Billy Nicholls : Would You Believe (テイチク/20800)


  ついにロックの残された数少ない幻の名盤がリリースされた。このアルバムは公式にはリリースされず、100枚だけのテスト盤のみが残され、現在の「Record Collector」のプライス・ガイドでは800ポンドという高額のプレミアが付けられたまさに「幻の名盤」なのである。
ビリー・ニコルスは作曲家としてアンドリュー・オールダムに見いだされイミディエイトに採用、始めデル・シャノンの曲を書き、それはデル・シャノンの「A Complete Career Anthology」(Raven/52)で現在もその3曲を聴くことが出来るが、「Would You Believe」と同じサウンドが既にここで作られていた。そしてニコルスはオールダムのプロデュースで、自らのソロ・アルバムの録音に取りかかった。オールダムはビーチ・ボーイズの「Pet Sounds」に打ちのめされていて、このアルバムを「Pet Sounds」のイギリスからの回答と位置付けた。まずニコルズは数多い埋もれたイミディエイトのデモの中から "Would You Believe" を見つけ、スモール・フェイセスのスティーブ・マリオットとロニー・レーンが、プロデュースだけでなくバックにも全面的に参加して曲が完成した。キャッチーなメロディとメリハリのついたサウンド、そこにオールダムのアレンジしたストリングスなどが加わり、最後には迫力満点のマリオットのシャウト・ヴォーカルが被ってくる傑作である。その他の曲はニコルズが書き、ハープシコードとアコースティック・ギターを中心に、ストリングスや様々なパーカッションなどの装飾音で、ニコルスの美しいメロディの歌、ファルセットを駆使した厚いコーラスを包んだ。バッキングにはニッキー・ホプキンスやジョン・ポール・ジョーンズの凄腕が加わり、数千ポンドもの費用をかけたのに結局アルバムはリリースされなかった。その理由はいまだ不明のままだ。しかし「Pet Sounds」への回答という言葉を裏切らない素晴らしい出来だったのは、聴けばお分かりいただけるはずだ。この機会に絶対に入手すべきアルバムである。
(佐野)

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このページは、Kunihiko Sanoが1998年6月 3日 18:01に書いたブログ記事です。

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