全15曲中、嬉しいことに12曲までがデッカ時代の曲で65~66年に放送されたもの。音楽評論家などの玄人風の人達はよくイミディエイト時代を評価しているが、不世出のヴォーカリスト、スティーブ・マリオットの迫力満点のヴォーカルが炸裂するのは文句なしにデッカ時代なのだ。
まず冒頭の「Watcha Gonna Do About It」でノックアウト。レコードよりギターがでかく、粗削りで迫力があり、ロックの暴力的なパワーがみなぎっている。そしてマリオットのヴォーカルもライブではさらに力が増しているのだからたまらない。続く「Jump Back」はマリオットの書いた未発表ナンバーで、「Sha-La-La-La-Lee」のギター・フレーズを使った重量感のあるR&Bナンバー。ロニー・レーンが歌う「Shake」はドラム・パターンが違うのでどこかバタバタした感じがあり、これはレコードの勝ち。しかしロニー・レーンのシャウト・ヴォーカルは実に若々しく躍動感があり、後の枯れた雰囲気が嘘のよう。「Sha-La-La-La-Lee」「Hey Girl」のポップ・ヒット2曲は、相対的にギター・サウンドになった重量感のあるこのライブの方がカッコいい。ジミー・ペイジが「Whole Lotta Love」として後に盗作した「You Need Loving」と、ガリガリとした強烈なリフに乗せた「E Too D」というスモール・フェイセスの隠れ名作は、狂おしいまでのマリオットのシャウト・ヴォーカルが必要とされるので、ライブではどうかと思いきやまったくレコードと遜色ないパワーを見せてくれた。演奏もソリッドで文句なし。そして私が大好きな「Understanding」までも登場する。歌も演奏もいいし、ケニー・ジョーンズのドラムが聴きものだ。名曲「All Or Nothing」はプレイし慣れた余裕の仕上がりでこれも素晴らしい。さらに「One Night Stand」「You Better Believe It」「Baby Don't You Do It」という渋いナンバーもプレイされていた。最後は68年の録音で、SEやカズー、鐘も入った「Lazy Sunday」は空いた2年の歳月を感じさせた。しかし疑似ライブで録音されていた「If I Were A Carpenter」「Every Little Bit Hurts」はこれが初めてのクリアな演奏で、ここではこのヘヴィなR&Bナンバーに再びマリオットの真っ黒なヴォーカルが全開となり、我々を酔わせてくれた。
(佐野)

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