2001年8月30日木曜日

☆Paper Dolls:『Paper Dolls House』(Castle/342)

一足早く日本盤がリリースされていたが、いよいよイギリス本国より本命盤が登場した。なにしろこの CD は日本盤より1曲多い。日本盤もパイ時代の音源はモノ・シングル・ヴァージョンも含めコンプリートだったが、この英国盤には未発表だった "StepInside Love" がさらにプラスされている。そう、もちろんポール・マッカートニーがシラ・ブラックの為に書いた曲だ。ビートルズ・コレクターもこれは見逃せない。そして解説には、今まで見たこともない彼女らの貴重な写真が満載、「色物」ではあるが、意外と可愛い彼女らのフォトの数々も注目だ。まだ購入していない人は迷わずこのCastle 盤を買うべきで、既に買ったしまった人は、もう一度買い直しましょう。さて、本 CD は、同タイトルの彼女らの唯一のアルバムがベースになっているものの、アルバム自体はいわゆる名盤ではない。彼女らの歌はおせいじにも巧いとは言えず、さらにアルバム収録のカバー曲の出来がよくない。反面トニー・マコウレイの書いたオリジナル曲はいい。それも唯一のヒットとなった "Something Here In My Heart" 他計4曲のアルバム収録のマコウレイ・ナンバーよりも、ボーナス・トラックに収録されたマコウレイ作のシングル "Someday" "My Life" が素晴らしい。以前から何度も力説しているが、いきなり最高にキャッチーなフックからスタートする "Someday" は、数あるソフト・ロック・ナンバーの中でもベストの1曲だ。フィル・スペクターを意識した "My Life" も面白い。そして冒頭にも書いた "Step Inside Love" がカバーながら実にいいのだ。ゴージャスなアレンジにちょっとたどたどしいような舌足らずのヴォーカルがピタリとはまる。これは収穫だった。なお既に紹介済みだが、日本盤に比べ Castle のピケティウィッチは2曲多く、ジェファーソンに至っては13曲多く、重なったものは全てCastle盤を選ぼう。そして来月には『Butterscups & Rainbows』というトニー・マコウレイ=ジョン・マクレオド作品集がCastleリリースされる。 CD 2枚組で全50曲、内2/5は初 CD 化だ。いやーこれは最高の贈り物、Castle のリリースを楽しみに待とう。(佐野)
ペイパー・ドールズ・ハウス+6

2001年8月20日月曜日

Radio VANDA 第 17 回選曲リスト (2001/9/1)

Radio VANDA は、VANDA で紹介している素敵なポップ・ミュージックを実際にオンエアーするラジオ番組です。

Radio VANDA は、Sky PerfecTV! (スカパー) STAR digio の総合放送400ch.でオンエアーしています。

日時ですが 毎月第一木曜夜 22:00-23:00 1時間が本放送。
再放送は その後の日曜朝 10:00-11:00 (変更・特番で休止の可能性あり) です。

佐野が DJ をしながら、毎回他では聴けない貴重なレア音源を交えてお届けします。


 Roger Greenaway 特集

1. I've Got You On My Mind...White Plains ('70)
2. I'll Give You Lovin'...One & One ('64)...Cook=Greenaway
の最も初期作品
3. You've Got Your Troubles...Fortunes ('65)
4. Lovers Of The World Unite...David & Jonathan ('66)
5. Green Grass...Gary Lewis & The Playboys ('66)
6. I Was Kaiser Bill's Batman...Whistling Jack Smith ('67)...
「走れ歌謡曲」テーマ
7. In A Moment Of Madness...Flower Pot Men ('69)
8. My Baby Loves Lovin'...White Plains ('70)
9. Lady Pearl...Currant Kraze ('70)
10. Every Little Move She Makes...Tony Burrows ('70)
11. Here Comes That Rainy Day Feeling Again...Fortunes ('71)
12. I'd Like To Teach The World To Sing...New Seekers ('71)
13. Ballad Of Mae West...Roger Greenaway ('72)...
グリーナウェイのソロシングル
14. A Warm And Tender Romance...Sunny ('74)
15. Doctor's Orders...Carol Douglas ('75)
16. Love Games...Drifters ('75)

 


2001年8月15日水曜日

☆Pete Townshend:『O'Parvardigar』(Eel Pie/EPR012)

相変わらずミハー・ババへの信心が深いピート・タウンゼントが、自分のサイト、www.eelpie.com で500枚限定のこのシングルを販売した。ジャケットは表も裏もミハー・ババ、ピートのコレクターでなければおよそ見たくもない代物である。かつて『Who Came First』にも入っていたこの曲、CDシングルは同じ曲が3テイク入っていて、一つはスタジオ・ヴァージョン、あとはインドでのライブ、そしてどういう訳かドイツ語ヴァージョンだった。ライブは途中、声が裏返ったりしていかのも生っぽく、ドイツ語はピートのリリカルな歌声によってトゲトゲと聞こえずちょっと聴いただけではドイツ語とは思えないほど。コンプリートをめざす方のみどうぞ。
(佐野/Special Thanks to YAMASHITA)


2001年8月5日日曜日

山下達郎RVC 時代の7タイトル、 LP , CD それぞれ別のボーナストラック付きでリイシュー!




山下達郎の RVC 時代の全アルバムが、デジタルリマスターでリイシューされた。
CD
7 枚単発で、 LP はボーナスディスクも入れた9枚が限定ボックス、 CD LP でそれぞれボーナストラックの曲目が違うという、何ともファンにとって嬉しい(反面金銭的には辛い)リリースになった。
これは『On The Street Corner3枚のリイシューと同じパターンであり、限定の LP の方は買っておかないと後でまったく入手できない状況になってしまうのでお早めに。事実『On The Street Corner O』の LP 版ボーナスディスクはヤフーオークションでとんでもない高値が付いているそうだ。
アルバムの内容に付いては何も語る必要がないだろうから、ボーラストラックのみ記述する。またカラオケに関してはコメントしない。
『サーカス・タウン』(BMGファンハウス 17013) "Circus Town" "Windy Lady" のカラオケ。
Spacy(17014) "Love Space" のカラオケと "Solid Slider" のショート・ヴァージョンに加え、 "アンブレラ" のリズムパターンの違う別ヴァージョンが収められた。こちらはまだコーラスや SE もないシンプルなテイクで、ドラムがしっくり来ていない。録音しなおして正解だが、好きな曲なので嬉しい収録。
『ゴー・アヘッド!(17015) には英語の仮歌が付いた "潮騒" と、 "2000トンの雨" "潮騒" のカラオケ。
『ムーングロウ』(17016) "夜の翼" のカラオケはアカペラなのでリードヴォーカル抜き、つまり「オンスト」が出来てしまうのでこ特筆しておこう。 "永遠のFull Moon" はライブ、 "Funky Flushin'" は『Greatest Hits』で再録した別ヴァージョンで、イントロのパーカッションの入り方からはっきり違う。
『ライド・オン・タイム』(17017) "Ride On Time" のシングルヴァージョンがまず入り、このアルバムでは使用されずに終わった曲と曲の間に挟む短いインスト "Interlude I" "Interlude II" 、一回聴いただけでは何の曲か気づかないほどフュージョンっぽくアレンジされた "My Sugar Babe" (TV 用インストヴァージョン) が入った。
『フォー・ユー』(17018) はまず「あまく危険な香り」、さらにTV用インストヴァージョンが2ヴァージョン入る。特に "Version2" の方はマーヴィン・ゲイ風と本人が語っているが、かなり深くアレンジされていた。そして最後はアラン・オデイの英語詞による未発表曲 "Every Night" で終わる。この曲は無難な出来。
そして『イッツ・ア・ポッピン・タイム』(18025/6)。ここには78年の六本木ピットインでのライブでの未収録の2曲が加えられた。まず個人的に大好きな "Love Space" だが、やはりライブでは地声で歌い切るのは無理だったということが判明。そしてラスカルズの "You Better Run" のカバーはなんと20分を超える熱演で、ベースソロに注目だ。
この7枚の表に張ってあるシールを全部集めて400円切手と共に送ると『Come Along』のデジタルリマスター盤がもらえるというのが CD の特典。 さてこれからはいよいよ LP Special Bonus Disc (17009) だ。 CD と重複している曲もあるので、 LP のみの曲を紹介しよう。
まずは "言えなかった言葉を(ニューヨークヴァージョン)" だ。これは『サーカス・タウン』用にニューヨークで録音されたヴァージョンで、まったく印象の異なるシャッフルビートのアレンジが新鮮だ。歌のキーが高すぎたというのがボツの理由だが、これはこれで出来がいい。
そして "My Sugar Babe(TVタイトルバック)" は勝新太郎監督・主演のTVドラマ「警視-K」のテーマソングに使われたショート・ヴァージョン。シンプルなだけに逆に味わい深い仕上がりになっている。
さらに "Ride On Time(詞・曲違い別ヴァージョンデモ)" 。これは CM のプレゼン用に提出を義務づけられていた 2 タイプ目のヴァージョンで、我々が知っている "Ride On Time" とはまったく別の曲。アップテンポのビートナンバーで、これもデモとは思えない出来。この曲は後に別の歌詞が付けられ "ワン・モア・タイム" のタイトルで近藤真彦の "永遠に秘密さ" のシングル B 面になったそうだ。
B面に移って "Sunshine・愛は金色(ライブ)" 8053日の中野サンプラザでのライブ。同録テープとは言え、サウンドのクオリティに問題はない。
"
夜のシルエット(仮題)" は、竹内まりやに書き下ろした "ブルー・ホライズン" のメロディに大貫妙子が違う歌詞を付けたもの。こういうまったく初めて聴く曲は貴重。80年に録音されたもので、あっさりと歌っている。
最後は "愛を描いて-Let's Kiss The Sun" (ライブ)8082日に土砂降りの雨の中で行われた葉山マリーナでの録音だ。音質は少し悪いが、最後はシャウト気味になるほどの熱唱が楽しめる。
これだけ違うのだから、これは LP ボックスも買うしかないね。
(
佐野)




 


 
 



2001年8月3日金曜日

☆Kinks:『One For The Road』(Pioneer/11528D) DVD

日本からリリースされると言われ延期に継ぐ延期で発売未定になってしまっていたキンクスの名ライブ『One For The Road』が突如、アメリカのパイオニアで DVD 化された。もちろんリジョン・フリーなのでここで紹介できる。内容はもう何も言うまでもないだろう、1980年に撮影されたキンクスのアメリカでのライブ・コンサートだ。アリスタに移籍し、心機一転、ロック・バンドとして再スタートを切ったキンクスの溌剌とした姿は、見ているだけでも楽しい。観客の熱狂ぶりもファンとしてはたまらないところ。60年代のライブは機材が貧弱、70 年代のライブは劇仕立てで若さがない、そして90 年代ではデイヴ・デーヴィスが太ってしまってヴィジュアル面がよくないため、個人的にはこの80 年代のライブが最高だ。舞台狭しと駆け回る36歳のレイ・デーヴィスのカッコいいこと! また33歳のデイヴはアイドルだった20代の面影を残しこれまたカッコいい。サウンドはヘヴィでタイトで見事なロックンロール。ああ、ロックってこんなに素敵なんだと嬉しくなってしまう DVD である。なおかつてリリースされていたポニー製の LD は、盤面の接着剤が悪く現在は最悪のコンディションになっているので LD をお持ちの方も買い直すべき。(佐野)

☆Jefferson:『The Colour Of My Love』(Castle/288)

お待ちかね、ジェファーソンのコンプリート作品集がリリースされた。これはジェファーソンの唯一のアルバムとシングルのアルバム未収録曲、さらに録音されながらリリースされることのなかった幻のセカンド・アルバムの曲が入り、先週リリースされたビクターの日本盤よりシングル曲 5曲 (内2曲は『The Best Of The Rockin' Berries featuring Jefferson』のCD収録のもの)と、その幻のセカンドの 8 曲を加えた13 曲が多い無敵の仕様になっている。全27曲、これでジェファーソンのすべてが分かる。元 ロッキン・ベリーズのヴォーカリスト、ゲオフ・タートンがソロになった時にこの "ジェファーソン" の名前で売り出した。ハイトーンで声量があるジェファーソンの美声に、イギリスの名プロデューサー、ジョン・シュローダーのポップ・フィーリング溢れるプロダクションが施されたジェファーソンの楽曲は、まさに最高のブリティッシュ・ポップだ。特にヒットしたバリー・ライアン作の "The Colour Of My Love" と、トニー・マコウレイ作の "Baby Take Me In Your Arms" は、その力強さ、華麗さ、 キャッチーなプロダクションで、オリジナルを含むどのテイクをも寄せ付けない最強の仕上がりになっている。ジム・ウェッブ作 "Montage" 、アルバムの冒頭を飾った "City Girl" も素晴らしいの一言。また今回初めて聴いた曲では、最後のシングルとなった "Can't Get You Out Of My Mind" が転調が素敵な作品だったし、幻のセカンドではBonner=Gordon の "Me About You" に酷似している "(There Won't Be A Way)To Love You" 、高揚感のあるメロディとプロダクションが素晴らしい "I've Got The Best Of You" 、クレジットから見て Tony Romeo 作と思われる美しいバラード "One More Mile" 、Unknown になっていたがホワイト・プレインズなども歌っていたクック=グリーナウェイ作の "To Love You" こと "So Good To Love You" 、トニー・マコウレイ作とライナーには書かれていたキャッチーな "Girl You Are A Woman Now" 、伸びやかなブリッジが心地よい "Halfway To Where" と聴きどころが満載だった。このCDはとにかく迷わず買うべき。今年のベスト・リイシューの1枚である。(佐野)
The Colour of My Love