Pinkertons Colours/Flying Machine : Flight Recorder(Sequel/290)


  海外のリイシュー・レーベルは本当に凄い。本誌の読者ならもうお馴染みのイギリスのポップ/ロック・グループ、フライング・マシーンの全音源と、その前身のバンドであるピンカートンズ・カラーズ(名前は3回変わっているが)のデッカを除く全音源プラス14曲もの未発表曲とデモという、信じられない2枚組 CD がSequelからリリースされた。
それまでこつこつ集めたシングルなど大半がこれで不要となった訳だが、きちんとまとめてくれるのは大歓迎だ。このSequelやアメリカのSundazed、Varese Sarabandeなどの海外のリイシュー・メーカーの活躍を見るにつけ、自社で出さないカタログはリイシュー・メーカーにどんどん渡して行く海外の大手レーベルの姿勢の素晴らしさに驚かされる。日本のレコード会社にはほとんど期待できないからますますだ。
  まずフライング・マシーンだが、唯一のアルバム「Down To The Earth With Flying Machine」と比べてその音質のクリアーなこと!今までよく聞こえなかったギターなどくっきりと聴こえてくる。そしてトニー・マコウレイ=ジョン・マクレオドのコンビの書いた曲のグレードの高さにも改めて驚かされる。明快でキャッチーなマコウレイ・サウンドは本当に魅力的だ。マコウレイらが離れてからも、ハーモニーを生かしたポップなサウンドは変わらず、中にはグリーナウェイ=クックの "Yes I Understand" などという曲もあった。ストリングスも交えたポップなフライング・マシーンの中で、唯一のメンバーのオリジナルである "Flying Machine" がギター中心のサウンドでこれが意外とカッコいい。さてそして前身のピンカートンズ。3枚のデッカ時代のシングルは収録されていないが、その代わりにそれぞれのデモ・ヴァージョンを入れているのがニクい。デモと言ってもそれぞれストリングスまで入っているのだが、アレンジなど出来は到底デッカの正式音源にはかなわない。ただ、甘酸っぱいメロディが魅力の名曲 "Magic Rocking Horse" はまったく違うギターのリフから始まり、曲が完成する過程が見えるという点では興味深かった。そしてこれも「新発見」だが、ファウンデーションズなどで知られる "There's Nobody I'd Sooner Love" と、初めて聴いた "Look At Me,Look At Me" という2曲のマコウレイ・ナンバーがあった。どちらもレベルはたいしたものではない。内容的にはそれよりも12曲もの未発表曲だ。中でも12弦ギターのイントロ、流れるようなメロディ・ライン、ハーモニー、ストリングスのからみも完璧な "Me Without You" が最高だ。ヒット・チューンだったのに惜しい。スキップしたくなるように軽快な "Shadows On A Foggy Day" もいい。他の曲は基本的にホリーズに近いスタイルを感じる。ソフト・ロック・ファン、ポップ・ファン、ブリティッシュ・ビート・ファンの誰でも楽しめるこの CD は絶対に買いだ。VIVID SOUNDから日本盤も発売される。
(佐野)

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このページは、Kunihiko Sanoが1996年5月22日 18:06に書いたブログ記事です。

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