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2004年11月25日木曜日

Radio VANDA 第 56 回選曲リスト(2004/12/02)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


特集Tony Burrows

1. I'll Give You Lovin' ('64) ... One And One

2. In A Moment Of Madness ('69) ... Flower Pot Men

3. Love Grows ('70) ... Edison Lighthouse

4. My Baby Loves Lovin' ('70) ... White Plains

5. Melanie Makes Me Smile ('70) ... Tony Burrows

6. Every Little Move She Makes ('70) ... Tony Burrows

7. The Humming Song ('72) ... Tony Burrows

8. Home Lovin' Man ('71) ... Tony Burrows

9. Take Me In Your Arms ('71) ... Edison Lighthouse

10. I'll Always Come Up Smiling ('71) ... Tony Burrows

11. Beach Baby ('74) ... First Class

12. When My Little Girl Is Smiling ('76) ... Tony Burrows

13. Look At Us ('76) ... Original Cast

14. Never Gonna Fall In Love ('76) ... Magic featuring Tony Burrows

15. In The Bad Bad Old Days ('71) ... Tony Burrows

 

2004年11月18日木曜日

☆Brian Wilson:『Smile』(Nonesuch/7559-79846-1) LP

延期に延期を重ね、ようやく「スマイル」のLPがリリースされた。
大きく3部になっていたアルバムは、2枚組LPの3面に振り分けられ、最後の1面に日本盤CDのボーナストラックに収録された "Heroes And Villains" と "Cabin Essence" のカラオケに加え、 "On A Holiday" と "Wind Chimes" のカラオケが収められていた。
この初登場の2曲のみ紹介するが、 "On A Holiday" のカラオケは、当然ながら我々が「スマイル」のブートでお馴染みのテイクそのものだった。
ほぼつながっている "Wind Chimes" は流れで入ったのだろう。シンプルながら、力強い後半部の音の抜けがいい。ファンなら是非、押さえておくべきアイテムだろう。
日本盤も1月にリリースされるが、こちらには更なるボーナスが付く可能性はないので、輸入盤で十分だろう。
(佐野)




☆Various:『宇野誠一郎作品集II』(ウルトラヴァイヴ/1099)☆Various:『http://ecx.images-amazon.com/images/I/513KQ9FH36L.jpg』(ウルトラヴァイヴ/1097-8


濱田高志さんが監修した宇野誠一郎の作品集の第2弾がリリースされた。
まず前者だが、「ムーミン」「ひょっこりひょうたん島」「ネコジャラ市の11人」「小さなバイキング・ビッケ」「チロリン村とくるみの木」といった有名なアニメ、人形劇のテーマを始め、「ブンとフン」のようなNHKこども番組の挿入歌も多く収められた。あの「アイアイ」も宇野作品だったとは。
個人的に気に入ったのは、企画物の高石ともやのアルバムの3曲。メロディとサウンドがいいし、宇野作品を完全に理解した歌が何よりも素晴らしい。

後者はアニメの「アンデルセン物語」が放送した当時にリリースされたこの CD と同タイトルのアルバムに、劇場版の4曲や EP のみの収録の16曲を追加した2枚組43曲の仕様だった。どちらの CD にも言えることだが、宇野作品はコメディ・タッチのものが多く、リズムが複雑で、パーカッションや擬声が入るものも多い。
しかしそこが宇野、途中でサラリとふくよかなストリングスを入れ、一気に心を奪ってしまう。
暖かく、懐かしく、人の心の琴線に触れるメロディを書けるのが宇野マジックだ。
(佐野)

☆Beatles:『The Capitol Album Vol.1』 (EMI/8-66878-2)

 ビートルズ委員会の約束事はどこへやら、収録曲を少なくしてアルバムも多く出そうとしたキャピトル・レコード独自編集のビートルズのアメリカ盤アルバムが、ボックス・セットでリイシューされた。
今回は『Meet The Beatles』『The Beatles' Second Album』『Something New』『Beatles'65』の4枚。このボックスを買ったのはひとえにステレオとモノがどちらも収められているその仕様だった。 "Thank You Girl" のステレオは、モノのシングルに比べてコーラスの代わりにハーモニカが入っているという顕著な違いがあるため、『The Beatles' Second Album』で聴き比べてみたら、モノにもハーモニカが入っていて、違いがあるのはシングル・ヴァージョンだけと分かった。ただしステレオは全面エコー。
そして『Something New』の "Any Time At All" のモノでは間奏のピアノがほとんど聴こえない、 "And I Love Her" のモノのリード・ヴォーカルは基本的にシングル・トラック、さらに "Komm,Gib Mir Deine Hand" にはステレオ・ヴァージョンが入っていると分かったし、『Beatles'65』の "I Feel Fine" と "She's A Woman" にはやたらにエコーがかけられてると、ビートルズ・フリークには当たり前のことかもしれないが、違いを感じながら楽しく聴かせてもらった。
次も楽しみ。(佐野)
       
beatles                             

☆Various:『Saturday Night Live 25 Years Of Music』(NBC/VM8416D) DVD

NBC ネット・ワークの人気番組「サタデー・ナイト・ライブ」の1975年から2000年までのパフォーマンスを集めた5枚組の DVD 。
この出演したミュージシャンのライブと、コメディのシーンが交互に収められているが、この番組が素晴らしいのは演奏が完全なライブであること。生演奏が見られるのでとても楽しい。
順に紹介すると出演者はサイモン&ガーファンクル、カーリー・サイモン、ミック・ジャガー、バンド、クイーン、ランディ・ニューマン、トーキング・ヘッズ、ニール・ヤング、ロイ・オービソン、バングルス、スティング、エルヴィス・コステロ、マドンナ、エリック・クラプトン、ポール・マッカートニーなど、計57アーティストの57曲。
76年のユニークな組み合わせのミック・ジャガー&ピーター・トッシュの "Don't Look Back" は、トッシュにからむミック独特のステージングが楽しいし、89年のニール・ヤングの "Rockin' In The Free World" は迫力満点のロックンロールでカッコいいことこの上ない。
93年のポール・マッカートニーがビートルズ時代を彷彿とさせるような正当派の歌と演奏を見せれば、92年のマドンナはエロッティックなプロモビデオ(確か放送禁止になった "Justify My Love" )と同じシュチューションにコメディアンを誘ってベッドでなまめかしい姿を見せてくれる。
もちろん爆笑もの。
また生と言うことで、ゴーゴーズの "We Got The Beat" は、イカ天を見ているようなレベルで実に微笑ましかった。その点、88年のバングルスの "Hazy Shade Of Winter" の方が腕が上だったな。おまけにスザンナ・ホフスが可愛いし。
その中でもベストは75年のサイモン&ガーファンクルの "The Boxer" 。伴奏はポールのギター1本だが、美しいハーモニーはシンプルな方が生きてくる。知的な二人が歌う知的な歌詞のこの歌は、まさに感動ものだった。
輸入盤はなんと7000円を切る価格なので、絶対のおすすめ。
(佐野)
  

     
                             

☆Various:『LIVE AID』 (ワーナー/WPBR-90451-4) DVD

 ライブ・エイドとは1985年7月13日に行われた、米英をつなげたチャリティのコンサートである。深刻な飢饉で3000万人が苦しみ、餓死者が続出した西アフリカの窮状を見たブームタウン・ラッツのボブ・ゲドルフが、ミュージシャン達に声をかけ、実現した奇跡のコンサートだった。

ポール・マッカートニー、フー、ミック・ジャガー、ニール・ヤング、クイーン、エリック・クラプトン、エルトン・ジョン、デビッド・ボウイ、U2、ビーチ・ボーイズ、CS&N、マドンナ、ボブ・ディラン、キース・リチャーズ、そしてレッド・ツェッペリンなど、米英のスーパー・スターが、ノー・ギャラで集まり、ウェンブリーとフィラデルフィアで1日をかけてコンサートを行った。
まさに未曾有の規模で、この後に多くのチャリティ・コンサートが行われているが、ライブ・エイドのスケールを越えたものは一つもない。
当時日本でも1日かけて放送され、私もベータの3時間テープ5本で録画したが、CMが曲の間でもバンバン入り放送自体は悪評紛々、未だに見かえした事がなかった。
それが約20年経って、放置されていたテープを集めて DVD として不完全ながらなんとか復活したのである。勢いのあるクイーンの印象的なパフォーマンス、異常に太ったスティルスとクロスビーを見て唖然としたこと、ミック・ジャガーとデビッド・ボウイが頭を突き合わせて踊りながら歌う "Dancing In The Street" を見てすっかり気に入りシングル盤をすぐに買いにいったことなど、昨日の出来事のように思い出された。
そして改めて見ると、だいぶ崩して歌っていたポール・マッカートニーの "Let It Be" では、途中からピート・タウンゼンドらがコーラスで参加し、途中でピートがポールをくすぐる真似をしたり、最後ではポールとピートがボブ・ゲドルフを肩車したりと、実に微笑ましい映像だった。
フーは放送機器の故障で2曲しか残っていなかったが、 "Love Reign O'er Me" でのロジャーの熱唱、 "Won't Get Fooled Again" でのピートのど派手なステージ・アクションなど、やはり20年前は若い!
ビーチ・ボーイズはアルバム「The Beach Boys」で復活したばかりのスリムなブライアンが印象的で、デニスを欠いているものの、フル・メンバーが揃って "Wouldn't It Be Nice" , "Good Vibrations" , "Surfin' USA" の3曲を披露していた。及第点の出来だ。
まったく自然なニール・ヤングの姿はいかにもニールだし、 "State Of Shock" ~ "It's Only Rock'n' Roll" でのミック・ジャガーとティナ・ターナーのくねくねと絡み合うセクシーなステージは、これもいかにもこの2人らしくて最高!
演奏も、歌も、ステージ・アクションも、どのミュージシャンも手を抜いていないのが素晴らしい。なおジョン・ボーナムのいないレッド・ツェッペリンは、本人達の希望で収録されていない。
DVD 4枚組、 110曲で約8000円(日本盤。amazonで)は安い。(佐野)
      

Live Aid [DVD] [Import]
                              

2004年11月13日土曜日

Saigenji:『Innocencia』 (HAPPINESS RECORDS/HRAD-00001) 山上一美インタビュー



デビュー時からその圧倒的なライヴ・パフォーマンスで多くのファンを魅了しているsaigenjiのサード・アルバムが届いた。年一ペースのコンスタントなリリースは、彼の底知れぬ創造力を物語っているかの様で非常に頼もしい。
今回はオリジナリティ溢れる書き下ろしの10曲とカバー曲2曲(S・ワンダー作含む)で構成されており、前2作と同様に聴き応えは抜群に良いのだ。既に彼特有のソングライティング・センスは曲毎に独立した個性を確立しており、アルバムを重ねる毎に各々のタイプが成熟されている事がよく分かる。

ここでは前作のレコーディングやライヴまで彼のサウンドでは欠かせない存在となった、サックス、フルート奏者の山上一美を迎えてレコーディングの様子などを聞きながら本作の魅力を紹介してみたい。
因みに山上はメンバーであるカセットコンロスの活動とは別に、ハナレグミ、アン・サリー、 Dois Mapas等多くのレコーディングで定評のある実力派セッション・プレイヤーとしても知られる。

(山上一美:以下括弧内同じ)「先ずアルバムタイトルになっている「Innocencia」。この曲をはじめて聞かせてもらった時にsaigenjiが「ちょっとラテンぽい曲が出来たんだけど、、」って聞かせてもらったんです。 「えっ!ラテン!?じゃあ他の曲は何ていうの?」という素朴な発言をしちゃったんですが(笑)、曲を聴いて納得でした。私のフルートと島裕介君(RICO、ego-wrappin'等)のフリューゲルホーンが入ってます。島君のアレンジで2管のセクションになっています譜面を見つつ音を相談してっていう作業が凄く楽しかった。録音はホーン2人で一緒に録りました」 

「Innocencia」はこれまでのsaigenjiにしては珍しく、コンテンポラリーなラテンジャズ・テイストの曲だ。 山上が語るホーンアレンジも2管ならではという効果が感じられクールな雰囲気を醸し出し、丁度マーヴィン・ゲイの「Inner City Blues」に抱く感覚に近い。今後彼の新境地的サウンドとなる予感がする。 従来のブラジリアン・テイストな曲ではカーニバルのリズムを取り入れた軽快な「Frevo」、スパニッシュ風味で自らルーツ的サウンドと語る「azul azul verde azul」も美しく印象深い。 

「「Frevo」は2年位前からライヴでやっていましたFrevoっていうのはブラジル音楽のリズムのひとつなんですが2年前はそんな事知らないままに演奏していました。メロディを聴いた時全編ユニゾンしたら面白いだろうなって直感的に思ってピアニカで練習しました。saigenjiの曲の中でも大好きな曲の一つです。「azul azul verde azul」はメロディがとにかく美しくて。私ってサックスはずっとアルトを吹いてきて、他のサックスというのは全然ライヴで使ったことなかったのですが、ふと思い立ってソプラノをライヴで使ってみたら、自分にとっても馴染みがよく、しかも新鮮というちょっと不思議な距離感の楽器だったのですね。録音するにあたってsaigenjiから「ソプラノで」というリクエストがあったのです。鳥とか、雲とか、空に浮いているものをイメージしながら吹きました。 この曲はダイレクトに私の右脳を刺激する感じなので、色んな風景が浮かんでくるのです」

このコメントは本作が、山上をはじめ感性豊かなセッション・プレイヤーの演奏で支えられている事を証明する興味深いエピソードといえよう。saigenjiサウンドに関わる事で各ミュージシャンは強く刺激され、潜在的演奏能力を更に引き出せるという訳だ。 今回の基本メンバーは、これまでの豊富なセッション・ワークを器用にこなしていたメンバーから、彼と同世代や若い世代になったという事もあり、良い意味で一緒に冒険出来たという感じがする。彼の人となりから繋がったミュージシャンの輪がセッションにも色濃く反映されたという事ではないだろうか。

「私は2ndからの参加ですが、彼が1stを作っている頃は知り合いではあったけど、一緒に演奏というのはしてなかったんです。1stをリリースする位のタイミングから徐々に一緒に演奏をする様になりました。それからライヴを重ねてきて、一緒に2ndの録音をさせてもらうという流れになった様な気がしています。 今回のメンバーについても同じ様に2nd以降から彼が一緒に演奏をする様になったメンバーという意味合いが強いのではないかと思います。録音のためにメンバーを集めたというわけではなく、彼の周りの人の輪を録音の場面にもってきたというイメージなのではないでしょうか。 彼が出会ったミュージシャンと曲ごとに写真を撮ったという感じなんでしょうか。正にアルバム!ですよね。 人の輪ということでいえば、素晴らしいミュージシャンは世の中に沢山居ても外国に住んでいたり、既に亡くなっていたり、年代的にあまりに離れていたりいたりと、一緒に演奏をするという機会がもてる人というのは相当限られているのではないかと思います。その意味でsaigenjiという人間と出会うきっかけがあって、彼の演奏から沢山のイマジネーションをかき立てられ、そして一緒に演奏をしている、という事をとても嬉しく思っています」

実に素晴らしいミュージシャンシップではないだろうか。多くを語るよりこの素晴らしさは聴かないと理解出来ないだろう。収録曲の最後を飾るブルース進行ファンクの「テレスコープ」には、そんなセッションの楽しさと創造性が輝いていて、生き生きとしたプレイが聴く者を惹き付けて離さないのだ。この曲で一際活躍するフリーフォームなサックス・プレイをしている山上が、最後にこのアルバムの魅力について付け加えてくれた。

「どの曲も素晴らしいと思うのです。日本語の歌は勿論スキャットの2曲、アカペラのフォルクローレや「Golden lady」等々益々カテゴライズ出来なくなった"saigenjiワールド"を隅々までご堪能あれ!! 今本当に色んな方向から音楽に取り組んでいる彼の姿があらわれていると思います。 saigenjiと周りのミュージシャン、アレンジャー達のセッションの雰囲気が楽しげに響いてくるのが私は大好きです。このアルバムを聴いて頂いたら是非ライヴに来られることをお薦めします! 来年のツアーには私も参加します。この曲達がライヴでどう生まれ変わるのか、ぜひ耳で、目で確かめにいらして下さい!」
(ウチタカヒデ)