言うほど聞き込んできたわけではないので、やはり全体としての印象論という話になってしまいますが・・・。
パフュームのサウンドということで言えば先ほどの初音ミクの話にも通じますが、やはり例の「AutoTuneボイス」が彼女たちのトレードマークとして、最初に耳を持っていかれる点ですよね。
打ち込みをしている人の間では「普通にAutoTuneをかけただけではああはいかない」という話とか、「Auto TuneのAntares社が作っているHarmony Engineを使っていることに秘密がある」とか、そうかと思うと本人は「ただベタに『オート』モードを使っている(※普通のピッチ修正では不自然になってしまうのでほとんど使われない)だけだ」と言っているとか、何かダフト・パンクが出て来た時のことがフラッシュバックする感があるわけですが(苦笑)。でもそれも、いかに今彼女達(というか中田氏)のサウンドが世間に影響を及ぼしているかということの証左ではあります。
それともうひとつは、やはり基本的な路線として一貫している「エレクトロ」路線、特にそのブリブリしたベースサウンド。というか、歌ものとして無理なく聞けるよう全体としてのミックスが低音を強調しすぎていない分、本家のそうしたクラブサウンドのものよりも「ベースライン」として音程感が感じられる程度のバランスになっていて、結果としてベースラインそのものがより目立つ感じになっているような気がします。
で、打ち込みサウンドが下火になっていたここ数年というのは、一般的に好まれるサウンドの傾向というのが所謂「カフェ系」と言いますか、リスニングよりの上品なサウンドが好かれた時代ということだったんだと思うんですが、このブリブリベースサウンドは、そうした流れを一気に変えつつあるようにも思います。

U:さすがにレコーディング技術から得られるサウンド効果については詳しいですね。やはり「AutoTuneボイス」と「ベースライン」が肝なんですか。 確かに「AutoTuneボイス」はダフト・パンクを彷彿させます。また「Digital Love」や「One More Time」などダフト・パンクの曲からは、全体的なサウンドの影響も感じさせますね。視覚的な近未来的イメージも含めて。
中田氏の曲作りについて面白い点として、例えば「エレクトロ・ワールド」カップリングの「wonder2」って凄く不思議な曲ですよね。 全体的に音程の高低差が少ないメロディなんですけど、ヴァース~ブリッジ~サビと、各々ハーモニー(コード)の施し方の違いで曲の転回を作っていて、サビのコード感なんかYMO後期の坂本龍一みたいです。こういうサムシングなアプローチは耳に残りますね。理屈抜きにいい曲なんですけど。
最近の「Baby cruising Love」や「マカロニ」では、所謂、曲の基本構成としての転回をきちんと考えて作っているという気がします。これまでは柱になるリフを中心に、カットアップしたパーツを編集して構築しているようなイメージが強かったのですが (あくまでも個人的意見として)。
この辺りはパフュームの成長に合わせて、必然的に楽曲も成熟したものに向かっているのかなと考えます。
ところでポリモーグさんは、ニューシングルの「love the world」を聴かれて、どんな印象を持ちましたか?

 P:「love the world」はイントロのシンセちょっとエレクトロニカっぽい雰囲気がいいですね。テイ・トウワっぽいというか。サビ終わりから間奏にかけてちょっと強引なコードの持って行きかた&このシンセがかぶさって行く所が特にカッコ良くて印象に残りますね。ベースは相変わらずブリブリ言っているけど、これはもうパフューム=中田のトレードマーク的な使われ方になっていて、アレンジ上の役割がどうのこうのという感じですらありませんw
「ポリリズム」みたいな派手さはないけど、とてもいい曲だと思います。

U:僕もポップスとしていい曲だと思いました。 サビがモータウンっぽいというかH=D=Hしていますね。例えば「It's the same old song」(The Four Tops、The Supremes)における反復ビートによって生じるサブリミナル効果のようなノリがあります。
ディテール的には、ボイスモジュレーターのアクセント、セカンド・ヴァースから四つ打ちでロールしていく感じや、ドラム・フィルの多彩なヴァリエーション(これもモータウンっぽい)が聴き飽きさせない要素だと思います。
さてパフュームの話も尽きませんが、ポリモーグさんはごく最近、『大人の科学マガジン・別冊シンセサイザー・クロニクル』(7月30日発売)に関われていますよね?
先に話が出てきました「テルミンmini」もこの『大人の科学マガジン』シリーズで大反響を呼んだのが記憶に新しいと思います。 今回は特別編集ということで、付録にアナログ・シンセサイザーを付けてしまったという、非常に画期的な企画なのですが、これに関わられたご感想はどうでしたか?またこのムックのアピールも最後にお願いします。

P:前回の『大人の科学 テルミンmini』の時は、ほんの一部に関わらせていただいただけだったんですが、今回の「シンセサイザー・クロニクル」に関しては、その時に自分がインタビュアーを務めさせていただいた、松武秀樹さん(4人目のYMOと言われた現・日本シンセプログラマー協会会長)からの提案により企画が立ち上がった、ということもあり、立ち上げ段階から関わらせていただいています。
特にふろくの「SX-150」は、久々の国産(?)アナログ・シンセであり、これまでのシンセの歴史上でも例を見ない価格(本誌価格:3,360円(税込))でもあり、ゼロからの開発に関われたこと、そしてなんとか発売にこぎつけたことを大変誇りに思っていますw
この価格で、しかも付録ではありますので、かつてのヴィンテージ・アナログシンセのようなものをイメージされると拍子抜けしてしまうかも知れないようなシンプルなシンセですが、「シンセサイザー」の名に恥じないだけの基本をおさえた、「音作り」のプリミティブな魅力を味わうことができるものになっています。加えて、純粋なアナログ設計でかつ、特殊なチップなども使用していない設計なので、電子工作に腕に覚えのある方ならば、いくらでもカスタマイズが可能になっています。
もちろん本誌の方も「特別編集」と銘打っている分、気合いを入れて作っています。多くの著名アーティスト(ここで話題に上っているあの方も...)にもご協力いただき、豪華な内容となりました。Webサイト(http://otonanokagaku.net/feature/vol15/index.html)の方で制作過程も公開されていますが、そうした内容もその中で徐々に明らかになっていくと思います。
こちらの方も是非お楽しみに。