2003年7月2日水曜日

☆Hurricane Smith:『Don't Let It Die』(Celeste/6194)



ちょっとノスタルジックでお洒落な音楽、そう、ハーパース・ビザールや、スパンキー&アワ・ギャング、そしてニルソンが好きな人ならハリケーン・スミスのこのアルバムはきっと愛聴盤の1枚になるに違いない。
ハリケーン・スミスことノーマン・スミスはビートルズのチーフ・エンジニアを経て、新人だったピンク・フロイドのプロデューサーとなり、他にもプリティ・シングスの『SF Sorrow』のプロデューサーを担当するなど、裏方のプロだった。
そんな彼は自ら曲をずっと書き溜めていて、担当するピンク・フロイドのレコーディングの最中の空き時間を使って "Don't Let It Die" のデモを録音する。
72年のことだ。ジョン・レノンが歌ったら似合うだろうと考えていたそうだが、これを聴いたミッキー・モストが自分で出したらと助言、ハリケーン・スミスのクレジットでリリースするやいきなりヒットし、次の "Oh Babe,What Would You Say" は73年に全米3位と大ヒットを記録する。
新人だが、なんとノーマン・スミスはこの時に50歳になっていた。
後のシングルはヒットはしなかったが、ノーマン・スミスはひょんな事からハリケーン・スミスとして表舞台に登場し、きっと持ち続けていただろう夢を叶え、またノーマン・スミスに戻って裏方で活躍を続けた。
幸せな人だ。声はダミ声だが、ノスタルジックで美しいメロディ作りのセンス、オーケストレーションを含めたアレンジのセンスは実にモダンで洒落ている。
まさにプロ中のプロ。絶対に満足できる内容だ。
そしてこの CD はイギリスでのデビュー・アルバムの11曲に、アメリカでのデビュー・アルバムで加えられた5曲 (4曲外されたが)、シングル曲8曲を加えた贅沢な作り。
これはお勧めだ。(佐野)
Don't Let It Die: The Very Best of Hurricane Smith

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