1999年11月15日月曜日

☆Who:『Who's Next』(日本コロムビア/COBY90093)DVD

フーの最高傑作アルバム『Who's Next』の製作過程を、ピート・タウンゼンド、ロジャー・ダルトリー、ジョン・エントウィッスルのメンバーと、グリン・ジョーンズ、クリス・スタンプら当時の関係者が語るファンにはたまらないドキュメンタリー映画だ。ご存じのとおり『Tommy』に続くコンセプト・アルバムとしてピートは『Lifehouse』を準備するが、その難解なテーマをピート以外は誰も理解できず計画は頓挫、用意された曲の中から幾つかと新しい曲を組み合わせてこの『Who's Next』が制作された。そういった現象面での証言も興味深いが、それよりも心引かれるのはサウンド作りの解説だ。例えば「Baba O'Reiley」のシンセサイザーをピートが実際に弾いてその作り方を解説、ジョンも曲に合わせて実際にベースを弾き、グリン・ジョーンズはミキサーを操作して各パートを解説していくといった具合。「Behind Blue Eyes」では、ロジャーがミキサーをいじり時には一緒に歌いながらキースのドラムの素晴らしさを力説、ピートはアコースティック・ギターの弾き語りを披露する。ピートがブライアン・ウィルソンの『Pet Sounds』でのベースの素晴らしさを語るなど、コメントもとても興味深い。最後にピートが「Won't Get Fooled Again」を弾き語りするが、アコースティック・ギター1本で迫力満点のロックにしてしまうその見事なギターの腕前には惚れ惚れしてしまった。ピートはストロークの天才で、切れ味鋭いフレーズを次々送りこむ。私はギターの早弾きなど何の興味もないが、ピートのようなソリッドなビートを供給できるプレイヤーこそ本物のギタリストだと確信している。時々織り込まれるフーの当時の映像には目新しいものはないが、こういった再現だけで買う価値は十分だ。最後にフィルムで見られるメンバーの「近況」だが、ピートは若干柔和になり笑顔も交えながらコメントをし、髪は後退したものの知的な印象は変わらず。ジョンはまったく昔と容貌も雰囲気も変わらない謎の人。そしてロジャーだが、彼はともかく老けた。スタジオで眼鏡を下げて喋る時など、昔の精悍なロジャーはとても想像できない。やはり刺もとれてコメントが柔和、優しそうなおじさんになってしまった。誰かに似ていると思っていたら...そう欽ちゃんそっくりだ(佐野)

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