まず始めに登場するのはロジャー・ニコルス・トリオの未発表デモの「Montage Mirror」だ。マレー・マクレオドは両グループに所属していたため、こうやって収録されたのだが、ソフトロックファンにとってこれは聴き逃せない。
曲はロジャー・ニコルスとマクレオドの共作、大いに期待されたが、ロジャー・ニコルスの作風とは思えないリフを使ったロック・ナンバーで、単調なメロディなので正直期待外れだった。
次がこのボーナストラックの目玉、「How Can I Thank You」のデモである。
この曲はゲイリー・ルイス&ザ・プレイボーイズがアルバム『Now!』で取り上げた曲であり、非常にいい出来だったので、私が東芝EMIの依頼で選曲したCD『The Very Best Of Gary Lewis & The Playboys』(東芝EMI/TOCP53380)に収録している。未聴の方がいたら絶対入手して聴いて欲しい快作だ。
このパレードのデモも基本的にゲイリー・ルイスのヴァージョンと同じアレンジで、アコースティックギターとハープシコード(エレピ?)中心の弾むようなアレンジが心地よく、素晴らしい出来だが、サビのメロディがまったく違う。
ゲイリー・ルイスのサビはさらに疾走感のあるキャッチーでポップなものだったのに比べ、このデモはいったんブレイクしてしまうような盛り上がらないメロディのサビになっていて、やはりデモ、と思ってしまう。
ただ、最後に収録されたコニー・オースティンなる女性歌手のアセテート「One More Time」はまさにこの曲であり、サビはデモと同じメロディで歌われているため、このデモ・ヴァージョンはひとつの完成形だったとも言える。
ではなぜ、ゲイリー・ルイスでは改変されたのだろうか?
ゲイリー・ルイス・サウンドを生み出していた本当の実力者、レコーディングのボスはレオン・ラッセルだったことはゲイリー自身の口から語られて分かったことだが、パレードはもう一人のゲイリー・ルイスのアレンジャー、アル・キャップスと2曲を共作しており、その共作曲の「I Can See Love」(パレードの最高傑作のひとつ)はレオン・ラッセルのホーム・スタジオで録音されたという事実があることから、パレードと彼らは密接な関係があったようだ。
だから『Now!』のレコーディングの時、その時のアレンジャーで実質的チーフのアル・キャップスは、その実力を評価していた旧知のパレードのデモの中からこの「How Can I Thank You」を探し出し、サビが気に入らないので書き直させたのだろう。
デモはもう一曲あり「Love Is There」はアコースティックギターのカッティングを効果的に使ったロック・ナンバーで、パレードらしさは薄いが出来は悪くない。
そしてスモーキー・ロバーズのソロ・シングル「Love Is The People's Choice」も収録された。
この曲はスモーキー・ロバーズとマレイ・マクレオドの共作で、マイナーの歌い出しがハーモニーと共にメジャーに展開していくこれぞパレード!という快作で、こうして誰にでも聴けるようにしてくれたのは嬉しい。
なおカップリングの「God's Fool」はパレードらしさがまったくないアーシーな曲なので外されたようだ。そして「Frog Prince」は木管などがまだ入っていない別テイク、「She Sleeps Alone」はギター一本でハモるデモ、そして「Kinda Wasted Without You」(傑作!)と「Sunshine Girl」のモノ・ヴァージョンが収められた。
当然、みんな買いなおしましょう。
(佐野)

コメントする