2002年9月29日日曜日

☆Lee Mallory:『That's The Way It's Gonna Be』(Rev-Ola CRREV6)

ミレニウムのメンバー、リー・マロリーの66年のソロ・シングル+66-68年に録音した未発表のアルバム用の音源集が、日本に遅れること2年で、イギリスからもリリースされた。
先のサンディ・サルスベリーと違って一部選曲が変えられているので、結局買うはめになってしまった。このCDの場合6曲が増えた20曲入り。
15曲から以降がそれだが、どれもちょっと乾いたロック系のナンバーで、カートと組んでいた時のアヴァンギャルドさや、華麗なハーモニーの魅力はそこにはない。最後の "I'm With You" には期待したのだが、ミレニウムと同じテイク(と私には聴こえる)だったのでガッカリ。コンプリートを目指す人以外には不要だろう。(佐野)

That's the Way It's Gonna Be

2002年9月25日水曜日

Radio VANDA 第 30 回選曲リスト (2002/10/03)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。

 

第一特集:Hollies

1. Bus Stop ('66)...未発表ライブ
2. I Can't Let Go ('66)...
未発表ライブ
3. Look Through Any Window ('65)
4. Carrie Anne ('67)
5. Have You Ever Loved Somebody ('67)
6. When Your Light Turned On ('67)
7. King Mindas In Reverse ('67)
8. Jennifer Eccles ('68)
9. Sorry Suzanne ('69)


第二特集:Terry Sylvester

10. End Of The Line ('74)
11. It's Better Off This Way ('74)
12. Travellin' Boy ('76)
13. Pick Up The Pieces Again ('74)
14. Silver And Gold ('78)

 

2002年9月11日水曜日

「SOFT ROCK The Ultimate!」(VANDA編/音楽之友社刊)

96年の刊行以来、6 刷を重ねたベストセラー「SOFT ROCK A to Z」を発展させ、タイトルのとおり「究極」の1冊に仕上げたソフトロック研究の決定版!
旧版と決定的に違うのは、すべてのアーティストのディスコグラフィーにアルバム収録曲まできちんと表記、そして全曲に作曲者名を入れるという、永久保存に相応しい資料集になった点です。
その膨大な資料を収めるため、総ページ数は 392P と、230P だった旧版の1.7倍にアップしています。
世界的にも何の研究もされてこなかった優れたアーティストの資料が一気に手に入れられるのは本書だけです。
アメリカ・イギリスのチャートももれなく入れているため、ポップ・ミュージックの字引としても使えます。また未 CD 化のアルバムのマークと CD 化の場合はレーベル名、そしてシングルでしか聴く事の出来ない曲にもマークを付けるなど、コレクティング・ガイドとしても完璧です。
掲載したアーティストは249、ワークスとしてまとめたコンポーザー/プロデューサーものは15と、セレクトも大幅増。
これ1冊で、メロディとハーモニーを主体にしたポップ・ミュージックは、「完成」です。(
佐野)




※最重要のSalt WaterTaffyのページが抜けて製本されてしまったので、この完成されたページを挟んでください。

2002年9月10日火曜日

☆Who:『My Generation:Deluxe Edition』(ユニヴァーサル 7120/1)

長く長くずっと待たされていた『My Generation』だが、やっと当時のプロデューサー、シェル・タルミーとの条件が折り合って、マスターからのリマスター盤がリリースされた。
まずはディスク1の『My Generation』本体から。このステレオのリマスターは、従来のものと別ヴァージョンとさえ言いたくなるほど驚異的に音質がアップし、全ての音がクリアーに聴こえるになった。
例えば "The Kids Are Alright" の長い間奏のギターソロは、ただ同じコードを鳴らしているだけのような従来版に比べ、ルート音を効果的に響かせたストロークになっていて感動的ですらあった。
"My Generation" と "A Legal Matter" はギターをオーバーダブする前のヴァージョン(初登場)で収録、ディスク2で聴きなれた従来のモノ・オーバーダブ・ミックスを収録していた。
ディスク2はシェル・タルミー・プロデュース・コレクションといった内容で、こちらもそれまでの『Who's Missing』,『Two's Missing』収録のものも音質向上が素晴らしい。
この中で最も注目は、4枚目のシングルの B 面用に用意されていて結局、未発表だった "Instant Party Mixture" だ。ただし "Instant Party(Circles)" とはまったく別の、フーとはとても思えないホワイト・ドゥ・ワップのおふざけナンバー。
"Anyway Anyhow Anywhere" はフランス盤の当時の EP のみに収録されていた別ヴァージョンが収められた。特に間奏以降のロジャーの歌い方がまったく違うので、これは誰でも別ヴァージョンと分かるはず。
"I Don't Mind" と "The Good's Gone" は最後まで収録されたフル・レングス・ヴァージョンが収録された。前者は1分以上、後者は30秒ほど長く、ロジャーの熱唱が楽しめる。
他には "My Generation" のカラオケがあるが、ロジャーのように歌うのはいかに難しいか痛感するはず。
そして "Anytime You Want Me" のアカペラ。B 面曲ながら、ヴォーカルは実に充実していた事が分かる。(佐野)

My Generation

2002年9月4日水曜日

☆Bards:『The Moses Lake Recordings』(Gear Fab 183)

サイケ系のレア盤のリイシューで知られるギアー・ファブは、アストラル・プロジェクション、オックスフォーズに続いて、今度はカート・ベッチャーとキース・オルセンがプロデュースをし、1969年にトゥゲザー・レコードからモゼス・レイクのクレジットでシングル「Ooubleck/Moses」(Together )1枚のみ残したモゼス・レイクの幻のアルバムをリリースした。
私が持っているトゥゲザーのレコーディング曲管理リストにモゼス・レイクの曲はアルバム1枚分クレジットがあったので、これでようやく陽の目を見た訳だ。
しかし今までトゥゲザー音源は幾つかのレーベルから集中的にリリースされてきたが、ギアー・ファブとは意表を突かれた。日本ではあまり店頭に並ばない可能性が高いので要注意。
 さてモゼス・レイクとはワシントン出身のバーズ (Bards) というグループの変名でのレコーディングだった。そしてプロデュースは先に書いたとおりカート・ベッチャーとキース・オルセン。
私はカートを「ソフト・ロックというよりポップ・サイケ系のプロデューサー」と書いていたが、その言葉を実証したのがこのアルバムだろう。
ポップであるがビートは十分、ファズ・ギターがガンガン入ってくるので、サイケ・ファンも満足。
カート仕込みのクールなハーモニーはこういうポップ・サイケにピタリとはまる。ファズ・ギターと縦横無尽のドラム、不安な雰囲気を醸し出す鋭いハーモニーが織り成す "Hollow Man" なんてまさにその代表格。
14分を超えるロック・オペラ "The Creation" はナレーションが入ったムーディー・ブルースのような導入部から R&B パート、ポップ・パート、そしてファズ・ギターとループするリフ、ナレーションが錯綜する主題部へ移行していく力作だった。
メロトロンが一瞬出てくるところも嬉しい。
しかしこのアルバムでベストの作品は、シングルになった "Oobleck" (かつてVANDAで "Dobleck" と書いた事があったが、これはトゥゲザー独特の装飾字体が読み取れなかったため) だ。つぶやきのような不気味なナレーションから、その不安をかきたてるようなリフが現れ、そしてポップでタイトなハーモニーとサイケなリフが絡み合う、充実したポップ・サイケ・ナンバーで、カートの本領発揮の1曲だった。(佐野)

The Moses Lake Recordings

Melting Holidays : 『Cherry Wine』 (Sucre SCPN2)












メルティング・ホリデイズは作詞とヴォーカル、コーラスを担当するタケモトケイと、作、編曲とヴォーカル、コーラス、全てのサウンドの演奏、プログラミングを担当するササキアツシの男女二人からなる、60sテイストを21世紀のツールでクリエイトするポップス・ユニットだ。 結成は2001年で、同年7月に自主制作のミニアルバム『BRASS!!』を発表、その後インディーのsucreレーベルに所属することとなり、今回の1stフルアルバム『Cherry Wine』のリリースへと至った。

因みに二人はこのユニットの結成以前に開催していた60sイベントでDJをするなど当時のサウンドへの拘りは只ならぬものだった様だ。実際ササキは以前からVANDAの熱心な読者らしい。つまりその世界に迷い込ませた弊誌の責任は計り知れないのだ(笑)。

さて、筆者が彼らのサウンドと出会ったのは非常に偶然的で、本アルバムのタイトル曲" Cherry Wine" をネットの試聴サイトで聴いた事に始まる。
先入観無しにハートを鷲掴みにされるメロディー、それを包み込むコード進行とアレンジの巧みさは正にソフトロックそのもので、打ち込みとはいえオーケストレーションの構成力は熟練の域に達する。この音は80年代にトット・テイラーが主宰していたコンパクト・オーガニゼイションにも通じる。ムーディーなオルガンと何とも喩えがたいストリングスの副メロの美しさや艶やかなピチカートのオブリガート、淡いヴァイブの刻み、ブラスとティンパニー、クラップの躍動感はあの時代に誘ってくれるサウンドなのだ。
主役であるタケモトのヴォーカルもアンニュイの一言では済ませられないウイスパー・ヴォイスで、まろやかなサウンドのワイン・グラスに漂うチェリーをイメージさせ、さながら" 溶け出していく休日" を気取る佇まいなのである。 実は筆者はウイスパー・ヴォイスを安易に使う輩には目もくれずにいた節がある。何故なら、声帯域ばかりかヴォーカリストとしての表現力をも狭めかねない危険性に陥るからだ。 アンニュイなテイストばかりに気を配っては仏作って何とやらだ。しかしそんな心配も彼女の表現力の前には無用の様である。
タイトル曲がアルバムのトップを飾り、続く" Snippy Girl" はモータウン的センスのリズム・トラックに今度はササキのいわゆるハーフ・ボイス・タイプのヴォーカルが乗る。時折フックで見せるファルセットも嫌みが無く爽やかな風の様だ。 他に気になるのは5曲目の" Umbrella" で、2台のギターによる16ビートのカッテングにドライヴするベース、マージー・ビート系のドラミングと、まるで80年代初期のスミスを初めとするネオ60sのサウンドを打ち込みで解釈したトラックに、タケモトの一人多重録音の美しいヴォーカルが漂うといった秀作だ。 この様にアルバム全体に聴き所は多く、彼らが影響されたサウンドを一つ一つ分析してみるのも面白い。 最後にこのアルバムを聴き終えて思ったのは、昨今忘れがちだった、伝統的なポップスの方程式を大事にしながら、独自のセンスをちりばめられる若く有望な才能に出会ったという事だ。
(ウチタカヒデ)