1999年12月9日木曜日

☆Spanky & Our Gang:『Spanky & Our Gang』(Vivid Sound/VSCD737)☆Spanky & Our Gang:『Like To Get To Know You』(Vivid Sound/VSCD738)☆Spanky & Our Gang:『Without Rhyme Or Reason』(Vivid Sound/VSCD739)

 ついにスパンキー&アワ・ギャングのオリジナル・アルバムが3枚共CD化された。日本のみの発売で、もちろん世界初の快挙である。スパンキー独特の太く声量のあるヴォーカルにどこか郷愁をさそうメロディ・ライン、からみあうぶ厚いコーラス・ワーク、ジャズのフィーリングを帯びたサウンドは、ハーパース・ビザールよりも魅力的だ。このサウンドを作り出した中心は、ファースト・アルバム『Spanky & Our Gang』を担当したプロデューサーのジェリー・ロス。そしてアレンジャーはロスの両腕のジミー・ウィズナーとジョー・レンゼッティー、そしてボブ・ドロウの3人だった。ここからの3曲のヒット「Sunday Will Never Be The Same」、「Makin' Every Minute Count」、「Lazy Day」を聴くと、メリハリのついたバッキングにストリングスをからめた華麗なサウンド・プロダクションで彩られ、ジェリー・ロスの中でも最高のサウンド・プロダクションを楽しめる。スパンキーのリードと厚いコーラスを生かしたポップな。しかし彼らはヒットを生み出したジェリー・ロス組とこのアルバムだけで別れ、プロデュースとアレンジをボブ・ドロウとスチュワート・シャーフにまかせる。そして作られたセカンド『Like To Get To Know You』は、ファーストよりさらに統一感のとれた素晴らしい出来を示した。「Sunday Morning」のスパンキーのリードとそのコーラス、低い男性コーラス・パートが巧みに入れ替わるなどメンバー全員のそれぞれのパートがからみあう精緻な作りで、まさに驚異のひとこと。サビまでスパンキーがバック・コーラスに回り、サビからリードに入れ替わるジャジーな「Like To Get Know You」もまた洒落た曲だ。得意のバロック風コーラスが飛び出す「There Ways From Tomorrow」など、サウンドか確実に進化した。そしてサード『Without Rhyme Or Reason』は彼らの頂点の作品となる。「Give A Damn」、「Yesterday's Rain」、「Hong Kong Blues」、「Without Rhyme Or Reason」、「Jane」、「Since You've Gone」など、リードはもはやスパンキー一人ではなく、曲の展開で自在に入れ替わる。男性メンバーのヴォーカリストとしての力量が飛躍的に上がっていた。コーラスのパターン、リズム、リードメロディまでが目まぐるしく変わっていく。音のモザイク。この複雑で、それでいてポップな曲の数々はヴォーカル・グループとして頂点の1枚だろう。(佐野)
Spanky & Our GangLike to Get to Know YouWithout Rhyme Or Reason

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