
近年日本におけるブラジリアン・ミュージックの先駆者(異端児というべきか)として、2002年のアルバム・デビュー以来ほぼ一年ペースで新作を発表してきたSaigenji(サイゲンジ)が、約二年振りのオリジナル・アルバムをリリースした。
今回で6作目となるこのアルバム、全体的にこれまでには聴かれなかった実験的な音響感覚と、独自に消化したポピュラー・ミュージックのエッセンスとが、分離することなく自然と混ざり合った傑作となった。
前作『Music Eater』でタッグを組んだGIRA MUNDOこと奥原貢のプロデュース・センスは今作でもいかんなく発揮されており、これまで以上にSaigenjiサウンドの新境地を生み出したといえる。
特に音響的に面白い、後半の「花火」「Teardrops on Amazon River」「兆し~朝の光に」「GATE TO THE DAWN」では、レコーディング・エンジニアリングからミックスに至るまで拘ったであろう形跡を強く感じさせるのだが、そんなギミック感覚だけに着目させず、きちんとポピュラー・ミュージックとして成立させているのは彼らのテクニックなのだろう。
2曲目の「ハミングバードワルツ」は、ケニー・ランキン的引き出しが垣間見られてWebVANDA読者などポップス・ファンにはお勧めであるのだが、このスタイルの曲はSaigenjiファンにはお馴染みというべきスタイルなのだ。
個人的には淡々としたスローファンク調の「兆し~朝の光に」が最も好みであった。ファーストアルバム収録の隠れた名曲「MONOTONE」を彷彿させて耳を離れない。
最後に彼のもう一つの魅力はなんといってもライヴ・パフォーマンスに尽きるので、その模様を動画で紹介しておこう。
(ウチタカヒデ)
「雨の匂い」 Saigenji
