2000年7月24日月曜日

☆『アニメソング大全ミレニアムボックス』(東芝EMI/TOCT24381-6)




このCD6枚組のボックスは63年から70年にかけてのTVアニメの主題歌を集めたもの。なんだそんなの珍しくもないと思われるだろうが、このボックスはオープニング、エンディングというパターンだけでなく、実際番組で使われたオリジナル・テイク(企業名入り)を出来る限り集めているのがミソ。要は当時の実際の「音」に出会えるという優れものなのだ。この中で光るのはやはり富田勲の書いたテーマ・ソングの数々だ。Radio VANDAの7月号で、富田勲ミニ特集をやり、「マイティ・ジャック」「ガリバーの宇宙旅行」「銀河少年隊」などをかけたのだが、Web VANDAのBBS上で大反響、やはり洋楽ファンは富田の日本人離れした壮大な曲想にシンパシーが合うんだと、我ながら嬉しくなってしまった。「ジャングル大帝」「リボンの騎士」はもちろん、Radio VANDAでもかけた転調が抜群の「戦え!オスパー」があるし、中間の哀愁漂うメロディが魅力の「どろろ」、イントロにセンスがある「ビッグX」、さらにアレンジのみを担当した「ジャングル大帝進めレオ!」は曲を押しのけて壮大なアレンジが光り輝いていた。さすが富田という作品が並ぶ。そして山下毅雄作品の「スーパージェッター」「冒険ガボテン島」「佐武と市捕物控」は、口笛とラテンのリズムが冴えわたる。萩原哲晶の最高のアレンジが楽しめる「エイトマン」、服部公一の素晴らしい主題歌が4曲作られた「レインボー戦隊ロビン」、水原弘がヴォーカルをとった「忍風カムイ外伝」など聴きどころは十分。土龍団による巨匠・宇野誠一郎のインタビューや、ボーカル・ショップ、ハニー・ナイツのインタビューも目からうろこ、これは絶対「買い」である。ただ、オリジナル・テイクということで今までTVヴァージョンに比べてまったく違うシングルテイクが収められていた「ゲゲゲの鬼太郎」や「佐武と市」や、馴染みではない方の主題歌が入っていた「おそ松くん」が聴きなれたテイクや主題歌に戻ったのはよかったが、富田勲の主題歌はレコード・ヴァージョンの方が音がいいし、アレンジもより練られているので、こちらは両方入れて欲しかった。ぜいたくかな? (佐野)
21世紀に遺したいアニメソング大全 ミレニアムボックス

0 件のコメント:

コメントを投稿