2003年8月24日日曜日

☆Lettermen:『Soft Rock Collection』(東芝EMI/67220)

 レターメンは全米トップ100の32枚ものアルバムを送り込んだ、イージー・リスニング・ヴォーカル・グループの代表選手なのだが、 CD はオムニバス盤が2枚ほどリリースされたままだった。
この CD は、ソフト・ロック系のポップ・ヒットの代表的カバーを集めてあり、従来のウェットな選曲とはちょっと違う内容になっている。
個人的にチョイスした曲でパスした曲を、紹介してみよう。
レターメンの魅力を引き出すのはプロデューサー、アレンジャーの力に因る所が大きいが、その中でもアル・デ・ロリー、モート・ガーソンのコンビはベストのひとつと言ってもいいだろう。
ソフト・ロックの代表曲と言うべきテディ・ランダッツォ作の "Hurt So Bad" 、ジム・ウェッブ作の "Wichita Lineman" は、ソフトなサウンドとジェントルなハーモニーで、十分な仕上がりを見せる。
ポール・アンカの代表曲 "Put Your Head On My Shoulder" も AOR として聴かせる出来。
またハーモニーを使わずソロでリード・ヴォーカルを取らせたグレン・キャンベルの "Gentle On My Mind" も爽やかだ。
ペリー・ボトキン・ジュニア、ジミー・ハスケル、ディック・ハザードのトリオでは、映画音楽のようなゴージャスなストリングスが聴きもののシーカーズの "Georgy Girl" が注目だ。
そして "More" は、ラテン・パーカションを用いた大胆なアレンジで、アンディ・ウィリアムスらとは違う魅力を引き出していた。
その他ではデビッド・ゲイツ作/ニノ&エイプリルが歌った "You'll Be Needing Me" のカバーが素晴らしい。転調を繰り返すこのソフト・ロックの代表曲を、軽快なアレンジでオリジナルに一歩も劣らない仕上がりになった。
レターメンと言えばユニゾンで歌い出し、中間からハーモニーを用いるのが得意のパターンなのだが、初期の録音では冒頭からハーモニーで包まれるものが多く、デビュー・ヒットの "The Way You Look Tonight" や、フィル・スペクター作でパリス・シスターズが歌った "Be My Girl" 、エルヴィス・プレスリーの "Blue Moon" のカバーは非常に新鮮に聴こえて心地よい。
中期でもクラシックスIVの "Traces" がこのパターンだった。
得意のユニゾン・スタートではダン・ジャンセン作の "Sherry Don't Go" が、中間部以降のハーモニーで一気に聴かせてくれる。
そしてスプリームスの B 面曲をカバーしスマッシュヒットさせた "Everything Is Good About You" は、その爽やかさ、軽快さでベストの出来となったが、こういう曲を取り上げた所が、レターメンの真骨頂だった。(佐野)
 

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